• もっと見る

« 2018年12月 | Main
宇宙で暮らそう─宇宙開発最前線─ [2019年01月02日(Wed)]

子ども大学かわごえ
2018年12月15日 東京国際大学第一キャンパス

宇宙で暮らそう─宇宙開発最前線─

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)広報部 中沢孝先生

【授業概要】
1.宇宙はどんなところか
2.ロケットとは
3.宇宙の暮らし
 @国際宇宙ステーションの概要
 A宇宙の家と地上の家
 B宇宙環境の人間への影響
 C宇宙での生活
 D宇宙の食事
4.宇宙飛行士になるには
(質問コーナー)

中沢先生は、まずJAXAの施設紹介をしたあと、「こうのとり」7号機が国際宇宙ステーションに到着する瞬間のタイムラプス画像を見せてくださいました。
画像をたくさん表示しながら、こうのとりが打ち上げられてから地球へ帰ってくるまでの流れや、はやぶさ2がリュウグウについたときのことをお話してくださいました。

1.宇宙はどんなところか

・高度100km以上が宇宙。そこをカーマン・ラインという
・微重力環境
・日が当たるところは非常に暑く、日の当たらないところは凍りつく。太陽に当たっているときは+120℃、太陽の影に入ると−150℃
・地球磁気圏外を飛ぶことによる放射線被曝
・閉鎖空間、少人数、長期間の生活によるストレス
・物資の補給が難しい

2.ロケットとは

どうしたら宇宙へ行けるでしょうか。
ボールを投げるとき、速い速度で投げるほど遠くへ飛びます。
→あるスピード以上の速さで投げると、地球を一周できる!

7.9km/秒=第一宇宙速度(新幹線の約100倍)

ロケットの条件:
・ロケットの外壁→厚さ約2mmのアルミ合金
・燃料比は推進剤が多い(液体ロケットの燃料比は缶ジュースと同程度)

3.国際宇宙ステーションの生活&仕事

国際宇宙ステーションは、「6人の宇宙飛行士が交代で住み込んでいる宇宙の家&実験室」です。
・1998年に最初のモジュール打ち上げ
・2000年から宇宙飛行士が滞在
・2017年11月で満17年
・15年間に17カ国220人を超える宇宙飛行士や宇宙旅行客がISSを訪れた
・83カ国1760以上の実験を実施
・日本人宇宙飛行士の累計宇宙滞在日数も1000日超え

「きぼう」というのが、船内と船外で本格的な宇宙実験が可能な日本独自の施設です。

【宇宙生活(宇宙飛行士の平均的な一日)】
平均8.5時間の業務
運動は必須(1日2時間以上)
・筋力が弱くなる
・血液や体液が頭や上半身に移ってしまう
・カルシウムが骨から抜けてしまう
・宇宙酔い
宇宙滞在における身体の変化
 身長:2cm〜5cm伸びる
 体型:上半身は膨張、下半身は細くなる。
 体重:平均3〜4%の体重減少
 筋骨:脱カルシウムの量は、一ヶ月あたり0.3〜0.4%
 その他:長期滞在では足の裏の皮がむけて薄くなる

宇宙のトイレ→水洗ではなく空気吸引式
(打ち上げ・帰還・宇宙遊泳時はおむつを使用)

おしっこ・ISS内の水蒸気や湿気などは再利用→水再生システムを通して、飲み水・食事・酸素・実験へ

シャワーや風呂は今はないそうです。

【宇宙食の条件】
安全であること
・燃えにくいこと
・からだに害になるガスが出ないこと
日持ちすること
・冷蔵庫に入れなくても一年間は食べられること
絶対に食中毒にならないこと
食べるとき危険でないこと
・液体混じりの食品は飛び散らないようにストローを使うので、具入りのスープは難しい。
・納豆のように糸がふわふわただようものもだめ
・粉や粒状のものも飛び散りやすいのでNG

【国際宇宙ステーションの宇宙食】
アメリカとロシアが半分ずつ宇宙食を用意
運ぶのは、プログレス、こうのとり、ドラゴン、シグナス
メニューは16日周期(標準メニュー)
標準メニュー以外に、各飛行士用の宇宙食が入ったコンテナも用意(宇宙へ行く前に試食して選択)

【宇宙飛行士の仕事】
(1)宇宙実験や観測
 @小動物飼育ミッション
 Aタンパク質結晶成長実験 など
(2)超小型衛星(CUBE SAT、10cm角)の放出
(3)国際宇宙ステーションの維持・保守。船外活動も
(4)その他(物資の搬出入、在庫管理、広報イベント等)

4.宇宙飛行士になるには

必要な条件は細かく決まっています。たとえば、

・体も心も健康であること
・友達と仲良くなれること
・英語がうまいこと
・およぎがうまいこと
・いろいろなことを知っていること

でも、宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションを支えるたくさんの人々(たとえば運用管制官)などに支えられて初めて宇宙へ行くことができます。つまり、この人のためならがんばろうと思ってもらえるような人間力が宇宙飛行士にとって一番大切なものなのだそうです。