
2017年9月 生活記録 【第12期生 西 雄也】[2017年10月05日(Thu)]
ワシントンDCで生活し始めてから約一ヶ月半が経とうとしています。
ここワシントンDCでも、様々な人種が住んでいるので、多文化共生について違う視点で見て学び、経験できるので楽しみにしています。
さて、クラスが開始する前、一週間のオリーエンテーション期間があり、大学院のオリエンテーションを中心に参加しました。そこでは大学院の生活に必要なことや先輩の経験談、ディスカッションが行われました。
しかし一つ問題があり、大学院のオリエンテーションと新入生のオリエンテーションと被っているのです。大学のサポーターの方と相談したところ、大学院のオリエンテーションを中心に受けて欲しいとのこと。しかし、大学院生活に必要なBlack Board(電子黒板、授業のカリキュラムや課題の提出、成績の確認など、毎日チェックする必要があります。)やクラス開始前に済ませておく必要のある手続き(もし済んでいなかったらクラスを受けることができません。)など、重要な情報を受けることができず、あたふたしましたが、他の学生や他の留学生と情報交換しながら、無事に必要な手続き等済ませることができたものです。

↑大学院のオリエンテーション
今学期、大学院で履修しているクラスは4クラスであり、各クラスから出される宿題が多く、本を読むだけで、毎週合計100〜200ページの枚数を読む必要があります。また他にも課題が出てくるので、 あまりの課題の量の多さに最初の頃は戸惑う日々でしたが、徐々に現地での生活に慣れつつあります。それでも課題を進める大変さは変わりないので前向きに頑張れるようにしたいと思います。

↑Fowler Hall
(ろう教育関連のクラスはほとんどここで学んでいます。)
◆履修クラス
EDU600
K-12 Curriculum and Instructional Technology(K-12カリキュラムと科学技術による説明)
このクラスは、現在一番多くの課題が出され、「K-12 カリキュラム」を中心に学んでいます。ここで学ぶ「カリキュラム」は「指導案」と同じ意味であり、教員がカリキュラムを作成するときに必要なノウハウやイメージ、指導案を立てるときに教師がどんな心構えをすることが大切かを本や議論の中で学んでいきます。毎週小テストが出されるので気を抜くことができません。また、カリキュラムの作成もシミュレーションしながら行い、PCのウェブサイトを作成する取り組みも行います。
EDU701
Deaf Learners and Education in Bilingual Communities
(バイリンガルコミュニティにおけるろう学習者と教育 )
現在、学んでいるのは、ろう者のコミュニティや昔、ろう者が病理学的に見られがちだったことによるマイナスな出来事、マイノリティ(社会的少数者)であるがゆえに聴者からの抑圧やコントロールを受けがちな話や抑圧を受けてきた時のろう者の心境、時代的背景について、学んでいます。また本の中に、アメリカには黒人が白人から差別を受けた内容があり、どのように現在まで改善していったかを時代的背景から学んでいく内容もあります。なぜなら、黒人はマイノリティではありませんが、白人が社会的に「特権」を握っており、黒人が社会的弱者という立場で抑圧を受けている面では、ろう者と共通している点があり、黒人の権利を主張する運動から学ぶ点があるということです。なぜ、抑圧を?ろう者にとって生きること(アイデンティティ)のポジティブな面は?などを議論しています。このクラスは、毎回議論が行われるのでクラス開始前までの予習が欠かせません。
EDU720
Introduction to Research(研究入門)
研究をするために必要なノウハウやルールを学びながら、自分で決定したテーマを様々な書籍から検索してまとめたりします。このクラスで使う本は毎週オンラインでの小テストが出されます。
EDU785
Field Experience and Seminar(フィールド体験とセミナー)
様々な学校を見学し、説明や講演を受けたりします。学校見学がない日は、クラスの中で毎週、議論をしたり、ろう教育について、グループで決めたテーマを元にグループワークをしています。
この間は、Rockville高校へ見学に行ってきました。一般校ですが、ここでは何人かのろう者(約400人)が在籍しています。この日は、ろう者が多くの聴者と一緒に授業を受けているクラスを見学しました。このクラスの中には、授業を進める教員とアシスタントが1、2名、手話通訳者がいました。授業が終わった後、もし授業の内容がわからなかった時のためにサポートを行うクラスもありました。そのクラスのサポートを受ける人の多くは何人かのろう者、中には発達障害(LD)を伴う人もいます。また、言語獲得や学力が家庭環境や別の国によって十分に獲得できず、高校生から勉強し始めた、別の理由で学習面が困難などと様々な背景を持った学生がいるそうです。
そして、この学校には手話クラス、口話クラス、キュードクラスがあり、生徒の希望に応じて選択するそうです。更に聴者クラスの中に「手話」という授業もあります。
この学校のシステムは複雑な印象を受けましたが、また新たな視点から学ぶことができたのは良い勉強になりました。

↑Rockville高校
◆生活面
ギャロデッド大学大学院ろう教育専攻の学生は聴者の学生が多く、みんなASLが流暢な方々なので、ろう者なのか聴者なのか見分けがつきにくいほどでした。友人もでき、生活が始まってから色々助けて貰うことがあったので、助かっています。
10月に入ってからは段々と冷え込むので体調管理に気をつけて生活していきたいと思っています。
余談ですが、日本では身長や道の距離の長さ、深さなどメートル(meter)法で表すのですが、アメリカでは、インチ(inch)、マイル(mile)メートル(meter)とそれぞれ状況によって使い分けています。それぞれ、長さの定義が違うので、アメリカの友人から身長の話題が出た時にすぐに答えることができなかったことがあったので、徐々に慣れていけるようにしたいと思ったものです。