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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年6月生活記録 【第13期生 橋本重人】[2018年07月06日(Fri)]
こんにちは、日本では梅雨が明けてきた頃でしょうか。仕事帰りのビールが美味しく感じられる時期ですね。お酒が飲めない私は、カルピスやオレンジジュースで喉を潤しています。さて、今回はオーロニ大学での残り2つのクラスについての回想です。

4.Linguistics of ASL(ASL言語クラス)
アメリカ手話の言語的分析は初めてのことでした。最初は若干の戸惑いがありましたが、担当のサンドラ先生は受講生の中でたった一人の国際学生の私のことをとてもよく気にかけてくださいました。説明したら毎回すぐに私に向かって「Could you understand?(わかったかしら?)」と眉をあげる表情を投げかけます(眉を上げ、頭を少しだけ前へ動かすと、疑問形になります)。また、アメリカ手話だけでなく、音声言語としての英語についても学ぶことができました。このクラスでは聴学生への質問を通して、英語とアメリカ手話の比較をするという機会を得ることができたからです。たとえば人称代名詞としてShe(彼女)、He(彼)があります。相手が男か女か分からないときはItとは言わないのですが、実は「She」「He」とも言いません。見た目で判断して「He」「She」とは言わずに「Xe」または「Ze」と呼ぶそうです。それらは性別を限定しないニュートラルな人称代名詞となっていて、第三の性として生きる人のみならず、学生全員、教職員全員がお互いを呼ぶときに使用すると良いとされています。その相手が「自分は女性である」といった場合に、合わせて「She」と言い変えるそうです。アメリカ手話ではその人物を指さすだけですよね。興味深かったです。
このクラスを受講してから、ろう者の手話表現を少しずつですが分析するようになり、言語の面白さがわかってきました。
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サンドラ先生の顔の表情は本当に豊かです!脱帽です。

5.Deaf Education(ろう教育クラス)
アメリカろう教育の教育方針や教育システムなどの基本を学ぶことができたクラスでした。アメリカでは、アクロニウム(頭文字)をよく使うため、中間テストや最終テストではその頭文字の問題が20個ほど出てきました。例えば、ASD(American School for the Deaf)とかNAD(National Association of the Deaf)などです。暗記している時は、こんなのを覚えて役に立つのかなと疑問に感じましたが、ろう教育に関する情報をリサーチする際にそのような頭文字をよく見かけます。今でもネットで何かを読むとき「あ、これ、ろう教育クラスで習ったやつだ」と見つけることがままあります。
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トム先生はとても素晴らしい方です。秋学期にはデフカルチャークラスを担当し、続けてこの先生のクラスを受講することができてよかったです。彼はろう学生達に分かりやすく、面白おかしく手話表現をする方であり、私の目標とする人でもあります。

最後に、1年間メンターのステファニーさんには本当にいろいろとお世話になったことを記しておきます。初めて会った時に「私はあなたを学生として接しません。あなたは社会経験があるから、私は母親の立場から、あなたは教員の立場から対等に接してもらいます。」と言ってくださったのがとても印象に残っています。それぞれの大学院の先生方にテレビ電話を通してインタビューしたり、フリーモント地区の小学校やろう学校へ見学したりするなど、充実した1年間でした。オーロニ大学を出ても、彼女とは連絡を続けたいと思っています。ありがとう、ステファニーさん!
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ろう自閉症の中学生の娘さんがいて、私の目標や進路相談を親身になって接してくださいました。
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