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第100話 竹炭やきで出てくる煙の色[2008年09月12日(Fri)]

 
 昨年6月19日に開設した団体ブログは今回で第100話を公開することができました。ここまで何とか記事を書くことができたのは読者の方々からの励ましの言葉のおかげであり、感謝申し上げます。

 箕面だんだんクラブの活動目的は、「森林、竹林整備のほか、里山の保全、間伐材の有効利用および植林」であり、その一環として竹炭作りをおこなっています。

 その炭窯を取り替えるにあたり昨年4月末、日本財団から炭窯更新の助成を受けました。その活動を他団体との情報交換のためブログを開設しました。ブログは初めての経験で十分理解できなかったこともあり、ブログ名は「竹炭作り」としました。

 今まで公開した記事を振り返ってみると、「竹炭作り」とは直接関係のない内容が含まれています。竹炭だけの話題では限定されてしまいますので、日頃行っている森林保全活動を含めた種々の話題を取り上げてきました。

 第100話では、団体ブログを開設した時の原点に戻って「竹炭作り」の話題を取り上げてみました。中でも、炭窯から出てくる煙の色は炭化過程における重要な判断材料です。
そこで、煙道口から出てくる煙の話題を取り上げることにしました。


竹の化学的成分

  竹の化学的成分に最も多く含まれているのはセルロースで、乾燥した竹稈の半分近くの重量をしめています。セルロースの次に多く、全体の4分の1近くを占めているのがリグニンです。このセルロースとリグニンは本来結合しにくいのですが、この2つを結びつけるのがヘミセルロースで、竹では3番目に多い化学物質です。この主要成分のほかに様々な有機成分も含まれています。

 また、竹には、こうした有機成分のほかに、無機物としての灰分も、木材より多く含まれていて、酸化ケイ素、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどのミネラルが含まれています。とくにカリウムは比較的多く含まれていて、竹に含まれるこうしたミネラルは、竹炭がアルカリ性を呈する要因になっています。
参考資料 「竹の魅力と活用:内村悦三編 椛n森社」


燃焼と炭化

 木材や竹を空気の供給を絶って加熱すると、セルロース・リグニン・ヘミセルロースなどの化学物質は分解され、炭素・酸素・水素などは複雑な化合物となって揮発し、最後に木炭が残ります。

 乾留とは空気を完全に遮断し加熱分解し、揮発成分と不揮発成分とに分ける操作です。炭やき窯では空気を完全に遮断してはいませんが、炭材を燃焼させているわけでもなく、限りなく乾留に近い条件で熱分解がおこなわれています。炭素化合物は分解するにとどまり、炭素のみが残ります。この現象が炭化で主に炭を製造、生成する際に用いられています。

 石炭は古代の植物が土を被って酸素が遮断された状態で地熱によって加熱されたことで炭化したものとされたと言われています。(参考資料 フリー事典:ウィキペディア)


点火から空気量を絞るまでの煙の変化

 炭やきが始まると、最初に湿っぽい水蒸気の煙が出始め、炭材に着火し始めると、水蒸気を含んだ白い煙がもくもく出だし、空気量を20ミリに絞る80℃くらいになると、白色に薄い黄褐色の煙が混じり、つんと鼻をつく刺激臭がしてきます。

 この状況を写真1でみると、上段は点火してから130分ほど経過したときの焚口の状況です。焚口には2段から3段のレンガの障壁を設けていますので、焚口からの熱気だけで炭材には未だ着火していません。
 中段は16時10分の煙の色です。左側の煙突先端の温度は72℃、右側は54℃でした。
右側もこのあと10分ほどで炭材に着火し、60℃付近で左側と同じような煙に変化していきました。

 下段は写真1中段のように可搬式の煙突を焚口に移したときの状況です。




       写真1上段:点火後の焚口の状況(14時47分)
           中段:16時10分の煙の色
           下段:空気量を20ミリに絞る直前の煙の色


 このときの竹炭を温度変化の推移を図に描いてみました。



  図 点火から窯止めまでの温度推移(第25回目08年9月6日〜7日)

 写真1下段の煙の色は炭やき言葉で「黄肌煙」と呼び、炭材の熱分解が始まったことを示していて、窯内の温度は320〜350℃になっています。

炭化中の煙の色の変化

 煙道口の温度が80℃を越すと、焚口の火を消してしまい、空気量を20ミリに絞ります。酸素の供給を極端に少なくして、窯内の熱分解だけで炭化が進行していきます。

 図で示すように、前日16時40分に空気量を20ミリに絞った結果、13時間後の翌朝8時でも煙道口は100℃程度で推移していました。

 その後は煙道口を20ミリから30ミリ、55ミリに開けていき、180℃前後から煙道口、焚口とも空気量を全開(Φ115ミリ)にして約1時間程度の精錬を行って窯止めにします。

 セルロース、ヘミセルロースの熱分解温度は200℃〜300℃で白色の煙であり、リグニンは300℃〜450℃で分解するとき青色の煙が出ます。
 炭化が進行するにつれ、煙の色が淡白色から徐々に白青色に帯び、青色から無色透明になると、炭化は終了します。




     写真2上段:11時05左窯280℃、右窯170℃
         中段:左窯12時18分252℃
         下段:左窯11時30分330℃  

 
 その変化を写真2の3枚で示してみました。

 煙道口の煙の色は、水蒸気を含む無色→灰白褐色→淡褐色→淡白色→淡青色→紺青色→無色と変化をしていきます。


煙突からの煙の色

  写真3上段及び中段は煙突からの煙の色を写しています。この固定の煙突を利用して出る煙は竹酢液を採取する80℃から150℃以下までの間に出てくる煙です。この固定煙突では
 炭材に含まれている有機成分が熱分解されて生じた水蒸気や竹酢液です。

 写真3上段は9月6日16時48分の煙突の煙の色です。写真3中段は2008年4月16日17時26分の煙の色です。




       写真3 上段:煙突からの煙の色(08年9月6日)
            中段:煙突からの煙の色(08年4月16日)
            下段:08年9月7日に採取した竹酢液


  この両方の煙は煙道口の温度が80℃程度に達していて竹酢液を採取し始めてからの煙です。このときの煙道口の煙の色は写真1下段のように、黄褐色の「黄肌煙」になっていますが、煙突からはほぼ白色です。

 煙道口に設けた煙を集める傘を通して煙突の中をくぐり抜けていくうちに冷却されて水蒸気より重いタール分などは竹酢液となって集められます。

 こうした竹酢液は9月7日には、写真3下段のように、左窯で3.9kg、右窯で3.1kg採取できました。この写真では比較しにくいですが、同じ条件でも採取量や色など微妙に違っています。
 
 煙突から出てくる煙は、窯内の熱分解が順調に進行しているかを判断する程度で、煙の色の変化は、私たちの目では判断しにくいのではないかと思います。


良質の竹炭をやくために

 新しい鉄製炭窯になって25回目になります。この間大きな失敗が4回ほどありました。

@タールピットにタールが一杯になった
Aタールピットに水溶液が一杯になって排煙できなかった
B窯内部の温度が十分に上がっていなかった
C煙道口の空気をうっかり忘れて20ミリに絞らなかったために炭材が灰になってしまった

 というのが、そのおもな失敗原因です。
 
 このうち、失敗の3つは、煙道が十分に暖まらずに点火をしたために、焚口からの暖かい熱気が上昇気流で窯内部の上部でぶつかった後、窯底のタールピットから排煙していくべきところを、冷えた煙道の冷気と窯上部から熱気の気流がぶつかり、このために不連続な温度勾配ができて排煙がスムーズにできなくなったのではないかと推察しています。


 良質な竹炭を作るためには、これからの寒い季節になってくると、窯内を暖めるときはとくに煙道を暖めるような工夫をして熱分解で発生する煙を煙道からスムーズに排煙することが重要だと考えています。

(平成20年9月12日)


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