「介護はダンスだ!?」
日時:2009.12.21(月)AM10:00 〜12:00
場所:京都市障害者スポーツセンター
講師:砂連尾理(振付家・ダンサー)
参加者:約28名(市内事業所の障がい児者の支援者)
京都市障害者スポーツセンターの会議室が、カラフルなマットで敷きつめられた会場に。
○あいさつと意見交換(13分)
参加者と講師が円形に並んで座って今回のWSの意図や、日頃介護現場で感じていることについて話し合う。
「介護はどうしても自分よりも相手中心になりがりなので、今回のWSが自分のカラダをみつめる時間にしてもらえれば」(講師)
「カラダを触れるのが嫌な人もいるから、そういうのに対してどう対応するか」(参加者)
→「相手のことをリラックスさせるには、まず自分がリラックスすること。では自分のカラダをどういう状態にもっていけばよいか。それを探っていきましょう。」(講師)
○カラダをほぐす(30分)
〜足〜
→足の裏を手で揉む
→足首をまわす、ぶらぶらふる
→足の裏を手でつかみ足を伸ばす
→同様に両足裏を手でそれぞれつかみ、Vの字状態になる
・柔軟性とバランスが必要
・普段使っているカラダの範囲を少しずつ広げていく。
・ゆっくり時間をかけてほぐす
〜手〜
手を前に伸ばし掌をぐっぱーする
→人差し指だけ折り曲げる→他の指も順々に
→掌を合わせ、ひじをくっつけ離さないようにして上へ
→後ろ(背中)でも同様に掌を合わひじが離れないように上へ
・肩甲骨や肩の力が抜けていないと自然にあがらないので、肩をマッサージしながら徐々に柔らかくしていく
→長座した状態で、ペアの相手の手を後ろにひっぱりながら、肩甲骨の間に足の裏をやり、背中を押す
○相手の力を受け入れる(20分)
ペアワーク@
一人は座った状態で手を合わせる→後ろへ押されたら、転がらないようにこらえる
・脇腹で相手の力を受け止める
・介護をするとき、あたふたしない自分をつくるためにも
ペアワークA〜船を漕ぐ〜
一人が相手の両手首をにぎり、握られた方はボートを漕ぐように手を動かす(例えると、動かす方はボートオール、相手は水。)
→少し難しいので、はじめはお互いをひっぱりあってカラダ全てを相手に任せる練習から。
・変に二人の間に気遣いがあるとぎこちない動きになりやすい。
・動かす方、掴んでいる方、どちらもの働きかけが大切。
▷参加者の声
「相手を知っていないと不安に感じる。」
「息が合ってないとやりづらい。」
「身を任せることって気持ちいい。」
「力加減が難しかった。」
「相手に合わせたやり方、力のかけ方が大切。」(講師)
○相手との距離間隔(25分)
ペアワーク@
→正面で向き合って立ち、お互いが楽な距離間隔を探る
→どこまで近寄れるか、お互いの距離を縮めていく
「不快なところがどこか、そこにどこまでいれるか、を知る練習。障がい者の方と接するとき、普段他人と接する距離とは違う領域に踏み込む場合があるので、そのときどこまでなら大丈夫なのか知っていることは大切。」(講師)
ペアワークA
向き合った状態で、両掌を合わせる。
→30秒間お互い体重をかけあう。
▷参加者の声
「力をかける側とかけられる側とで同じ時間なのに時間の長さが違うように感じた。」
「心地良い手の高さの位置を探りたい。」
「ペアによってしんどそうなところもあれば楽そうなところもある。その差はお互いの(立ち位置の)距離間隔が違うからかもしれない。」
○相手の動きを左右する(25分)
ペアワーク
お互い正面で向き合い、片方の掌を合わせる。
→一方が動かしたい方向へ動かす
・動かす側はゆっくり伝える。
・動かされる側は相手に身を任せ、自然な状態に。
→同様に両手で。
→相手の背中に掌を置き、動かしたい方向に歩いていってもらうよう掌で伝える。
・自分の考えはなかなか伝わらないから、ふたりの間で通用するルールを手探りでつくっていくことが大切。
▷参加者の声
「お互いのルールが生まれる。」
「自分がやろうとやっていることもなかなか相手に伝わらない。だから(より伝えられるように)工夫する。」
「相手に伝わっているのか、伝わっていないのかがいまいちわからず不安だった。」
〜参加者アンケートより抜粋〜
「個々の関わりのむずかしさを感じた」
「頭ではわかっていたが、人それぞれ他者との距離感が違っていたり、伝えようとする手段や感じ方が違っていたりするということを、体を使って実感できた」
「最後にやった背中に手を付けて方向を教えるコミュニケーションから、言語以外で相手とコミュニケーションをとる事は、互いに集中して、相手の事を知りたいという思いが必要だと思いました」
記録感想
「コミュニケーションをとれることは本当にいいことなのか?」という言葉から始まった今回の砂連尾さんのWS。’コミュニケーション=素晴らしいもの’と思い込んでいた私にとって、その問いは頭をこつんとやられたように響いてきた。
「コミュニケーションをとるってどういうことだろう?」言葉でカラダでいろんな手段を使っても案外伝わらないことって多い。でも、だからこそ相手と一緒に構築していくことが大切なんだ、と今回のWSで気づかせてもらった。
10組以上のペアが、それぞれの伝え方、受け取り方でとまどいながらも相手に伝えることをされおり、そして参加者の皆さんがペアワークをやっているときとても楽しそうなのがなによりの答えな気がした。
記録者:児玉依美奈(立命館大文学部心理学専攻)
アシスタント:辻野恵子、出村弘美
写真(一、二枚目):草本利枝