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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年1月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2018年02月07日(Wed)]

春学期が開始し、気候や気温の激しい変化が長く続く中で体調を崩す者をちらほらと見かけます。自分は体調を崩すことなく過ごせておりますが、引き続き体調管理に気をつけていきます。

◆クラス
春学期は4つのクラスを履修することになりました。

・EDU 713 Language Acquisition and Cognitive Development (言語獲得と認知発達)
言語獲得のプロセスや概念はどこから来るのか。コミュニケーション能力はどのように身につけるのか。ろう者は生まれてから大人になるまで聴者と違って言語獲得のプロセスが違っています。それは聞こえないからではなく、周りや社会の状況によって言語獲得に制限があるということ。そして言語獲得の原理、概念や言語獲得における臨界期などを中心に学びながら議論を深めています。


・EDU 731 Home, School, and Community Collaboration for Diverse Learners
(多様な学習者のためのホーム、スクール、コミュニティコラボレーション)
 
現在、Multicultural (多文化、異文化共存)を中心に学んでいます。視野や見解を広げることなく、偏見はなぜ起きるのか。ステレオタイプ(固定概念を持って見る)の人の中には視野を広げることが難しいという問題例や現状からどのようにすれば良いのか。肌の色からの差別や不公平な状況が生じるのはなぜか。歴史やバックグラウンドなど分析しつつ議論を深めています。


・EDU 670 Teaching Students with Disabilities (障害のある学生への教育)
様々な障害のある人たちにとって良い教育とは、ということを文化的な見方を取り入れながら、学んでいます。
最近良い講義の内容があり、それはユニバーサルデザインの原理についてです。

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↑「Pants for everyone (みんなのためのズボン)」

一見見ると当たり前のように存在しますが、
実際、人の体型はそれぞれ違う。違って当たり前。そして、それぞれの人にあったデザインを考えます。

障害のある人も同じように、その人に合ったデザインを考えるとフェアなEquity となる。しかし、その行為が「してあげる、助けてあげる」というEquityとはまた異なった見方や考えを持つ者も出ます。

もし、細めの体型で背が低いのが当たり前で、そのサイズしかないという世界が存在する。もし、体格が大きめだったり、背が高めだったらその人はその服を着るのに問題が生じます。もし、周りの人に合わせるという視点だけで捉えると、ありえないことですが、その体型の人はもっと細くするのが良い、骨を削ったりして小さくするのが良いというのと同じように、
ろう者に置き換えると、口で喋れるのが良い、聞こえるほうが良い、聞こえる人と同じが普通という、ろう者という立場(民族的な)や現状に合った制度ではありません。

IMG_2531 2.jpg
合っていないと…
(パワーポイントの写真に注目)

体型における服装の面で、そのような不公平さがあまり生じていないのは、普段の生活で様々な体型の人をよくみかけることと人々が自然に認識しているからとも言えるでしょう。しかし、ろう者は少数派。聞こえないことや手話などに対してマイナスな面で認識している面が存在していること、違いを認めることは、その人の文化性、民族性を理解することが大切とも言えるでしょう。しかし、実際には解決していない問題が色々あります。根深い問題だと思ったものです。


・EDU 793 Field experience in Education (教育現場体験)
このクラスは、前学期の時に、今学期アメリカのろう学校での経験をしてみたいという要望や相談をしてみたところ、Model Secondary School for the Deaf (MSSD)で見学及び、アシスタントさせていただくことになっています。対象学年は高等部で、美術の授業に参加することになっています。
アメリカの美術の授業の進め方やデフアートの授業を見ることができるので楽しみにしています。

IMG_2553 2.jpg
↑Model Secondary School for the Deafの入り口

◆最後に
ほとんどのクラスにMulticultural (多文化、異文化共存)というワードがよく出ています。これは、違いを認めることについて繋がりのある内容なので興味深いです。またアメリカに生活し、様々な人と交流していると、問題があると、これがあれば〜ことができる。人はそれぞれ違っているから違いを尊重し理解する。そして、これをすればできる。という人によく出会うことがあります。日本では、問題があるとそれをなくすためにはどうしたら良いか。どうしたら周りと同じようにできるか。という傾向性 。このような違いを比較しながら体験できているのは良い経験になってます。
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