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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2017年4月生活記録 第11期生 山本芙由美[2017年04月22日(Sat)]
こんにちは!第11期生の山本芙由美です。

日本では桜が満開になる頃でしょうか、こちらワシントンDCでは気温差が激しく、せっかく咲いた桜も短期間ではかなく散ってしまいました。私の地元である京都、円山公園の桜が恋しくなってきました。

さて、4月は最終テストに向けて、どのクラスも大詰めです。ソーシャルワーク学部のLGBT Studies(LGBT学)では最終プロジェクトとして、それぞれチームに分かれてビデオ撮影編集することになりました。私のチームは学内のLGBTQA Resource Center(LGBTQリソースセンター)の紹介、そして、Gender Identity(性自認)/Sexual orientation(性指向)に関するASL手話単語を担当することになりました。他のチームは「LGBTQとメンタルヘルス」、「ジェンダーとトランスジェンダー」、「政治的な問題としてのLGBTQ」などと興味深いテーマが取り上げられていました。

そして、完成した動画については帰国報告会でお披露させていただきますが、同じ性自認でも捉え方や持ち方は人それぞれで、これが正しいといったコンセプトがないということが伝わってきます。

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例えば、動画に出演されるDavidさんは私と同じQueer(クィア)ですが、彼は異性愛主義社会(Heterosexism)に対抗するという意味で性自認として位置づけています。私はHeterosexismに対してはもちろん、LGBTQコミュニティー内でのラベリング、カテゴライズ化に対抗するという意味で使っています。アイデンティティーについて、政治哲学者のミシェル・フーコーが注目したように、権力と抵抗の関係は複雑に錯綜しています。 人々は抑圧のカテゴリーを利用しつつ,抑圧自体を抵抗とアイデンテイテイの核とします。(Foucault1979) そのように、Queerを自認する人が100人いるとしたら、その捉え方も100通り、他の性自認にも同じことがいえると思います。

私自身、これまで日本で動画を撮影したりしましたが、字幕やイラスト、カットしたりする等の編集作業は素人に近く、いつも得意な友人にお願いしていました。今回、幸いにも学生自治会などで動画編集経験が豊富なDavidさんがいたおかげで、彼にひとつひとつ優しく(?)教わりながら進めることができました。多くの人たちが魅かれるような演出、字幕の作り方については日本と違って、やはりポップな感じでした。そのような演出や技術を日本でも活用したいと思っています。

ここアメリカではソーシャルメディアなどでLGBTQに関連した動画が多く発信されています。ポジティブにポップな感じで語る動画が多く、楽しく鑑賞することができます。そのような中、「BuzzFeed」という動画発信サイトが有名で、LGBTQに関係した教育動画やインタビュー動画、ファッション動画などが毎日発信されています。もちろん、英語字幕もついていて、私たちろうLGBTQも楽しく鑑賞することができます。


そして、ギャロデット大学では4月14日〜16日までColor Fest 2017(LGBTQろう学生の集い)が開催されました。今年で10年目になるということでキャンパス全体が虹色に染まるなど、盛大に行われていました。私自身もろうパンセクシュアルの友人と組んで二つプレゼンテーションをしました。

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ひとつ目が「International Deaf LGBTQ scholars in Higher Education of US and Human right protection: Are you or they safe in the LGBTQ-friendly institution or the city where are you in?」(米国の高等教育機関における、ろうLGBTQ留学生の人権: あなたがいる国/市街地はLGBTQに友好的で安全ですか?)です。これはギャロデット大学に在籍する国際ろうLGBTQ留学生を中心としたワークショップで、自分の国のLGBTQに対する法律、法整備についての理解、LGBTQであることで死刑や服役させられる国から来たろうLGBTQ留学生が卒業後、自分の国に戻った時、安全に生活を進められるかどうかなどを話し合いました。国際ろうLGBTQ留学生を中心としたワークショップは初めての試みでしたが、やってよかったと思っています。

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(カナダからの留学生Sallyさんと)

ふたつ目が「Myth Busters: LGBTQA+ Community」(LGBTQコミュニティーにまつわる怪しい神話)です。LGBTQコミュニティーにもさまざまなステレオタイプがあり、LGBTQ障害者はセックスに関心がないという神話、トランスジェンダーは男性あるいは女性に性別移行したい人というような神話などがあります。これは全てステレオタイプによるもので、実際、トランスジェンダーには性転換をする人、男装・女装で生活する人、本当にさまざまです。自分自身で先入観をどう識別し、正しい情報を得れるためにはどうしたらよいかといったトレーニングをしました。

また、翌週の20日にはUniversity of Maryland (メリーランド大学)での国際留学生のためのLGBTQ教育プログラム会議 Somewhere Over the Rainbow Conference 2017で日本人ろうQueer留学生として感じたこと、日本のろうLGBTQコミュニティーの開発支援についてお話させていただきました。この会議は高等教育機関などで留学生を支援する専門職の人たちや留学生の多くが参加者で、ほとんどが聴者でした。参加者に英語音声言語で確実に伝えるために手話通訳の方と何度も打ち合わせをしました。私のASLスキルがまだ乏しい中、私の伝えたいことをしっかり通訳してくれた通訳者の方には大変感謝しています。

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(日本の文化的背景について)

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(メリーランド大学リーダーシップ主導ディレクター、LGBTQ平等センターで勤務されているNic Sakurai氏と)

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(お世話になった手話通訳者の方たちと)

春学期まで残り2週間となりました。春学期終了後の研修先も確保でき、ホッとしているところです。研修先はアメリカ以外の国ですが、そこでもろうLGBTQ支援について、しっかり学びたいと思っています。詳細は5月生活記録で報告させていただきたいと思っています。

それでは、また。


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