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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年4月生活記録 第11期生 牧谷陽平[2018年05月16日(Wed)]
4月はもう最後になるということで,現場で起こったことをそのまま,みなさんのところに届けます。これを読んで,日本の教育がどれだけ素晴らしいか,改めて考え直すのも一つのきっかけになれたらいいなと思っています。

4月は喧騒な日々を過ごしました。California School for the Deaf での春休みを終え,残り4週間ということで,担当するクラスも徐々に増えていきました。日本の教育実習では3週間の間でせいぜい6回まで,私の場合はいろんな事情も重なって,8回だったのですが,個々のろう学校では,最初の3週間で15回以上も担当しました。4月にはクラスも増えていき,1日に6時間もこなす日もありました。2か月間の教育実習では100時間以上もクラスを担当しました。生徒も多様性で,いろんな生徒がいました。特に女子はネガティブで,私が絵を描いたときにへたくそ!わからねえよ!!とか,あんたの言ってることウソばっかり!!などとこちらのやる気を削いできます。なのでこちらからも「あなたのその発言でこちらのやる気がそがれるんだよ」とはっきり言います。黙っておくよりも,気分がよくないことは,はっきりと言って伝える,これが大事ですね。

また,日本ではモンスターペアレンツ (本音を言うとカタカナ表記はよろしくないです。モンスターペアレンツだとかモンスターペアレントだとか議論をする人が出てきたり,ペアレンツの意味が分からない人も少なくなかったりするので, Monster Parents と表記する方が,まだ誤解は少ないです)が問題になっているのですが,このろう学校でもモンスターペアレンツはいます。しかもその人は,同じろう学校の職業に関する授業を受け持っている先生でした。つまり,生徒の母親が,同じろう学校の別の授業を担当している,ということです。先月号でも言いましたが,高校1年生(9年生)の授業です。とある生徒は勤勉で成績もいいのですが,先生の話を真面目に聞きません。いわゆる授業中はおしゃべりだけして,課題だけをこなすというタイプです。私はそれがほかの生徒の学習の妨げになるということで,これも成績に入れることにしました。それは,授業中に説明した問題をきちんと配られた資料に書き込む。簡単なことです。私が問題の解説をして,生徒みんなで議論したこと,解答を書き込んでいく。それをうつすだけです。ですが,その生徒はおしゃべりをしていて,解答を全く書いていませんでした。それに対して,私は授業中の態度を0点にしました。するとその生徒はうろたえて,その資料をなんと,ゴミ箱に捨てました。私はそれを拾い,生徒の所に戻しましたが,生徒はそれを受けつかず,ごみ箱に捨てる一方でした。今まで,自分が正しい,自分のしていることが間違っていないと,自分の誇りが高くなっていたところに,それを折るようなことが入ってきて,それを受けつかないようでしたね。これぞ,アメリカの典型的なパターン。我慢が足りない!

その数日後,私の指導教官の電子メールを確認したところ,その生徒の母親からの電子メールが来ていて,そこには「私の息子は勉強もできる。なのに教育実習生が息子の授業を受け持つようになって,息子は理解できない。(あのー,息子さん,授業中おしゃべりばっかりしていて私の説明を聞こうとしない。。。これって誰に問題があるのでしょうか?)しかも教育実習生は息子の手話言語をきちんと読み取れていない。(あのー,私はアメリカ手話言語を始めて3年目ですよ?あなたの家庭はろう家族であって,息子さんは16年もアメリカ手話言語を使っているんですよ? 逆に息子さんが日本手話言語を3年学習して,私たちが使う手話を100%理解できるのでしょうか?)しかも,息子さんの成績に0点をつけた。この問題を解決せずに,教育実習生の指導を続けるのはやめてほしい(もしもし,この0点は,授業中の活動の点数ですよ。。。私に指導をやめさせてほしいという前に,息子さんときちんと話し合いましたか?息子さんのしていることは全部正しいと言い張るんでしょうか。)」
これにたいし,私の指導教官の返事は
「教育実習生はここのろう学校に来て,すべてのことに圧倒されている。いわゆる “カルチャーショック(文化的衝撃)” が起きているのです。しかも,息子さんたちの授業を受けもったのは先週のことだし,教育実習生にとっても,生徒たちにとっても,お互いに歩み寄るための十分な時間がとれなかったため,こういうことが起きているのだろう。私たちは改めてこれについて話し合い,もう一度成績をつけなおすことにする。一方で,授業中は,生徒は実習生の話を集中として聞いていない。そのあたりも影響している。」と毅然とした態度で母親を納得させていました。

ここで注意してほしいのは,私の指導教官は私にそんなことを全く言わなかったのです。私が一生懸命になって頑張っているところに,それを崩すようなことはさせまいと,毅然とした態度をとってくれたのでしょう(その後,これについて指導教官と話はしました)。教育実習を受け持つ先生はかなりの根気がいります。私の指導教官には感謝しています。

他の授業では,章の中間テストと章全体のテストをしましたが,中間テストのクラスの平均が33%で,全体のテストをするのがとっても心配で,生徒とみんなで議論して,他のもので章のテストをすることにしました。それは自分で問題を作り,自分で解く。かなりの知識と思考を必要とします。私はこのプロジェクトを100点満点ではなく,160点を超える配点で作成し,100点を超えた分は,中間テストの補填にあてるというやり方をとりました。その結果,みんな頑張ってプロジェクトを作成し,成績もあがりました。

この教育実習は私の時間もほとんどとれませんでした。朝の8時から昼過ぎ3時まで授業,そのあとの放課後は個別指導を5時ごろまでして,その後は成績処理や翌日の準備をして,18~19時に帰宅する毎日でした。さらに20時半から22時ごろまでは寄宿舎へ個別指導をしに行きました。その後はまた帰宅し,シャワーを浴びたり,次の日の準備もすることがあって,寝るのが1時になることが日常でした。毎日14時間の勤務は大変でしたが,これはとてもいい経験になりました。
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