
2017年5月生活記録 第10期生 山本綾乃[2017年05月30日(Tue)]




5月12日、ギャロデット大学の卒業式がありました。
5月上旬は、卒論プロジェクト発表や卒業生自ら企画を立てた卒業パーティの準備など慌ただしい日々が続き、卒業したと実感できたのは、ビデオを落ち着いて見たり、みんなから暖かいお祝いの言葉を頂いたりした後でした。
(卒業式のビデオには、二回顔を出してもらえました。卒業生みんなの誇らしげな表情、代表学生の真剣なスピーチ、学長の挨拶など、一つ一つに感動しました)
ここで、ろう児・者とかかわる皆さんと共有したい言葉があります。これはろう教育学部の教授、L先生が自ら考案した言葉です。
“We know many things that a deaf learner does NOT know, but
we don’t know many things that a deaf learner DOES know”
私たちは、ろう学習者が知らないことを多く知っている。しかし、私たちは、彼らが知っている多くのことを知らない。
ろう児・者には、できないことや知らないことが多いでしょうか。答えはNoです。彼らにもできること、知っていることはたくさんあります。
全ての領域にも共通して言えますが、彼らのすでに知っている知識や経験から、本質的な内容へつなげることが大切だと学びました。個別教育計画などから、彼らの基礎的な背景を知り、豊かなコミュニケーションを通して、実態把握をすることが必要なのだと思います。
実際に自分がケンダルろう学校の子どもたちとかかわった時、当初話を聞くことが難しい子だなと思っていたのに、ある日突然私に興味を持ってくれ、たくさん質問してくれました。一つずつ答えると、へえそうなんだと会話がしっかり成り立っていて驚きました。子どもなりのタイミングを大切に、彼らのできることに目を向けて、力を伸ばしていきたいです。
3年間の留学生活は、とても濃い日々でした。学問だけでなく、生きる力も身につけることができました。石の上にも三年という諺があるように、何事にも辛抱強く続けていれば、真の力につながるのだと体感しました。
(ろう教育学部の仲間たちとともに)
今年の夏は、残りの課題を全て終えることが目標です。本帰国日まで引き続き頑張ります。