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第217話 棟梁との話から「木目・笹杢、鳥の減少」[2016年02月25日(Thu)]
 2月13日の活動日は天気が荒れる予報だったが、10時半頃外を見ると陽が照っていたので急いで「体験学習の森」へバイクで走った。
 勝尾寺との三叉路の路側温度は14℃で比較的暖かい日であった。先週6日の同じ場所での10時過ぎの気温が5℃だから、春に向かって季節が進んでいるのを実感しながら登って行った。

 森への入口でIさんと出会った。「膝が痛くなってきて作業ができなくなったので、今退会の挨拶をしてきた」と話してくれた。Iさんは魚釣りが得意でダム湖に鯉がいたころ、昼休みに鯉を釣り上げて下流に放流してくれたことがある。鯉は雑食なのでこのダム湖で産卵するモリアオガエルの餌食から救ってくれたりしただけに残念である。
 そういえば、90歳に近いFさんも先週に「車の運転ができなくなってきたので退会する」と挨拶されていた。
 
 豚汁広場近くでは、炭材作りの作業場所の整備やクワガタ山の植樹した後の手入れなどの作業をしていた。

代表的な木材の木目


 昼食時に、私の横に座った棟梁に、ブログに年輪のことを書いたと話したら「笹杢(ささもく)は知らないだろう」と解説してくれた。
 木目の紋様で、特に装飾性の高い美しいものを杢 (もく) と呼んでいる。
 笹杢ことに関連して、前回のブログで使用した「木を使う・木に親しむ(MORIMORIネットワーク編・日本の林業A)」には、代表的な日本の木材として12種類の木目の写真と解説が掲載されていたので、上記の本を引用して紹介することにした(図−1)。

img036.jpg

 図‐1 代表的な日本の木材の木目

 木目は木の種類によって色艶や、強度、かたさ、湿気に対する強さなど異なる。図−1のクリは、とても重くてかたく、強度もあり、湿気に強いので建築材として使われている。かつて鉄道の枕木はクリ材が使われていた。現在ではコンクリート枕木に代わっている。

 スギは就職した昭和34頃の建設現場では足場には杉丸太が使われていたが、そのころから鋼管パイプが使われ始め、今では建設現場での杉丸太は見られなくなった。
しかし木造建築では、柱や梁などの構造材(建築物の骨組みに使われる木材)や、たるやげたなどの生活用品に使われ、現在でも、もっとも多く使われている。
 スギは、この体験学習の森でも戦後に植林されたものが豚汁広場のすぐ北に残っている(写真1)。

IMG_1050.JPG

写真1 体験学習の森の中の杉

 ヒノキ林も体験学習の森でも戦後植林されてきた。写真2は今から8年前の3月に撮ったものである。

P3090040.JPG

写真2 体験学習の森のヒノキ林

 豚汁広場の標高が340mで、ヒノキ林は標高500m近くあり、急な坂を登っていくのでその体力もなくなり、今では私は行くことはない。このヒノキ林は数年前に失業対策だとか言っていたが、先週6日の活動日にヒノキ林で作業したSさんの話では切り倒したまま放置された状態になっているという。

 戦後の復興で木材の需要の高まりでスギやヒノキが植林されたが、産業構造の変革もあって戦後に植林された樹が放置されているケースが多く、この森のヒノキ林は搬出手段もないので致し方ないのかもしれない。

 ヒノキは白っぽく、なめらかでつやのある美しい木目が特徴で、丈夫、真っ直ぐで加工しやすく、製材後のくるいが少ない、湿気に強くて腐りにくい、さわやかな良い香りがするなど、多くの長所があるので、古くから建築物に使われてきている。

杢(モク)

 ネットで「天然林の造形美 杢の種類」には、解説とともに杢の写真が載っているので引用してみた。ブナ科の虎斑やメープル等に現れる鳥眼杢、トチ、シカモア等の縮み杢の他、縞杢、葡萄杢、牡丹杢、鶉杢、如鱗杢などがある。 何れも、製材したときに稀に現れるもので、希少価値が高い。

 笹杢は笹の葉が折り重なったような先の尖ったギザギザ模様の杢。杉の老木などにまれに現れ、和室の天井版や障子の腰板などに珍重される」と解説している。 

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図−2 杢の種類

 「天然林の造形美 杢の種類」には18種類の「杢」が木目とともに解説されているが、図−2に9種類を引用してみた。

鳥がいなくなっている

 86歳の棟梁と食事をしながら「笹杢」の話が終わったら「何か気がつかないか」という。
「この時期になればウグイスの啼き声が聞こえるはずなのに、鳥がいなくなったからだ」と話してきた。「ウグイスは未だ早いのではないか」と答えたが、棟梁は小鳥が減ったことを再三訴えてきている。

 時々棟梁の書いたエッセイを読む機会がある。昨年の春分の日に書いた「蓑虫に事よせて」を、抜き書きしてみると
 「今から20年ほど前に蓑虫の話を書いたことがる。平成3年か、4年ごろだろうか、蓑虫が居なくなったことに気が付いた。これは野鳥たちにとって大変なことになるのではないかと思った。ウグイスやメジロなどは、春一番のたんぱく質が必要な食べ物だからである。『梅に鶯』というのは、鶯は梅の花を愛でに来ているのではなく、梅の花が咲くころになれば陽気に誘われて蓑虫が巣から出てくるので、そのタイミングにウグイスが食べに来るのである。梅だけでなく、桃や桜、アンズなどの木に蓑虫の巣がたくさんぶら下がっていたが、今ではまったく見られなくなってしまった。今では毛虫や昆虫など小鳥の餌になる虫類は農薬などの所為で居なくなってきている。野山に棲んでいる小鳥たちは、雛を育てるのに生の虫や昆虫が必要で、野鳥が減ってきているのは、そうした背景が原因であると私は思っている……」と書いていた。

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写真3 大阪市内屋上庭園のミノムシ

 写真3はテレビで大阪市内の屋上庭園に珍しくミノムシが居ると放映されてその写真を送ってもらったものである。

 ミノムシが居なくなったとの指摘を受けて、ハイキング仲間と京都鴨川の河川敷の木々を調べ、上流の下賀茂神社の糺の森で作業を聞いてみたが、まったく見つからなかった。

 2013年2月8日のブログ・第174話「雀と蓑虫」の中で、ウィキペディア「ミノムシ」のつづきに、「オオミノガを初めとして日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、1990年代後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにだけ寄生する外来種のヤドリバエ亜科のオオミノガヤドリバエである。蓑当りの寄生率は5割〜9割に達する。寄生率は九州に近くなるほど高いため、中国大陸から侵入したと考えられている……外来種のヤドリバエによる寄生により生息個体が激減しており、各自治体のレッドリストで絶滅危惧種に選定されるようになってきている」と書いていた。

 2月の活動日の6日と、13日にはスギ林を登って小鳥の水場から関電鉄塔道の1周を回るコースで観察しているとき、勝尾寺川支流のこんもりした森から鳥の鳴き声が聞こえるし、草むらから飛び立つ小鳥も見かける。デジカメで狙いを定めても撮れたためしはない。

昨年2月7日には豚汁広場の少し下ったドロノキ近くの渓流にそうした中でジョウビダキが来ていてデジカメで撮れた写真1を思い出したので、2月に入って2階の活動日に観察してみたが、今年は厳しい寒さが続いたためか、見つけられなかった。

 棟梁は岡山県の山村で育ち、山や川で思う存分自然に親しんでいるので、鳥が昔に比べて減ったという比較ができるが、都会育ちの私にはその比較は難しい。

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写真4 渓流にやってきたジョウビダキ〈2015年2月7日撮影〉

高齢化で姿消す野鳥


 帰宅してパソコンの鳥のファイルのなかに、2009年4月20日の毎日新聞の記事に「高齢化で姿消す野鳥」を見つけたので全文を引用してみた。
記事によると、「『林業停滞で荒れ放題<森林>』に、国内の森林面積は1970年代から変わらないのに、鳥類の生息域が大幅に減少していることが、森林総合研究所の山浦悠一・特別研究員(森林保全生態学)らの調査で分かった。林業の停滞で明るく若い森が減って、それを好む鳥が減ったのが原因とみられる。森林の変化が生態に影響を及ぼすことを示しており、森林対策の充実が急がれそうだ。今月の英専門誌に発表した。【江口一】

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 研究チームは、環境省が1978年と1997〜2002年に実施した鳥類の分布調査を基に、この間の森林の状態と、夏季に日本で過ごす渡り鳥(夏鳥)や年間を通して国内で暮らす留鳥の計103種の生息域の変化を分析した。若い森を好む鳥類には夏鳥のカッコウや留鳥のモズ、ムクドリなどがいる。冬鳥はまだ調べていない。
 その結果、樹齢8年未満の若い森林に暮らす留鳥の生息域は11%、夏鳥は27%それぞれ縮小したことが分かった。一方で、樹齢8年以上の成熟した森にすむ留鳥の生息域は9%増えた。夏鳥では17%減だが、若い森より減少率は小さかった。
 この間、国内の森林面積は約2500万ヘクタールで推移しているが、木材の量である「森林蓄積」は、1970年代の約20億立方メートルから2000年には約40億立方メートルと倍増、成熟した森林が増えていた。若い森が少ないと、日光が地表まで届かないため、草などが生えず、昆虫も減る。昆虫を餌としている鳥にも影響を与えたとみられる。
 さらに、夏鳥の越冬地である東南アジアでも1,990〜2000年で森林全体の11%に当たる約2800万ヘクタールが開発などで失われており、夏鳥減少の一因と言われている。
 山浦さんは『森林は人が手入れするかどうかで様相が異なる。その結果、成熟した森と若い森ではすむ鳥も違う。生物多様性を維持するには、国内外で樹齢や樹種などが多様な森にすることが重要だ』と話す」と、林業の停滞で手入れが行き届かず、荒れ放題になった森林が餌になる昆虫の減少につながり、鳥に影響していると指摘してされていることに納得ができた。

 鳥が減っているという指摘で思い出したのは、2007年に現在の炭窯が稼働したころは、その炭焼きの日の18時の閉門前に80℃から120℃に維持できるように空気量を極端に減らし、翌朝クリーンセンターが開門になる7時ころから空気量の調節に出かけていた。

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図‐3 炭焼きの時間経過と温度変化図

 そんな早朝に自然観察員がこの森で鳥の観察に来ていた。自然観察員は「鳥の数が減ってきている」と話していた。

 常に自然観察を心がけている棟梁が「蓑虫が居なくなった」などの具体的な事例が積み重なって全体的な傾向を見つけることも必要だが、上記の新聞記事「国内の森林面積の経年変化と林業停滞で荒れ放題」の中で、「林業の停滞で明るく若い森が減って、それを好む鳥が減ったのが原因とみられる」という指摘は長期的なスパンでの研究所成果である。

 箕面だんだんクラブの活動の具体例として、「植生の自然推移を中断し、明るい森を作るために、間伐、除伐をする」があるので、こうした研究成果を大いに活かした森林保全の
活動を心がけていきたい。

我が家の近くには大阪大学千里学舎の森に棲むウグイスが毎年春先に聞くことができる。体験学習の森でも活動日にウグイスの啼き声を聞くことができる。
 今週末の活動日27には、ウグイスやジョウビダキなどの小鳥を観察することができるだろうか。次回はウグイスの話題を取り上げてみたいと思っている。

(平成28年2月25日)
この記事のURL
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