2018年2月生活記録 12期生 福島愛未[2018年03月04日(Sun)]
こんにちは、12期生の福島です。
ここワシントンDCは、30度を超える夏のような暑い日が続いたかと思うと、次の週には肌寒くなり、最終的には雪が降って、大学が閉鎖するなど、日本では考えられないほどの気まぐれな天気です。
さて、今月はブログには乗せきれないほど、多くのことを学びました。
■□Studies■□
■Public Presentations
このクラスでは、様々なシュチュエーションに合わせたプレゼンの方法を学びます。
2週間ごとに、プレゼンをするので、プレゼンの前日は吐きそうになるほど緊張しますが、
回数を重ねるごとに、自分のプレゼンを客観的に分析することができます。
このクラスを受講した目的は、日本では新しいコンセプトである「Deaf Space」を、全く知らない人々に知ってもらうために、プレゼンの知識・技術が必要だと感じたからです。
■Deaf Culture
このクラスでは「Introduction to American Deaf Culture」の本を用いて、ろう文化について学びます。今月、とても衝撃を受けたのは、「Deaf Arts」のもつ影響力です。今まで「Deaf Arts」という言葉は知っていたのですが、実際に見る機会は、あまりありませんでした。しかし、この絵を見たとき、自分の悩みの全てが一枚の絵に収められていることに驚きました。また、聴者とろう者とでは、この絵を見たときの反応が全く異なるそうです。一体、この絵は何を示していると思いますか?

これをきっかけに「Deaf Arts」の魅力にハマっています。
■Entrepreneur
このクラスではビジネスを立ち上げるためのノウハウを学んでいます。ワシントンDCには、ろう起業家を含む、多くの起業家がいます。彼らを招き、どのようにビジネスを立ち上げるのか、どのように失敗から立ち直るのかを学びます。毎クラスごとに、異なる分野の起業家の話が聞けるので、とても面白いのですが、専門用語が難しく、まだまだ苦戦しています。
■Independent Study (Deaf Space)
このクラスではろう者の体や行動、文化に合った空間、Deaf Spaceについて学びます。今月は、Deaf Spaceを学ぶための基礎を学びました。異なる文化の中で建築物を造る際には、その文化を深く知った上で造る必要があります。
例えば、オーストラリアのエアーズロックは、インディアンの所有物ですが、多くの観光客が彼らの文化を理解せず、土足で踏み入れて来ました。そこで、彼らの文化を尊重するため、エアーズロックのそばに資料館を作ることになったのですが、それを担当した建築家は、まずはじめに、多くの時間をかけて彼らの文化を学びました。彼らを尊重した建築物は、現在も彼らに受け入れられています。
Deaf Spaceも同様に、ろう文化を分析した上でろう者に合った空間を作ることが大切です。
そのためにろう文化を深く知り、尊重する必要があります。
次にこの絵を見てください。

答えは、くっつき合っている鳥はおらず、一定の間隔で並んでいることです。この一定の間隔は、鳥が羽を広げるときに、お互いにぶつからないように必要な距離なのです。鳥は、だれかに教えられたわけでもなく、本能的に、直感的にこの距離を保っています。私たちは、「羽を広げるときにお互いにぶつからないようにしている」という分析結果を知って、初めてこの行動に意味があることを知ります。
同様に、ろう者も聞こえないことから日々の生活で、聴者と異なる行動を、直感的に行っています。Deaf Spaceは、この行動を分析することで、ろう者しか直感的に理解できなかったものを可視化し、建築に活かすことができます。
私は今まで、Deaf Spaceの重要性を聴者にうまく伝えることができませんでした。多くのろう者は直感的に、既存の建物がろう者に合わないこと、Deaf Spaceがろう者の生活に必要なことを知っています。しかし、私を含めて、多くのろう者が、それを聴者に伝えることは難しい、うまく言葉にできなかったのですが、これらの例を見てなるほどと思いました。
最後に、#WhyIsignという団体の代表である、Stacy Abramsさんの講演を見に行く機会があり、彼女の話にとても共感しました。この団体の目的は、ろうの子供をもつ聞こえる両親や兄弟に手話を使って貰おうと「Why I sign(なぜ手話をするの?)」と問い掛けて行きます。聞こえる人々もろうコミュニティに入って貰おう、そのためにはろう者も、聞こえる人々を拒まず、受け入れて彼らを支えて行こうという活動をしています。
Deaf Cultureのクラスで読んだ「Introduction To American Deaf Culture」によれば、90%のろう児が聞こえる両親をもち、そのうち90%が彼らとスムーズに会話ができてきません。
かく言う私も、そのうちの一人です。
Gallaudet Universityで学ぶうちに、ろう文化に関する新たな知識を身につける機会が増え、それと並行して内省する機会が増えました。自分は心の底では、家族と本当の意味でコミュニケーションを取りたいと思っているのだ、ということに気づかされました。
そんな私に#Whyisignの活動が心にぐさっと突き刺さりました。私にとっていかに手話が大切なのか、改めて考えさせられた1日でした。
『90%のろう児が聞こえる両親をもち、そのうち90%が彼らとスムーズに会話できない』
この90%が与えるインパクトはとても強烈です。
自分自身を含め、このようなろう児をサポートする#Whyisignのような活動が、日本にも必要だと思います。そのために何ができるか、引き続き、考えて行きたいです。
今月は、自分自身について知る、内省をする月になりました。
Gallaudt Universityでは日々新たな知識を身につけることができるので、来月も楽しみです。
ではみなさん、また来月
︎
ここワシントンDCは、30度を超える夏のような暑い日が続いたかと思うと、次の週には肌寒くなり、最終的には雪が降って、大学が閉鎖するなど、日本では考えられないほどの気まぐれな天気です。
さて、今月はブログには乗せきれないほど、多くのことを学びました。
■□Studies■□
■Public Presentations
このクラスでは、様々なシュチュエーションに合わせたプレゼンの方法を学びます。
2週間ごとに、プレゼンをするので、プレゼンの前日は吐きそうになるほど緊張しますが、
回数を重ねるごとに、自分のプレゼンを客観的に分析することができます。
このクラスを受講した目的は、日本では新しいコンセプトである「Deaf Space」を、全く知らない人々に知ってもらうために、プレゼンの知識・技術が必要だと感じたからです。
■Deaf Culture
このクラスでは「Introduction to American Deaf Culture」の本を用いて、ろう文化について学びます。今月、とても衝撃を受けたのは、「Deaf Arts」のもつ影響力です。今まで「Deaf Arts」という言葉は知っていたのですが、実際に見る機会は、あまりありませんでした。しかし、この絵を見たとき、自分の悩みの全てが一枚の絵に収められていることに驚きました。また、聴者とろう者とでは、この絵を見たときの反応が全く異なるそうです。一体、この絵は何を示していると思いますか?

これをきっかけに「Deaf Arts」の魅力にハマっています。
■Entrepreneur
このクラスではビジネスを立ち上げるためのノウハウを学んでいます。ワシントンDCには、ろう起業家を含む、多くの起業家がいます。彼らを招き、どのようにビジネスを立ち上げるのか、どのように失敗から立ち直るのかを学びます。毎クラスごとに、異なる分野の起業家の話が聞けるので、とても面白いのですが、専門用語が難しく、まだまだ苦戦しています。
■Independent Study (Deaf Space)
このクラスではろう者の体や行動、文化に合った空間、Deaf Spaceについて学びます。今月は、Deaf Spaceを学ぶための基礎を学びました。異なる文化の中で建築物を造る際には、その文化を深く知った上で造る必要があります。
例えば、オーストラリアのエアーズロックは、インディアンの所有物ですが、多くの観光客が彼らの文化を理解せず、土足で踏み入れて来ました。そこで、彼らの文化を尊重するため、エアーズロックのそばに資料館を作ることになったのですが、それを担当した建築家は、まずはじめに、多くの時間をかけて彼らの文化を学びました。彼らを尊重した建築物は、現在も彼らに受け入れられています。
Deaf Spaceも同様に、ろう文化を分析した上でろう者に合った空間を作ることが大切です。
そのためにろう文化を深く知り、尊重する必要があります。
次にこの絵を見てください。

この絵からわかることはなんだと思いますか?
答えは、くっつき合っている鳥はおらず、一定の間隔で並んでいることです。この一定の間隔は、鳥が羽を広げるときに、お互いにぶつからないように必要な距離なのです。鳥は、だれかに教えられたわけでもなく、本能的に、直感的にこの距離を保っています。私たちは、「羽を広げるときにお互いにぶつからないようにしている」という分析結果を知って、初めてこの行動に意味があることを知ります。
同様に、ろう者も聞こえないことから日々の生活で、聴者と異なる行動を、直感的に行っています。Deaf Spaceは、この行動を分析することで、ろう者しか直感的に理解できなかったものを可視化し、建築に活かすことができます。
私は今まで、Deaf Spaceの重要性を聴者にうまく伝えることができませんでした。多くのろう者は直感的に、既存の建物がろう者に合わないこと、Deaf Spaceがろう者の生活に必要なことを知っています。しかし、私を含めて、多くのろう者が、それを聴者に伝えることは難しい、うまく言葉にできなかったのですが、これらの例を見てなるほどと思いました。
最後に、#WhyIsignという団体の代表である、Stacy Abramsさんの講演を見に行く機会があり、彼女の話にとても共感しました。この団体の目的は、ろうの子供をもつ聞こえる両親や兄弟に手話を使って貰おうと「Why I sign(なぜ手話をするの?)」と問い掛けて行きます。聞こえる人々もろうコミュニティに入って貰おう、そのためにはろう者も、聞こえる人々を拒まず、受け入れて彼らを支えて行こうという活動をしています。
Deaf Cultureのクラスで読んだ「Introduction To American Deaf Culture」によれば、90%のろう児が聞こえる両親をもち、そのうち90%が彼らとスムーズに会話ができてきません。
かく言う私も、そのうちの一人です。
Gallaudet Universityで学ぶうちに、ろう文化に関する新たな知識を身につける機会が増え、それと並行して内省する機会が増えました。自分は心の底では、家族と本当の意味でコミュニケーションを取りたいと思っているのだ、ということに気づかされました。
そんな私に#Whyisignの活動が心にぐさっと突き刺さりました。私にとっていかに手話が大切なのか、改めて考えさせられた1日でした。
『90%のろう児が聞こえる両親をもち、そのうち90%が彼らとスムーズに会話できない』
この90%が与えるインパクトはとても強烈です。
自分自身を含め、このようなろう児をサポートする#Whyisignのような活動が、日本にも必要だと思います。そのために何ができるか、引き続き、考えて行きたいです。
今月は、自分自身について知る、内省をする月になりました。
Gallaudt Universityでは日々新たな知識を身につけることができるので、来月も楽しみです。
ではみなさん、また来月




