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第95話 森林内の草は植物に詳しい人が刈るべきか?[2008年07月16日(Wed)]


 7月12日の活動日は、もう梅雨明けかと思わせるカンカン照りの暑い日でした。この時期に炭焼きの火を扱うのは大変ですが、6月14日の大失敗を教訓に「はじめチョロチョロ」で、順調に良質の竹炭ができるようになりました。

 また、この時期(木六竹八塀十郎:、木は旧暦の六月に、竹は八月に切ると性がよい、塀塗りは乾燥した十月に塗ると良いという)は、間伐した杉の皮をはがすのに最適ですので、間伐と皮をはがす作業を行いました。

 作業を始めてまもなく登ってきた人たちとの会話から、森林の保全について考えて見ました。


植物観察会の人たちとの会話

 10時半ころ、ある植物観察会の10人ほどが山を登ってきて、私たちの会員数人と会話を交わしました。

「この山は私有地ですか」
「箕面の市有地です。私たちが市から管理を任されています」
「国土地理院2万5千分の1の地図に載っているから立入禁止ではありませんね」
「そうですよ」
「箕面市内に2本しかない草が前回来たときにあったのに、刈られてしまった。管理は植物に詳しい人に草を刈ってもらわないと !」と、
険しい表情で苦情。

「そうですね。ご意見の窓口は市役所ですから、そちらへどうぞ」
 
 2本しかない草と苦情言った○○は、草ではなくシダでした。

 帰り際に別の会員に再度、「管理は植物に詳しい人に草をしてもらわないと!」と苦情を繰り返した先の女性に対し、

「それだけ貴重な草なら囲いをして刈り取り禁止の札でも立てておいて下さい」と言い返したそうです。

 そのあとの会話で「珍しい植物を『持ち出さないように!』と立て札を立てれば、根こそぎ掘り起こして持ち出す人が出てくる」という問題点が指摘されていました。


国土地理院の地図で見ると、道ではなく市界の記号でした

 上記グループの人たちと会話で「国土地理院に載っている」と言われた道を調べてみると、図1に示すように2点鎖線であり、道の記号ではなく茨木市との市界の表示でした。



     図1 活動拠点付近の国土地理院2万5千分の1地図

 また、泉原水飲み場にある東海自然歩道の案内板によると、図2に示すように東海自然歩道の勝尾寺川支流の渓谷沿いを通って勝尾寺へ行く散策路になっているようでが、他のハイキングマップを見ても茨木市との境界線で、道としては表示されていませんでした。



        図2 泉原水飲み場の東海自然歩道案内板

 この東海自然歩道案内板の散策路としての勝尾寺川支流の渓谷沿いの道は、私たちが昨年末から杉植林地への作業にかかる前は、急な斜面に岩が突き出たり、樹木や草がはびこったりしていてほとんど通る人もない道でした。

蔓が絡まったジャングルでの道づくり

 箕面だんだんクラブの沿革をみると、1996年箕面市環境政策課の呼びかけにより市有林の保全活動を行う為にボランティア活動を行う「もりもりクラブ」が発足し、2006年3月まで月1回の活動が続いていました。2004年箕面市より「公益信託みのお山麓保全ファンド」が設立されるに及んで「もりもりクラブ」の主要メンバー19名により、活動を更に活発化し、活動地域を拡大するために箕面だんだんクラブを設立しました。会員数も徐々に増え、現在に44名で活動しています。

 この山の森林保全をし始めた1996年ころは、朽ちた倒木が散乱し、蔓が絡んでいてシカやイノシシも歩けないようなジャングルだったのです。

 その荒れた森林内に作業道を作り、間伐や蔓などを取り除きながら下草が生える森にしてきました。


山道は手入れをしないと直ぐに歩けなくなる

 今の梅雨時期は草木が最も成長する季節なので、草を刈ってやらないと道は直ぐに埋もれてしまいます。

 植物観察会の人たちも、この山道の草を刈って手入れされているからこそ、たやすく森へ入ってこられるようになったのです。

 さらに言えば、蔓がはびこってジャングルのようになっていたときには、下草も生えていませんでした。間伐や下草を刈り取って光が差し込みだした結果、いまのように箕面で2本しかないと言うシダ類も芽を出してきたといえます。




       写真1 上段:階段を設け、草刈りをした山道
           下段:新しい丸太に取り替えた橋


 写真1上段は、活動拠点のすぐ上の道ですが、利用頻度が多いのでこの梅雨時期は特に草を刈り取って手入れをしています。

 写真1下段では5月に勝尾寺川支流に丸太橋を架け替えました。丸太の表面には滑り止めのために、のこぎりで溝を入れています。


国土地理院に載っている道はいつでも歩けますか?

 3年前の新緑のころ、滋賀県朽木村観光協会から朽木駒ヶ岳登山に参加したとき、「福井県側からは頂上近くまで車でいけるのでハイヒールでも登山ができますが、滋賀県側からも地図に示されていますが、今では草に埋もれて道はなくなっています」と説明を聞きました。

 そのブナ林の駒ケ岳山頂へは、主催者がGPSで駒ヶ岳山頂を目指して位置を設定し、それに向けてルート選定をしながら、樹木などに目印をつけて道なき道を登山しました。




      写真2 上段:ブナ林が美しい駒ヶ岳山頂付近
           下段:湿気のある腐植土からギンリョウソウ


 山頂付近では写真2上段のように、新緑のブナ林が映えていて美しく、山道のない急な斜面を登ってきた甲斐がありました。

 写真2下段では山道もない急な斜面の落葉の上を下りていきました。
 ところどころに落葉の中からギンリョウソウの花が咲いていました。このギンリョウソウは種子植物ですが、光合成をせず、菌根で取り入れた有機物を取り入れて成長し花を咲かせます。

 その後、駒ヶ岳山頂付近は滋賀県と福井県の県境は中央分水嶺になり、合併で誕生した「高島市」にちなんで「中央分水嶺・高島トレイル」と名付けられました。
 マキノの愛発越(あらちごえ)から今津の山を経て、朽木の三国岳へいたる約80kmに及ぶ道です。真新しい道標が要所で整備され、登山道として定着しているようです。


埋土種子

 かつて人の手が入らず、棲息するシカやイノシシも歩けないほどのジャングルだったこの「体験学習の森」は、蔓を切り、間伐して光が差し込んできて最初に芽を出したのがキツネノカミソリでした。キツネノカミソリが群生している近くにベンチを設けて「狐のベンチ」と名付けた場所です。

 「管理は植物に詳しい人に草をしてもらわないと!」と苦情を言った人が、箕面には2本しかない草と指摘した場所も「狐のベンチ」付近です。光が差し込んでやっと問題のシダ類も芽を出したのです。

 土の中に生きた状態で保存されている植物の種子を埋土種子というそうです。

 森林研究所のリサーチ・トピックス「人工林における埋土種子組成推定の試み」によると、「種子の中には、土の中で数年から数十年にわたり発芽能力を保持する種も少なくない。植物は種子の寿命を長くすることによって,発芽した個体の成長にとって都合のよい環境(林冠ギャップなど)に出会う機会を増やしていると考えられている。埋土種子由来の植生は,伐採跡地や間伐後の林床など,林業の様々な場面で見られ,重要な機能を果たしている」と説明しています。


小鳥の隠れ家としての草むら

 勝尾寺川支流の渓谷沿いにはウグイスの巣があるのでしょう。春先から7月下旬ころまで心地よいさえずりを聞かせてくれます。

 この渓谷沿いの草むらは小鳥たちの隠れ場所として写真3上段のように草を刈らずに残しています。

 ウグイスは常に移動しているので、「声はすれども姿は見えず」ですが、春先で木々が芽を出し始めたころ、写真3下段のようにカメラに収めることができました。




   写真3 上段:勝尾寺川支流渓谷沿いの草むら(08年7月12日撮影)
        下段:渓谷沿いでさえずるウグイス(08年4月1日撮影)



 私たちの仲間には、それぞれの分野で詳しい人がいます。キノコ類、食べられる野草、小鳥、もちろん植物に詳しい人もおられます。

 植物に詳しいNさんは女性ですので、力仕事でなく、育てたい木、この森には1本しか生えていない貴重な木、間伐しても良い木などを、前もってそれぞれにビニールテープや赤い札で印をしています。また、朝礼のときに注意もしています。

 それでも、作業に差し障るからと、うっかり切ってしまうことも起ります。しかし、生えている植物を根から根絶するわけではないので、長い目で見ればまた芽を出してきます。苦情を言っていたシダ類も来年は生えてきます。

 私たちの活動範囲もどんどん上へ登っていき、今では標高500メートルくらいです。この付近の間伐が進めば今まで土の中で耐えてきた埋土種子が芽を出してくることも期待できると思います。

 森林保全は目先の現象で目くじらをたてるのではなく、長い期間で見守ってほしいものです。



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