
竹の節[2007年07月27日(Fri)]
前回ニュージーランドからやってきた高校生と一緒に竹林の間伐作業をした話題を書きました。彼らは間伐作業だけでしたが、切り取った竹は生で水分がある間に炭材に仕上げなければ、乾燥して竹が硬くなって作業能率が落ちるだけでなく、鋸や鉈などが傷みやすくなります。
今回は間伐した竹を炭窯へ入れるまでの炭材つくりについて書き進めていきますが、その作業の中で、竹の節の硬いことといったら!と感じていました。
そこで、竹の節のことにもふれてみました。
作業の流れ
間伐した長さ2.1メートルの竹は、作業ヤードへ運び込みます。
炭材つくりのヤードはクリーンセンターへの進入路の橋の下にあります。運搬してきた竹は、橋のたもとから落とします。下は崖になっていてそのわずかな平地を利用した細長い場所が作業ヤードです。橋の下なので天候に左右されることがなく、風通しもよく炭材つくりに適した場所といえます。
その一連の作業は以下の通りです。
間伐した竹の搬入
↓
寸法切り(窯に入る規定の長さ)
↓
竹を1/4,1/5分割に割る
↓
竹の節を取る
↓
運びやすい重さに束ねる
↓
風通しのよい場所に保管
寸法切り
炭窯の奥行きは90センチですが、焚口はレンガで壁を作るために、また、窯の奥は風の流れをよくするため隙間を作るために、炭材の長さを70センチにしています。
間伐した竹は「生」うちに切ると切りやすいのですが、乾燥すると硬くなって鋸も傷みやすいので、できるだけ早い時期に行うよう心がけています。
急ぐときは電動のこぎりで切ることもありますが、写真のように、切るのは2箇所ですから、前もって定規で印をしておいて二人で一気に切り落とすと、能率も上がります。

竹を分割する作業
写真で示すのは竹を5分割する治具(じぐ)です。治具とは、機械工作の際、刃物や工具を加工物の正しい位置に導くために用いる補助工具です。
細い径の竹は4分割にできる治具を用いています。これらの治具は鉄製で、別注で作ったものです。

「竹を割ったよう」という表現があるように、竹は一直線に割れます。

写真でわかりますように、この分割器を支える治具を考案しましたので、かけや(掛矢:樫『かし』などの堅木で作った大きな槌『つち』。くい打ちや扉を打ち破るのに用いる)で、1回打ち込めば容易に分割できます。
時に竹に雨水が入っている場合があり、辺りに飛び散ることがあります。
竹の節を取る
竹の節は意外と硬いものです。鉈を使って切り落とすか、鉈の刃の付かない方の先で思い切り叩き落すかして竹の節を取っています。
考えて見れば、竹林で10メートルを越す長い丈の竹が風になびいている、芯の強い姿を見ると、竹には節があるからだといえます。その節が長い竹の自重や風に耐えているのですから、強固で硬いのは当然といえます。
その昔、構造力学を教えていただいた教授は「竹の節」を研究されていると聞いていました。私はその研究内容を知りませんが、植物学上の研究ではなく、竹と同じように構造物に節を入れることによって構造物の耐力がアップする力学的な研究をされていたのではと推察しています。

竹の節の役目
炭材つくりの作業をするとき、私は主に竹を分割するとか、節を取る作業など少し力がいる仕事をしています。
それにしても切り取って日の浅い竹の節が、鉈を1回たたいても一気に節が取れないもどかしさとともに、なぜこうも硬いのかと思ってしまいます。
図書館から借りた本には、竹の節に関することは見当たりませんでしたが、インターネットの「竹 Bamboo Home Page」に竹のエッセイで「苦節十年」の中に以下の文章を見つけました。
「まず、『竹はなぜ丸いのか?』を考えてみたい。竹が丸いのは当たり前と言えばそれまでであるが、それなりの理由がある。そもそも丸い形を物理的にとらえると、あらゆる圧力に最大限に抵抗し得る無駄のない理想的な形と言える。
一般に、上からの力、つまり圧縮応力を受ける場合、それを受ける面がどんな形であろうと、それを受ける面では、その力は外側に大きく分布する。例えば、棒状のものに上から力が加わると、棒のある面ではその力は中心から外側に大きくなる。丸い棒状の断面では外側ほど大きな力が加わるという理屈になる。
したがって、竹が丸く、しかもパイプ状であると言うことは、上からの力が少なく掛かる中心部分を空っぽにして、出来るだけ少ない量の木質部で身体を支えている形なのである。
ところが、竹が生活するためには上からだけでなく、横からの力にも耐えねばならない。むしろ、横から不規則に掛かる風雪などの力は上からの力よりも強力である。したがって、竹が単なるパイプ状だけではねじれたり、割れたりして直立出来ない。
そこで存在するのが節である。この節の存在はパイプを一定間隔に補強する役目になり、その結果あの素晴らしい弾力が生まれるのである」と竹の節の役目が書いてありました。
硬い竹の節を利用している尺八
また、「竹の節、硬い」で検索してみると、尺八は硬い節を利用して作られていることを知りました。
「学校教材用尺八」の中に、「歌口は竹の節を利用しております。竹の節は強くて硬い所で良い音色になります。竹と言う素材が、横笛(篠の竹)尺八(真竹)と言う楽器として誕生。吹き口を斜め切り又は、穴を開けて息を強く吹くと音がでます」と書いてあり、思いもよらないことを知るきっかけになりました。
さらに、小学校時代には「茶碗の湯」、中学校では「線香花火」を国語の教科書で習った科学者で、随筆家でもある寺田寅彦が「日本の竹管楽器、尺八に関する音響学的考察」という英語で書いた論文の邦訳版を見つけることができました。
興味をもたれた方は、ネットで「尺八の音響学的研究」で検索すれば出てきます。
運びやすい重さに束ねる
「竹の節」が節目になって作業が中断してしまいましたが、本来の作業にもどります。
作業ヤードから炭窯までは狭い作業道を通らなければならないので、一輪車を利用しています。
また、保管している場所は崖のわずかな空間を利用していますので、バケツリレー方式で手渡しすることもあります。そこで、持ちやすい重さに束ねています。
写真のように、節を取り除いた竹を重ねて両側に一杯になった段階で、両側からくくりつけます。こうした束ねるためのちょっとした道具もみんなの工夫で出来上がったものです。

保管
束ねた炭材は風通しのよい場所に積み上げて保管しています。伐採してから4ヶ月間は乾燥した上で竹炭やきに使うようにしています。
今回は間伐した竹を炭窯へ入れるまでの炭材つくりについて書き進めていきますが、その作業の中で、竹の節の硬いことといったら!と感じていました。
そこで、竹の節のことにもふれてみました。
作業の流れ
間伐した長さ2.1メートルの竹は、作業ヤードへ運び込みます。
炭材つくりのヤードはクリーンセンターへの進入路の橋の下にあります。運搬してきた竹は、橋のたもとから落とします。下は崖になっていてそのわずかな平地を利用した細長い場所が作業ヤードです。橋の下なので天候に左右されることがなく、風通しもよく炭材つくりに適した場所といえます。
その一連の作業は以下の通りです。
間伐した竹の搬入
↓
寸法切り(窯に入る規定の長さ)
↓
竹を1/4,1/5分割に割る
↓
竹の節を取る
↓
運びやすい重さに束ねる
↓
風通しのよい場所に保管
寸法切り
炭窯の奥行きは90センチですが、焚口はレンガで壁を作るために、また、窯の奥は風の流れをよくするため隙間を作るために、炭材の長さを70センチにしています。
間伐した竹は「生」うちに切ると切りやすいのですが、乾燥すると硬くなって鋸も傷みやすいので、できるだけ早い時期に行うよう心がけています。
急ぐときは電動のこぎりで切ることもありますが、写真のように、切るのは2箇所ですから、前もって定規で印をしておいて二人で一気に切り落とすと、能率も上がります。

竹を分割する作業
写真で示すのは竹を5分割する治具(じぐ)です。治具とは、機械工作の際、刃物や工具を加工物の正しい位置に導くために用いる補助工具です。
細い径の竹は4分割にできる治具を用いています。これらの治具は鉄製で、別注で作ったものです。

「竹を割ったよう」という表現があるように、竹は一直線に割れます。

写真でわかりますように、この分割器を支える治具を考案しましたので、かけや(掛矢:樫『かし』などの堅木で作った大きな槌『つち』。くい打ちや扉を打ち破るのに用いる)で、1回打ち込めば容易に分割できます。
時に竹に雨水が入っている場合があり、辺りに飛び散ることがあります。
竹の節を取る
竹の節は意外と硬いものです。鉈を使って切り落とすか、鉈の刃の付かない方の先で思い切り叩き落すかして竹の節を取っています。
考えて見れば、竹林で10メートルを越す長い丈の竹が風になびいている、芯の強い姿を見ると、竹には節があるからだといえます。その節が長い竹の自重や風に耐えているのですから、強固で硬いのは当然といえます。
その昔、構造力学を教えていただいた教授は「竹の節」を研究されていると聞いていました。私はその研究内容を知りませんが、植物学上の研究ではなく、竹と同じように構造物に節を入れることによって構造物の耐力がアップする力学的な研究をされていたのではと推察しています。

竹の節の役目
炭材つくりの作業をするとき、私は主に竹を分割するとか、節を取る作業など少し力がいる仕事をしています。
それにしても切り取って日の浅い竹の節が、鉈を1回たたいても一気に節が取れないもどかしさとともに、なぜこうも硬いのかと思ってしまいます。
図書館から借りた本には、竹の節に関することは見当たりませんでしたが、インターネットの「竹 Bamboo Home Page」に竹のエッセイで「苦節十年」の中に以下の文章を見つけました。
「まず、『竹はなぜ丸いのか?』を考えてみたい。竹が丸いのは当たり前と言えばそれまでであるが、それなりの理由がある。そもそも丸い形を物理的にとらえると、あらゆる圧力に最大限に抵抗し得る無駄のない理想的な形と言える。
一般に、上からの力、つまり圧縮応力を受ける場合、それを受ける面がどんな形であろうと、それを受ける面では、その力は外側に大きく分布する。例えば、棒状のものに上から力が加わると、棒のある面ではその力は中心から外側に大きくなる。丸い棒状の断面では外側ほど大きな力が加わるという理屈になる。
したがって、竹が丸く、しかもパイプ状であると言うことは、上からの力が少なく掛かる中心部分を空っぽにして、出来るだけ少ない量の木質部で身体を支えている形なのである。
ところが、竹が生活するためには上からだけでなく、横からの力にも耐えねばならない。むしろ、横から不規則に掛かる風雪などの力は上からの力よりも強力である。したがって、竹が単なるパイプ状だけではねじれたり、割れたりして直立出来ない。
そこで存在するのが節である。この節の存在はパイプを一定間隔に補強する役目になり、その結果あの素晴らしい弾力が生まれるのである」と竹の節の役目が書いてありました。
硬い竹の節を利用している尺八
また、「竹の節、硬い」で検索してみると、尺八は硬い節を利用して作られていることを知りました。
「学校教材用尺八」の中に、「歌口は竹の節を利用しております。竹の節は強くて硬い所で良い音色になります。竹と言う素材が、横笛(篠の竹)尺八(真竹)と言う楽器として誕生。吹き口を斜め切り又は、穴を開けて息を強く吹くと音がでます」と書いてあり、思いもよらないことを知るきっかけになりました。
さらに、小学校時代には「茶碗の湯」、中学校では「線香花火」を国語の教科書で習った科学者で、随筆家でもある寺田寅彦が「日本の竹管楽器、尺八に関する音響学的考察」という英語で書いた論文の邦訳版を見つけることができました。
興味をもたれた方は、ネットで「尺八の音響学的研究」で検索すれば出てきます。
運びやすい重さに束ねる
「竹の節」が節目になって作業が中断してしまいましたが、本来の作業にもどります。
作業ヤードから炭窯までは狭い作業道を通らなければならないので、一輪車を利用しています。
また、保管している場所は崖のわずかな空間を利用していますので、バケツリレー方式で手渡しすることもあります。そこで、持ちやすい重さに束ねています。
写真のように、節を取り除いた竹を重ねて両側に一杯になった段階で、両側からくくりつけます。こうした束ねるためのちょっとした道具もみんなの工夫で出来上がったものです。

保管
束ねた炭材は風通しのよい場所に積み上げて保管しています。伐採してから4ヶ月間は乾燥した上で竹炭やきに使うようにしています。