第126話 作業道・階段つくり[2010年05月12日(Wed)]
昨年4月30日に第125話「竹の開花現象」を公開して以降、団体ブログ「箕面だんだんクラブ・竹炭作り」を休止してからまたたく間に1年が過ぎてしまいました。
「竹が開花すると枯れてしまう」と言われていますが、枯れた竹の地下茎は生きていて、そこから若竹が出てきて10年もすれば元の竹林に復活するそうです。
団体ブログを休止した間にも多くの方が、このブログを訪ねて下さっていること知り出来るだけ早い機会に、再開しなければならないと考えておりました。
若竹のように活き活きとはいかないまでも、老いに鞭打って枯れた竹が復活するように、団体ブログを再開することにしました。
5月1日の第1土曜日の活動日には、体験学習の森への道・大阪府道4号・茨木能勢線の山道に、ちらほら咲きだったフジの花が、1週間後の8日にはうす紫色の花がほぼ満開になっていて、あちこちで見ることができました。
写真1 急斜面に咲いたフジの花
そういえば、団体ブログを休止して、昨年5月8日に「箕面だんだんクラブ」の個人ブログ「四季折々」の第1回目に「1.フジの花」を公開しました。
フジの花の話題
活動基地の豚汁広場で仲間と話していると、「先週はちらほらしか咲いていなかったフジの花が、今日はたくさん咲いているのがバスから見えた」と話題になりました。
この「体験学習の森」では、活動を始めた1996年頃にはヤブツバキなどの木々がジャングルのように生い茂っていて、それに巻きついたフジなどのつる類を目の敵にして切り取ったので、今ではここではフジの花を見ることはなくなりました。
フジはマメ科のつる植物で、他の植物などに巻きついて、光を求めてどんどんつるを伸ばしていきます。つるが木に巻きついて「巻き殺し」となることもあるそうで、手入れの行き届いた山林では、つる植物は刈り取られるが、この花が目立つのは逆に管理を放棄した山林といえます。
写真2は2年前に間伐作業、作業道つくりで花見山へ入ったときに写したジャングルのように、ひょろ長いもやしのような木々に交じってつる植物がはびこっていました。
写真2 モヤシ林に蔓延(はびこ)ったつる性植物
森づくり活動を行うための山道つくりに助成金を受ける
箕面だんだんクラブでは、NPO法人みのお山麓保全委員会から、毎年活動資金として助成してもらっていますが、2010年度前期に公益信託 みのお山麓保全ファンドの「特別助成」として、事業規模と同額の985,960円の助成を受けることができました。
この特別助成では、「箕面の山麓(里山)を活かした“まちづくり”や“地域コミュニティ形成”のための個性と創造性に満ちたハード事業(施設整備型事業)」を対象としていて、申請書類とプレゼンテーッションをして審査の結果選ばれたものです。
申請した事業概要は、私たちが活動している箕面市東部の環境クリーンセンター奥に位置する「体験学習の森」で、間伐、除伐した跡地に植樹を続けている活動を行っているなかで、より多くの市民に安心して利用してもらうために、自然に優しく無害の防腐剤を加圧含浸した丸太階段材を新たに使用して、長年の利用に耐えうる階段(500段)を、約2年間の期間に行う事業です。
無害の防腐剤を加圧含浸した丸太階段材
5月1日にトラック2台分の丸太階段材が運び込まれました。
間伐した杉材を圧縮加工した後、安全な木材保存剤を加圧注入したもので、写真3のように、階段の巾75センチの丸太の両側に、先のとがった杭を打ち込み、杭と階段の横木2本を木ネジ(注)で固定する構造です。
写真3 運びこまれた丸太階段材
(注)木ねじ 社団法人 日本ねじ工業会ホームページから引用
木材にねじ込むのに適した先端とねじ山とをもつねじ。頭部の形状には、丸、皿、丸皿などがある。締付け手段の形として一般には、すりわり付き、十字穴付きなどがある。
一束5本をビニールの紐で巻いていて、持ち運びやすくなってはいますが、保存剤が注入されているのでかなりの重量です。
入荷した日に全員で、荷卸場から材料置き場までの約100メートル間、一輪車や人力で2000本(400束)運びました。力持ちの人は2束担いでいました。みんなでいっせいに取り掛かったので、午前中に運び込むことが出来ました。
この丸太階段材を搬入した中谷産業株式会社のホームページによると、「間伐材に深浸潤特殊処理を施したあと、加圧注入処理を行うことにより、推定50年の高い耐久性を可能にした」と書いています。
山道(階段)つくりに取り掛かる
5月2日にはこの材料を取り扱いの説明会が行われ、8日から本格的な工事が始まりました。
この日はこのほかに竹炭やきも行っています。
階段つくりに必要な道具類として、シャベル、つるはし、備中鍬、スコップ、インパクトドライバー、カケヤ、金てこ(バール)、のこぎり、ハンマーを2セット準備し、2班に分かれて竹林への道と、椿山への道の階段作り作業を行いました。
まず、スコップ等で掘って階段の横木の位置を決めてから、その両端の杭に金てこで杭を打つ場所に障害物の確認とある程度の穴を掘っておきます(写真4上段)。これはかけやで打ち込んだときに、杭の割れを未然に防ぐようにするためです。
写真4上段:金てこで杭の位置の掘る
中段:横木をセットして杭を打ち込む
下段:杭のねじ穴に木ねじを差し込む
これらの材料は、重たくて普通の木材の材質とは違うようにみえますが、カケヤで杭の頭をたたけば、割れることもあるので注意が必要です。万一障害物などで横木より杭の頭が出る場合には、のこぎりで切り落とせるので重い材料ですが、普通の木材と同じように扱えます。
写真4中段では予め金てこで穴を掘ったところに、カケヤで杭を横木の高さまで杭を打ち込んでいるところです。
横木と杭が同じ高さになったところで、杭に予めあけてあるねじ穴に木ねじを入れ、ハンマーでたたいた後、インパクトドライバーでしっかりと締めて1段の作業を終え、順次上の階段へと作業が続きます。
写真5 午前中の作業で完成した階段
この椿山への作業道を担当した班では、写真5のように12段を完成させて、約1時間半の午前中の作業を終えました。
従来の作業道の階段は、間伐した現地の材料で同じ構造で階段を作ってきました。
4年ほどで木が腐ってきて補修しなければならなかったのですが、今回使用した加圧浸透した階段用の丸太材を使うことにより、20年間は持つだろうと思われます。
ただ、丸太材は耐久性が十分に確保されましたが、雨水等で丸太材周辺の土砂が流出していくので、当面は土砂の補充が必要です。
今後、耐久性のある作業道を踏み均しながら使うことにより、人力で締め固めていけば、強固で耐久性のある山道になっていくことでしょう。
1年ぶりに団体ブログで「第126話 作業道・階段つくり」をまとめることができました。今までのように、話題を広げずに書くように心がけたつもりですが、今回も字数制限近くまで長くなってしましました。
この日8日には豚汁広場の側で「トガリアミガサダケ」という今まで見たことのなかった珍しいキノコが出ていると仲間が教えてくれました。
この話題も加えるつもりでいましたが、字数と写真枚数5枚の制限をオーバーしそうなので、このあたりで締めくくります。
これからも皆さんからの話題の提供などを元に、ブログを書いていくつもりですので、よろしくご指導くださいますようお願いします。
(平成22年5月12日)