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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2018年3月生活記録 【第13期生 山田茉侑】[2018年04月08日(Sun)]
3月、待ちに待った春休みが到来しました!
今回の春休みは、EHDI(Early Hearing Detection &Intervention: ろう難聴早期介入学会)に参加し、帰りは車でコロラド州からカリフォルニア州まで横断しました。

EHDIは、主に義務教育以前の乳・幼児期、特に0-3歳児の言語発達から指導法、親支援などを幅広く取り扱っている学会です。今回は、雰囲気を知るのと、帰ってからの勉強の題材になるキーワード拾いを目標に参加してみました。
実は、以前からEHDIはAudismの雰囲気が強い、と何人かから伺っておりました。しかし、個人単位でお話した専門家の方たちは日常会話に困らない手話スキルを持っておりました。そして、講演者もろうから聴者までおり、内容も多種多様でした。年々雰囲気が変わりつつあるのかもしれません。どの方も親子の関係性について一生懸命考え、その上で言語獲得を最優先課題として熱心にお話ししており、とても勉強になりました。

また、EHDIの一環でコロラド州にあるろう学校2校のうち1校を見学しました。
Rocky Mountain Deaf School (RMDS)

ロッキーマウンテンろう学校.JPG

こちらは、保護者の要望によって建設された学校です。このようなろう学校はアメリカで3校あり、Charter School(チャータースクール)といいます。ASLを最大限に使用した教育を目標にしており、最近できた新しい校舎も、ろう文化を多く取り入れておりました。窓ガラスが多く、校舎の中心にある職員室もガラスの壁でできておりました。そのため、外の光で校舎全体が明るかったです。

トイレが、UNISEXでした。男女のマークもなく、中は広くてシャワー付きでした。ドアが開けっ放しなのもろう文化ですね。

UNISEXトイレ.JPG

また、面白いことに、あえて生後24ヶ月から英語の語彙力強化を目標に「指文字プロジェクト」をスタートしているそうです。12-30%ほどの指文字がASLの中で使われることを考え、導入に踏み切ったそうです。
他のアメリカのろう学校教員からは、子どもの指の力や手話の発達の関係で、指文字の導入時期には慎重になっているという話をよく伺います。なので、プロジェクトとして早期のうちから施行していることに驚きました。
どの年齢だったかは見逃してしまいましたが、週に2-3回、30分ずつ指導の時間を作っているそうです。また、6つの段階に分け、子どもの発達に合わせて指導していると伺いました。
そして、ある程度大きくなったお子さんの指文字は、手話化することもあるそうです。例えば「B/u/t」という指文字が、数年後はNMM (Non-manual markers)などを含み、その時々で様々な意味を持つ手話としての「But」になるそうです。表現の一つとして真似したくなるような魅力的な「But」でした。
日本語の指文字の「ムリ」が手話化したのと同じようなものかと思います。



EHDIの帰り、コロラド州からカリフォルニア州まで車を走らせました。ところどころ立ち寄った観光地もよかったのですが、真っ青な空の下でどこまでも広がる荒野に果てしなく続く一本の車道、これは壮観でした。一生忘れられない景色です。一本の白い道が、アメリカの広大な各州を繋いでいるのだと思うと言葉に尽くしがたい感動を覚えました。

車から.JPG

広大な大地.JPG

そんな春休みが終わり、日常が始まりました。
以下、クラスの状況についてお知らせしたいと思います。

◇Deaf Education
このクラスは、アメリカの教育のシステムを知るための入り口になる大変有意義なクラスです。このクラスで学んだことが、EHDIでの勉強の理解に繋がりました。例えば、section 504が通常学級に適応されるのに対して、IDEA法は特別支援教育に適応されることをクラスで学んだのですが、EHDIで出会った専門家から、保護者との対話ではこのような法律の部分にも発展すると教わりました。それぞれの学校でできることとできないことを話す、と知った時は目から鱗でした。

また、こちらのクラスで出されるエッセイのテーマは毎回面白いのです。
前回は、「ろう教育に関するシステムについて国に提案したいこと」これは考えるほど深みにハマるテーマですね。今回は、「両親への手紙」。2つのビデオを見て、自身の親が選択してきた言語や教育方針を見つめ返しながら親に手紙を書くのです。簡単なプレゼンもあり、周りの学生が何を書くのか楽しみです。わたしも、内容を考えるのに2週間苦心しましたが、未だに内容を思いついては却下の繰り返しです。

◇Reading & Writing class
以前から悪戦苦闘しているクラスです。
「ベイエリアでホームレスになったら、どこに住み、どこでゴミ漁りをするか」というエッセイから始まり、今回は洋書を読んで「なぜ主人公はカルトにひきこまれたのか」というエッセイを書きました。どちらも興味深いテーマです。しかし、best文法, best引用, best構成と、エッセイの書体をこれでもかというぐらいベストな状態にした上で、先生を納得させる論考でないと簡単にDやF評価をいただいてしまいます。心が折れやすい、要注意のクラスです。最初は30人以上いた大所帯のクラスでしたが、映画プライベート・ライアンのように一人また一人と消えていき、現在は気づいたら半分いるかいないかになってしまいました・・・。

今回エッセイを書いて気づいたことがありました。
それは、辞書を多用すると、ナンシー先生のグラマーチェックががっつり入ることです。
例えば、以下の文章
「彼女の両親は、ますます彼女を腫れ物に触れるかのように扱った。」
レポートの書き始めに、「腫れ物に触れるかのように扱う」を辞書で検索し、ひっかかった英文「treated with kid gloves」を使いました。この文章を見たナンシー先生の眉間にシワが。
なんと、「treated with kid gloves」は、overprotect(過保護)と似た意味を持ち「腫れ物に触れるかのように扱う」という意味からズレるそうです。

Treat someone with kid gloves
タクシーの運転手が白い手袋をつけていることから「丁寧に、大切に取り扱う
」という由来から転じて、現在は「甘やかす」という意味になったのだそうです。
例えば、
1)野球で負けたチームの子どもたちが泣き叫ぶので、それ以降は賞を二つ用意し、勝敗に関わらず両チームに賞を渡すようになった。
2)子どもがレストランでふざけた結果頭をぶつけ、「別の席に座りたい!!」と泣き叫ぶので(席自体に問題はないのに)席を変わった。
上記のようなシチュエーションで、誰かを甘やかすときに「treat someone with kid gloves」を使用するそうです。

英語でエッセイを書くときに、うまい言い回しが分からない時は、自分の言葉で別の表現を考えたほうがいいのだなと、真っ赤なエッセイを戒めに思いました。

それでは、次月にまたお会いしましょう。
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