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第199話 体験学習の森の生き物たち(その3)[2014年08月01日(Fri)]
 梅雨が明けた途端に猛暑がやってきた。8月は夏季休暇で活動を休止するので、7月の最終土曜日の活動日に真夏の森を観察すべく、遅れて10時を過ぎて豚汁広場に着いた。
 西田橋の路側温度は34度を示していたが、豚汁広場は涼しい風とクヌギの生い茂った木陰でしのぎやすかった。

 8月2日には午後1時から4時まで箕面滝道の昆虫館横の小広場で「野菜てっぽうで遊ぼう!」が開催される。このイベントにだんだんクラブが参加するため、野菜てっぽうの仕上げに加えて、水てっぽうや竹細工の花瓶などの最終仕上げに取り掛かっていた(写真1)。

001.JPG


 写真1 8月2日のイベント用竹細工の仕上げ


スズメバチの巣の撤去

 前代表から「先ほど、道具を入れた棚の中にスズメバチの巣を撤去したばかりで、もう少し早ければ巣の写真が撮れたのに!」と話しかけられた。
 昨年12月に桁下の張出し部に大きなスズメバチの巣(写真2)を撤去していただけに、道具入れの棚の一番上の狭い空間に巣がつくられているとは想像できなかった。

IMG_1570.JPG


 
写真2 昨年12月に撤去したスズメバチの巣


 道具入れの棚といっても、2週間前には巣はできていなかったし、引き戸で鍵をかけて閉じられた棚(写真3)である。

IMG_3580.JPG


写真3 スズメバチの巣があった道具入れ用の棚

この森では、初夏のころに時々単独で飛んでくるスズメバチを見ることはあったが、その巣を見たことはなかった。

 ネット(キイロスズメバチ山里のスズメハンターwww.8hiro.com/kiiro.html)によると、「キイロスズメバチは引越しすることが多い。始め女王蜂が狭い閉鎖空間などに巣を作り、まずは働き蜂を増やす。この後その場所が手狭になると、増えた働き蜂の協力の下、屋根の軒下など解放空間へ移動し、早い速度で巣を再構築する」と書いている。

 写真3から判断すると、2段目以下の空色の道具箱などで空間がないが、一番上の棚の左端には虫よけスプレーなどが置いてあり、5センチほどの大きさの巣ならば十分につくれる空間であった。女王バチが道具入れのわずかな隙間から入り込み、2週間ほどで巣を作っていたことになる。撤去した巣には幼虫がうごめいていたそうで、まさに働きバチを増やす段階だったようだ。

 スズメバチの生涯

 この森に時々出没したり、桁下に写真2のような大きな巣をつくったり、今回は扉の閉まった道具小屋にまで侵入して狭い空間に巣を作った。そんな近くにいる蜂がどんな生活をし、その生涯を終えるのか、身近な生き物・スズメバチを調べてみることにした。

 松浦 誠著「スズメバチ・ぞうき林の名ハンター兜ス凡社」は、著者の三重大學農学部昆虫学教室の松浦先生が小学校5年生のとき、スズメバチに襲われて以来、その魅力にとりつかれ、生態の研究を続けられている。
 スズメバチを追いかけて25年目の春先に、やっとオオスズメバチの女王バチが土の中から出入りする場所を見つけ、主にその巣の観察を書いた著書である。その本から主要な箇所を抜粋してみた。

1)女王ハチ営巣活動

 そのとき見つけた巣を自然のままに観察したときの話では「地下につくられた女王バチ(オオスズメバチ)の巣は、ハスの実をさかさにしたような形で、6角形の部屋が、下むきに付いている。部屋を支えている細い柄には、女王バチが、たえず唾液をぬっては、乾かしているので、鈍く光っている。たぶん、土の中の湿りけに耐えるように、補強しているのでしょう。

 女王バチは、巣をつくり始めてから20日目に、ちょうど20個の部屋を完成した。1日に1個のペースでつくる。女王バチはたった1匹で、巣づくり、餌集め、巣を守るなど、すべての仕事をしなければならない。

 40日目にあたる7月のはじめに、小さな働きバチが次々に羽化して、巣は急にぎやかになり、働きバチが分けあって仕事をするようになると、巣はぐんぐん大きくなる」と書いている。

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写真4 女王バチ(上記本からコピー)


 続いて「働きバチに比べて、女王バチはひときわ大きく、立派な感じです。巣のなかを、触角をふりながら、歩きまわっています。そして、ときどき部屋を触角で探り、あき部屋をみつけると、体を高くもち上げては、腹をまげて、部屋のなかにさしこんでいます。部屋の壁に、卵を産みつけているのです。腹をぬきたすと、そのまま、あとも見ずに、次の空部屋を探します。働きバチが羽化をした後は、女王バチの仕事は、卵を産むことだけなのです。

 卵からかえった幼虫に餌をあたえるのは、働きバチの役目です。幼虫は、6角形にしきられた部屋のなかで、隣の兄弟の顔さえ知らずに育ちます。手も足もなく、目も見えない幼虫ですが、口だけはたいへん発達しています。おなかがすくと、部屋の壁をかじって、カリカリと音を出し、餌を催促します」と、女王バチと働きバチとの役割が変わる様子がわかる。

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写真5 オオスズメバチの10日目の巣(上記本からコピー)


 今回撤去した巣は10日ほど経っているので写真5のような状態だったかと思われる。
 こんな狭い空間に作った巣は、キイロスズメバチの習性としていずれ引っ越して、広い軒下などで写真6(2013年12月14日撮影)のような大きな巣をつくるようになるのだろう。

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 写真6 女王ハチが居なくなったスズメバチの巣


2)働きバチ

「最初の働きバチが羽化するまでの約1ヶ月間は、女王バチが幼虫の餌集めや巣材集めなどの外役活動と子育てを1頭で行うが、6月から7月にかけて働きバチの羽化が本格化し、数が数十頭をこえるようになると、女王バチは外役を中止し産卵に専念するようになる(分業期)。次々に誕生する働きバチは巣材集めや幼虫の餌集めに忙しく働き、巣は急速に大きくなる。
 9月中旬頃から次世代の担い手である雄蜂や新女王蜂が次々と羽化してくるようになる。ピーク時の巣内の成虫数は、働き蜂400〜1400匹、雄蜂 200〜1800匹、新女王蜂 200〜800匹である」。
(キイロスズメバチの生活史www.rui-one.com/life-kiirosuzumebachi.htmlから引用)。

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写真7 働きバチ(上記本からコピー)


3)新しい女王ハチの旅立ち

 上記の松浦 誠著「スズメバチ」を読んでいて、「新しい女王バチの旅立ち」の章では、生物の営みというか、生存競争を考えさせられた。そこで、この章を引用してみた。

「秋の深まるころ、巣のなかでは、栄養たっぷりの食べものをあたえられ、新女王バチとオスバチの幼虫が育てられています。冬の足音は間近にせまって、巣へ運びこまれる獲物も、日を追って少なくなってきます。そして、次の世代をひきつぐ、新女王バチが誕生するころには、それまで巣のかなめであった、女王バチの命もつきてしまいます。すり切れた羽や、足をひきずって歩く姿は、それまでの苦労を物語っているようです。

 無事に羽化した新女王バチとオスバチは、約2週間、巣のなかにとどまります。仕事もせず、働きバチや幼虫から餌をもらって、体内に栄養分をたくわえます。そして、旅立ちの日が来ます。 
 新女王バチとオスバチは、次々と、巣からとびたっていきます。どちらも、二度と巣へはもどってきません。

 それぞれの行き先はちがっています。新女王バチは、その日のうちに、冬越しする場所を、見つけなければなりません。オスバチのほうは、同じ種類のスズメバチの巣をさがし、その巣からとびたつ新女王バチをまちうけて、交尾をするのが、任務なのです」と書いている。

 写真7の右側の女王バチは、羽も体毛も擦り切れてしまっているのに比し、新女王バチは生き生きとしている。

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写真7 女王バチ(右)と新女王バチ(上記本からコピー)


「新女王バチがこの巣から飛び立つのは午前中で、その巣の周りにオスバチがどこからともなく集まってきて、交尾をしようとする。働きバチは他の巣のオスバチには激しく攻撃し、次々と捕えては肉団子にしてしまう。交尾を終えた新女王バチは騒ぎを後に雑木林の方へ消えていく。そして、土の中や朽木に潜り込んで翌年の春まで、半年間の長い冬眠に入る。

 繁栄を誇った巣は、新女王とオスバチが去って、さびれていく。働きバチ越冬する力もなく、餌不足と忍び寄る寒さで次々と命が尽きていく」。(松浦 誠著から抜粋)

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写真8 オスバチ(上記本からコピー)


 高い攻撃性をもつ昆虫・スズメバチ

 スズメバチの締めくくりとして「身近な害虫図鑑Bドクガ、スズメバチなど:野村 昌史監修・汐文社」から、注意点などを抜粋してみる。

 種類はオオスズメバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチなど日本には16種類いる。特徴は大型昆虫で、高い攻撃性をもつ。体長は約10〜40ミリメートル。
 注意 外部からの刺激には敏感:スズメバチは敵だと思うと襲ってくる。巣から3〜7メートル以内は巣を守るための攻撃範囲になる。黒い服があぶない:スズメバチは黒い色には攻撃的な反応をする。白い服だから平気とは言えないが黒い服を着ているときは、より注意が必要である。

鮠(はや)にトノサマガエルとモリアオガエル

 7月下旬ともなると、モリアオガエルの卵塊はすでに溶けてなくなっていた。
 2週間前には、アメンボや卵塊から水に入ったばかりのモリアオガエルのオタマジャクシが見られた。そのオタマジャクシも見られなかったが、代わりに鮠が水面に近づいてきた。

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 写真9 下流の砂防ダムで泳ぐ鮠


 この上流の砂防ダムに居た鮠は、水量がなくったために、下流に移動して昨年見たとき位より大きい鮠が10匹以上泳いでいるのを確認できた。
 足元を見ると、トノサマガエル(写真10)が1匹いた。

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 写真10 下流の砂防ダム近くで見つけたトノサマガエル
 
 昼食後、目の前の柱を見たら、小さなカエル(写真11)がうずくまっていた。

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写真11 柱にしがみついていたカエル


 シャッターを切っている間にもどんどん上がっていき、柱と梁の際まで登っていった。

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 写真12 柱と梁の際まで登っていったモリアオガエル


 このカエルの色は柱によく似た色に変色しているが、ネットの「モリアオガエル Q & A 」に、「Q.モリアオガエルは、ふだんはどこに居るのでしょうか」に、「A.近くの林、森の樹上で生活している」と知っていたので、モリアオガエルだと同定した。
 もう少し拡大したのが、写真13である。

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 写真13 拡大してみたモリアオガエル


 柱にしがみついているモリアオガエルは、「柱の色に合わせて変色しているのだ」とTさんがアドバイスしてくれた。生き物が変色することを「保護色」という言葉を思い出した。

 広辞苑によると、「保護色とは、動物の被食者が捕食者の目からのがれるためにもつ隠蔽色(いんぺいしよく)。捕食者の隠蔽色をも呼ぶことがある」と解説している。

 最初に取り上げた「スズメバチがなぜ人を襲うのか」についても、「むやみに人を襲うわけではなく、人をさすのは、自分たちの生活の中心である巣を守るための、やむにやまれぬ行動なのである。

 蜜蜂や足長蜂を含めて、集団生活をしている蜂は巣の中に、幼虫や蜜を持っていて、他の動物にとって最高のごちそうである。人間や動物は、魅力的な食べ物の塊である巣を、すきあらば手に入れようと狙ってきたため、蜂は、長い進化の歴史のなかで、巣を守るくふうを重ねてきた。そして、働きバチという、卵を産まない雌をうみだし、その産卵管を毒針という武器に変えて、巣を守る力を高めてきた」。(松浦誠著「スズメバチ」から引用

 スズメバチの生涯を書いていて、毒針で他の動物を襲って恐れられているが、子孫を残していくために精一杯生きているし、カエルは保護色という手段で他から襲われない工夫をしている。

 7月22日に公開した第198話で書いた「北日本ミツバチ大量死!」は、害虫のカメムシを駆除するため水田に散布される殺虫剤が原因の可能性が高い」と新聞報道を取り上げた。「死んだミツバチを分析したところ、全てからネオニコチノイド系を中心に2種類以上の殺虫剤成分が検出された」という。

第二の沈黙の春?

 この記事に載っているネオニコチノイドを調べていたら、7月10日付「Nature」誌オンライン版の研究報告に「鳥の減少は殺虫剤が原因か?」の中で、「ここ20年間で、ネオニコチノイドは殺虫剤の分野では最も急速にそのシェアを伸ばしてきた。

 害虫駆除に高い効果を上げ、使用法も簡単なため、農業従事者の間では特に評判が高い。何リットルもの殺虫剤液をタンクに入れて広大な畑の上へ散布するのではなく、既にネオニコチノイドがまぶしてある農作物の種が売られている。

 薬品は散布すれば作物の一部にしかかからないが、種の時点で薬品処理されていれば全体に効果が行き渡るため、『浸透性』農薬と呼ばれている。種子処理された作物が生長すると、すべてのつぼみや枝にまで殺虫剤が浸透し、植物自体が効果的な害虫駆除マシンと化すのである。バッタや根切り虫は、根、茎、花など作物のどの部分をかじろうとも、腹いっぱいに神経毒を摂取してしまう」という。

 このオランダ版「Nature」を読んでいると、スズメバチやカエルなど精一杯生きている生き物に対して、人間は害虫だからという理由で、種にまぶした害虫駆除剤を散布している。

 日本での事情は、北日本での蜜蜂の大量死という小さな記事であったが、これらの害虫駆除剤が普及していけば、上記オランダ版「Nature」に書かれているように、「第二の沈黙の春?」に、「1962年に、レイチェル・カーソン(Rachel Carson)氏が自著『沈黙の春(Silent Spring)』の中で、これと似た問題を取り上げている。同書は、「ある日突然鳥の歌声が聞こえなくなってしまった」のは殺虫剤が原因であると、世界で 初めて一般大衆に警告を発した画期的な本である。
SOVONの鳥類学者で、今回の報告書の共著者であるルード・フォッペン(Ruud Foppen)氏は、カーソン氏が問題にしていたDDTなどの有機リン酸エステルとネオニコチノイドは全く別の薬品ではあるものの、現在起こっている事態はほぼ同じであるとしている」と書いていた。
 
 このネオニコチノイドという殺虫剤は、北日本で蜜蜂大量死と言うだけで収束するのだろうか。ここ北摂山地でも昆虫や鳥類の減少を指摘する人もいるだけに、見逃せない厄介な殺虫剤について早急な対策が必要ではないかと思う。

(平成26年8月1日)



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