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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2016年12月生活記録 第11期生 <牧谷陽平>[2017年01月21日(Sat)]
12月はRITでの最後の週がある月でした。今学期でとったクラスの説明をします

General Method (教育指導法のクラス)
このクラスは教育の指導法を研究していくクラスです。このクラスは宿題は比較的少なめでしたが,一つ一つの宿題が重いものでした。もちろん,模擬授業をしたのですが一人2回で,成績にも影響するものでした。ピタゴラスの定理を20分×2回の40分間しました。数学の用語が英語でわからないので,読み書き言語(つまり英語)を極力使わずに,視覚による授業をしました。私の模擬授業では3つのキーワードを取り扱って,あとは手話とジェスチャーで授業をしました。クラスメイトが生徒を演じたのですが,日本と違っていろんな質問をされました。
なぜピタゴラスの定理に “2乗” があるのか,とか √(根号) って何なのか,そしてピタゴラスの定理は勝手に想像して作られたものでしょ!などの質問がありました。日本でもこういう個性のある質問が出てくることを願っています。

Structure of ASL and English (ASLと英語の言語学のクラス)
生活記録でも何回か報告したクラス。宿題が半端ないクラスでした。でも今まで受けた中で,中身のいい,上位に入るクラスでした。最後のテストではかなり凝った問題が出ました。
“言語とは何か。その説明文にある言葉の説明も含めて答えよ。” や,教育現場で,他の先生にASLと英語対応手話 (3つ以上あるが重要なもののみ使用) の違いをASLの “文” で説明せよ。などといった,かなりいい問題が出ました。

History of American Schools (アメリカの学校の歴史のクラス)
アメリカの学校の歴史を,アメリカや世界中の歴史背景とあわせて学習しました。このクラスも宿題の量が多かったです。


Psychology (心理学のクラス)
このクラスが一番今学期で私を悩ませたクラス。先生が専門用語をたくさん使い,パワーポイントには字がびっしり,現地のアメリカ人でも意味が分からない講義でした。でも私は何とか,クラスメイトの助けを得て,乗り越えていきました。

Raster & Vector (Adobe Photoshop, Illustrator) (コンピューターのクラス)
昨年に引き続き,Adobe Photo Shop, Illustrator をさらに掘り下げていくクラスでした。こちらも宿題の量が多かったのですが,院のクラスの宿題と違って,1時間程度で終わる宿題ばかりでした。

◆今回のひとこと◆
大学内で生徒に数学のことを聞かれて教えることがあるのですが,生徒のレベルは様々です。分数の計算が分からない人(2/3 - 3/2 を 分母は分母で引いて,分子は分子で引く),文字式の計算でミスを多くしている人(3(a+2) – 4(a-3) で, かっこの外し方でミス)もいます。一番びっくりしたのが,とある学生さんが計算をしていたのですが,その学生さんが計算しようとしていた式は

12-8

これができずに手が止まっていたんです。。。しばらくその様子を見ていると,おもむろにiPhoneを机の上に出して,その電卓機能で計算していました。。。
さすがにこれにはショックを受けて,アメリカの数学のレベル・ランキングを調べたのですが,アメリカはOECDのテスト(数学)で最下位になっていることを知りました。(2013年の記事です)
http://www.businessinsider.com/pisa-rankings-2013-12
もっと生徒を見ると,みなさん基本の数学で躓いています。そのせいもあって,基本レベルの数学のクラスで伸び悩んでいるようでした。そのため,クラスでやっている内容よりも,その基本的な計算を一生懸命してしまう結果,クラスで学習した内容が身につかずじまいになっていました。
日本で,暗算ができるように計算を特訓するということは,日常の生活だけでなく,これから10,20年間でやっていく応用数学のクラスでも効率よく学習していく基盤であることを改めて実感しました。

OECD: 経済協力開発機構の略称。ヨーロッパを中心に,日本やアメリカも加盟している機構。この機構が実施するテスト “PISA (生徒の学習到達度調査)”

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