
第184話 地中に深く伸びる直根で植樹する[2013年07月15日(Mon)]
箕面だんだんクラブでは、2007年から「箕面市体験学習の森」で植樹を行っている。
箕面市広報誌「もみじだより」を通じて、一般市民に呼び掛けると共に、箕面クワガタ探検隊などの協力を得てすでに6年を経過している。
2008年に「小鳥の水場」近くの日当たりのよい場所に植えたクヌギは、写真1のように4年強で一番大きく育っている。
クヌギ等の苗木は、初年度の2007年は、財団法人「大阪みどりのトラスト協会」からの助成で購入した。
購入のため苗木の育ち具合等を見学した会員から、この程度ならどんぐりから発芽させて苗木を育てられると確信し、翌年から自前でクヌギやコナラ、エノキ、ヤマグリなどをどんぐりから育てている。
平成20年12月14日に公開したブログ「第110話 今年もクヌギの苗木の植樹を行います」の記事に「今年の苗木26本は、昨年10月に拾ったドングリ(クヌギの実)をポットに植えました。今年の4月には発芽して順調に育ち、現在は60センチほどの苗木に育っています」とポットで育てた苗木を使っていた。
苗木は当クラブ初代代表のKさんが自宅の庭で育てられていて、2〜3年に育った苗木を植樹の時に持ってきてもらっている。
ポット苗や根切りした苗は防災林として役に立たない
今年2013年6月19日朝日新聞夕刊の環境欄に、「防災林植え方に警鐘・『地中深く伸びる直根(ちょっこん)、切らないで』」という記事を見つけた。
その記事によると「東日本大震災で被災した東北地方の防災林再生が、地盤整備の進んだところから始まっている。広く使われている『ポット苗』や根切りをした苗は、『地中深く根が伸びず防災に役立たない』と山寺喜成(よしなり)・元信州大学教授は危機感を持つ。被災地に何を植えるかはずいぶん議論されたが、植え方への関心が低すぎると憂えている…… 直根が長いと深い穴を掘らなければならず、作業が大変になる。また、直根を切って細い側根を増やした方が根付く確率が高いという学説があり、広く受け入れられてきた。プラスチック容器で育てる『ポット苗』は、直根を切ることはしない。ポット内で根が伸びてぐるぐる巻きになる。
山寺さんは、ポット苗を植えて7年後に掘る返し、根が丸いこぶ状になっていたのを観察している。これでは津波や土砂崩れにあったらすぐに倒れてしまう。
実際、東日本大震災の大津波で根こそぎひっくり返ったマツのほとんどで直根が見られなかった。山寺さんは「『直根を切るな』を新しい常識にする努力を急ぐべきです」と訴えている。
保育ブロック苗
山寺さんは、「ポット苗は直根が育たず、根がぐるぐる巻きになって、土砂崩れで植樹した木はすぐに倒れてしまう」ので、直根を育てる方法として、土壌と肥料を固めて真ん中に穴を通したブロックを使う「ブロック苗」で直根がまっすぐ育つ工夫をしている。
穴に沿って根の発達が抑制されないで、直根がまっすぐ育つが、植林するときには、ブロックの重さが短所になる」と記事は指摘している。
孟宗竹を活用して苗木を育てている
6月27日の活動日に、上記新聞記事をどんぐりから苗木を育てている初代代表のKさんに見せると、最初の1回目だけはポットで育てたものを購入していた。
2008年からは直根を育てなければならないと気が付いて、40cmほどの孟宗竹を2つに割り、節を取ってその中にどんぐりを入れて育てているということだった。
その苗木の状況を見せてもらった。
竹は35cmだが、2年を経過したクヌギの苗は、直根の全長は55cmまで伸びていた。
結束した2ケ所を外し、写真4のように竹筒の中を見せてもらった。
竹筒は肉厚が薄く比較的軽く2ケ所の結束で十分に形状を保っている。結束を外しても簡単に元の状態に復元することができた。
植樹する当日に、竹筒から苗木だけを簡単に取り出し、直根を新聞紙にくるんで、湿り気を保って現場まで運んでくる。
苗木だけの重さだけなので、運搬は乗用車で現地まで運んでいる。
この竹筒による直根を伸ばした苗木で植樹したこともあって、日当たりのよい場所では、写真1に見るように立派に成長していることがわかる。
Kさんの庭には、年末に植える苗木が写真5のように育っている。
当クラブでは、発足時から特別養護老人ホーム「あかつき園」で、ボランティア活動として放置されていた竹林を整備するとともに、その間伐材を有効活用するために竹炭を生産している。身近にあった竹を利用して、直根の苗を育てることができた。
朝日新聞の記事「防災林植え方に警鐘・『地中深く伸びる直根(ちょっこん)、切らないで』」から、ブロック苗とは違った、身近な竹を利用した苗木の育て方を紹介してみた。
箕面市広報誌「もみじだより」を通じて、一般市民に呼び掛けると共に、箕面クワガタ探検隊などの協力を得てすでに6年を経過している。
2008年に「小鳥の水場」近くの日当たりのよい場所に植えたクヌギは、写真1のように4年強で一番大きく育っている。
写真1 日当たりがよく一番大きく育ったクヌギ(2013年1月13日撮影)
クヌギ等の苗木は、初年度の2007年は、財団法人「大阪みどりのトラスト協会」からの助成で購入した。
購入のため苗木の育ち具合等を見学した会員から、この程度ならどんぐりから発芽させて苗木を育てられると確信し、翌年から自前でクヌギやコナラ、エノキ、ヤマグリなどをどんぐりから育てている。
平成20年12月14日に公開したブログ「第110話 今年もクヌギの苗木の植樹を行います」の記事に「今年の苗木26本は、昨年10月に拾ったドングリ(クヌギの実)をポットに植えました。今年の4月には発芽して順調に育ち、現在は60センチほどの苗木に育っています」とポットで育てた苗木を使っていた。
苗木は当クラブ初代代表のKさんが自宅の庭で育てられていて、2〜3年に育った苗木を植樹の時に持ってきてもらっている。
ポット苗や根切りした苗は防災林として役に立たない
今年2013年6月19日朝日新聞夕刊の環境欄に、「防災林植え方に警鐘・『地中深く伸びる直根(ちょっこん)、切らないで』」という記事を見つけた。
その記事によると「東日本大震災で被災した東北地方の防災林再生が、地盤整備の進んだところから始まっている。広く使われている『ポット苗』や根切りをした苗は、『地中深く根が伸びず防災に役立たない』と山寺喜成(よしなり)・元信州大学教授は危機感を持つ。被災地に何を植えるかはずいぶん議論されたが、植え方への関心が低すぎると憂えている…… 直根が長いと深い穴を掘らなければならず、作業が大変になる。また、直根を切って細い側根を増やした方が根付く確率が高いという学説があり、広く受け入れられてきた。プラスチック容器で育てる『ポット苗』は、直根を切ることはしない。ポット内で根が伸びてぐるぐる巻きになる。
山寺さんは、ポット苗を植えて7年後に掘る返し、根が丸いこぶ状になっていたのを観察している。これでは津波や土砂崩れにあったらすぐに倒れてしまう。
実際、東日本大震災の大津波で根こそぎひっくり返ったマツのほとんどで直根が見られなかった。山寺さんは「『直根を切るな』を新しい常識にする努力を急ぐべきです」と訴えている。
保育ブロック苗
山寺さんは、「ポット苗は直根が育たず、根がぐるぐる巻きになって、土砂崩れで植樹した木はすぐに倒れてしまう」ので、直根を育てる方法として、土壌と肥料を固めて真ん中に穴を通したブロックを使う「ブロック苗」で直根がまっすぐ育つ工夫をしている。
写真2 直根を育てるブロック(朝日新聞記事から)
穴に沿って根の発達が抑制されないで、直根がまっすぐ育つが、植林するときには、ブロックの重さが短所になる」と記事は指摘している。
孟宗竹を活用して苗木を育てている
6月27日の活動日に、上記新聞記事をどんぐりから苗木を育てている初代代表のKさんに見せると、最初の1回目だけはポットで育てたものを購入していた。
2008年からは直根を育てなければならないと気が付いて、40cmほどの孟宗竹を2つに割り、節を取ってその中にどんぐりを入れて育てているということだった。
その苗木の状況を見せてもらった。
写真3 孟宗竹の2つ割りで育てているクヌギの苗木
竹は35cmだが、2年を経過したクヌギの苗は、直根の全長は55cmまで伸びていた。
結束した2ケ所を外し、写真4のように竹筒の中を見せてもらった。
写真4 竹筒の結束を外した苗木の断面
竹筒は肉厚が薄く比較的軽く2ケ所の結束で十分に形状を保っている。結束を外しても簡単に元の状態に復元することができた。
植樹する当日に、竹筒から苗木だけを簡単に取り出し、直根を新聞紙にくるんで、湿り気を保って現場まで運んでくる。
苗木だけの重さだけなので、運搬は乗用車で現地まで運んでいる。
この竹筒による直根を伸ばした苗木で植樹したこともあって、日当たりのよい場所では、写真1に見るように立派に成長していることがわかる。
Kさんの庭には、年末に植える苗木が写真5のように育っている。
写真5 竹筒で育てている苗木
当クラブでは、発足時から特別養護老人ホーム「あかつき園」で、ボランティア活動として放置されていた竹林を整備するとともに、その間伐材を有効活用するために竹炭を生産している。身近にあった竹を利用して、直根の苗を育てることができた。
朝日新聞の記事「防災林植え方に警鐘・『地中深く伸びる直根(ちょっこん)、切らないで』」から、ブロック苗とは違った、身近な竹を利用した苗木の育て方を紹介してみた。
(平成25年7月15日)