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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年9月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2018年10月07日(Sun)]

9月中旬から、毎朝5時には起床し、8週間の実習(インターンシップ)が開始しました。実習先はワシントンDCから少し遠く、Marylnd School for the Deaf (メリーランドろう学校)を車で行き来しながら通っています。実習時間は三時間行い、昼には、ギャロデッド大学に戻り、クラスやクラスの為のプレゼンテーションの準備やレッスンプラン、レポート作成などの課題に追われるという、多忙な日々を過ごしています。そして、健康面や睡眠時間に問題がないよう、自己管理に気をつけたいと思います。

◆インターンシップ◆


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↑実習先のメリーランドろう学校

メリーランドろう学校の実習で配属された場所は、全て図工・美術クラスであり、4、5歳の幼稚部と小学部三年を中心に見学やアシスタントをし、何度かクラスで教鞭を執る担当をさせていただくことになります。また、1時間空き時間があるので、その時間は中学部のアートクラスを見学したり、2、3歳の早期教育(絵を書いたり、お遊戯をしたりするクラス)を見学することにしました。
そして、9月の図工・美術クラスの期間はほとんど、De'VIAやデフアートを題材に授業を行なっているので、アシスタントや見学をしつつも学ぶことができています。
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↑幼稚部と小学部のためのアート(図工・美術)クラス

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↑中・高のアートクラス

メリーランドろう学校は、バイリンガル教育(ASLと英語)を中心に行われており、アメリカ手話で指導やコミュニケーションを図るのはもちろんのことですが、第二言語としての英語をどのように身につけさせるかを、指導する様子を見学しました。
また、今月は、小学部の3クラスが合同でASL drama (ASL劇)を行う期間があり、自分も指導教員と一緒に見本を実演する立場として参加し、表情や体での表現の仕方を中心に児童たちと楽しみながら練習しました。
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↑ASL劇の指導場面
※許可いただいています。

前学期はモデルろう学校の高等部の見学のみでしたが、メリーランドろう学校の教育現場で実習を行う中で、更にアメリカの教育方法と日本の教育方法の違いを一層感じながら見学しています。個人的な感想ですが、例えば、日本の場合、児童・生徒たちが何かを行う時、教員の出す指示に従いながら、学び、行動する傾向があります。そして、アメリカのろう学校の場合、教員が指示を出す場面もありますが、指示を出す前にこれまでの自分(児童・生徒)自身の知識や想像力を活用し、「どう思うか、またはどうなっていると思うか」を問うような場面が比較的多いように感じます。
日本とアメリカの教育方法の良い面を吸収し、教えていけると良いなと思ったものです。

10月からは、自分が幼稚部か小学部にアートを指導する機会が何度かでてくるので指導案作りや教材の準備もすることになるので頑張って行きたいと思います。


◆クラス◆

Literacy Applications in ASL/English Bilingual classroom K-12
(K-12のバイリンガル[ASL /英語]教室でのリテラシー(読み書き)応用)

バイリンガルのセオリーを中心に、バイリンガル教育の様々な背景や課題について学んでいます。
すなわち、今回学んでいることは、前回の生活記録でも記載したように外国からアメリカへ移住してきた人達の第二言語(英語)獲得の問題点に対して必要な教育システムについてです。例えば、一人の生徒がメキシコで育ち、スペイン語はできるのですが、突然中学生からアメリカに移住したが英語がほとんどできない状態です。アメリカの学校側としては、英語ができないことは言語力が低いとすぐ判断するのは間違っているので、どのように成績や言語力を評価すると良いのか。更に第二言語である英語をどのように指導するのが良いのか、また、その生徒にとって良いカリキュラムは何が良いのかについて議論しました。
他にも、話し言葉と書き言葉、アメリカ手話と英語の関連性の違いについてです。すなわち、音声言語による話し言葉と書き言葉は同じ文節や文法などが合ったりします。しかし、アメリカ手話と書き言葉(英語)は音声言語と同じ文法でなかったりします。この内容に対して、第一言語がアメリカ手話であるならば、どのように書き言葉を指導するかについて議論しました。


K-12 Classroom-Based Assessment
(K-12教室の評価)

現在、評価法について様々な方法やタイプがあることについて学んでいます。例えば、メインストリームクラスに中に障害のある生徒がいる場合、障害の内容によって、学力や成績に差がある場合、どのように評価すると良いか。また、障害の内容によって成績のスコアに差が出た場合、障害のある生徒は単位取得や学問面で、不利な状況になります。
従って、障害のある生徒は障害のない生徒と同様に評価するとはまた違う方法で、どのように対応・指導すると良いかを考える必要があります。
これらの理論をもとに、もし、メインストリームクラスにろう者や難聴者がいた場合のケースも取り入れて、どのような配慮や評価法が必要なのかについて議論を深めながら学びました。


◆Deafopia Expo

9月上旬にDeafopia Expoがギャロデッド大学内で開催されました。開催場所は天候(当日は雨になりそうな予報)の影響なのか、ギャロデッドの駐車場内で開催するという、少し珍しい状態でした。
駐車場内には、ろう者関係の企業やアート、衣類、またいくつかの食べ物など様々なブースが置かれていました。友人と一緒にブースを回り、また映画に出ているろう者の女優さんと会って少しお話することができる機会があったり、アメリカで有名なろう者のコントを鑑賞することができました。

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↑Deafopia Expoにて
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https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1188
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