「いつ溺れてもおかしくない」虐待や貧困などで苦しむ要支援家庭の子どもを地域の居場所で受け入れ続けて、コロナによる一斉休校から半年が経過し、危機感だけがどんどん強くなってきています。
今、要支援家庭で暮らす子どもたちもその保護者も、最後の息継ぎを終えて何とか溺れないように先の見えない海を泳いでいます。
子どもたちの一斉休校からの半年間を振り返って。まず前半の三ヶ月、子どもたちは学校に通わずひたすら家庭の中で耐えてきました。家が安全安心な子どもたちにとってはオンラインツールを駆使し、家族のサポートで学校に行けなくても有意義な時間を過ごしたことと思いますが、様々な事情で家が安全安心でない子どもたちにとっては本当に苦難の日々だったと思います。この休校期間中の子どもたちについての課題提起は、今までのブログなどでも綴ってきたのでここでは割愛させてもらいます。
さて後半の三ヶ月は学校が再開し、短い夏休みが終わりました。一学期は、いつもの半分の期間しかなく、休校中に広がった家庭間格差によって学力も基本的な生活習慣にも大きく差をつけられ、それでも二ヶ月間、頑張って学校に通っていたと思います。スクールソーシャルワーカーとして感じているのは、ソーシャルディスタンスによって子どもたちの学校に様々な影響が出ています。家庭で十分にスキンシップを与えられている子どもたちはいいのですが、学校で友達や先生と触れあうことでスキンシップを保っていた子どもたちは、すぐに「距離をとって」と言われる中で人のあたたかみを感じる機会が激減しています。特に幼児期や小学校の低学年の子どもたちに与える影響は顕著だと感じています。そして話すことが苦手な子どもにとって、マスクをすることでますます相手に言葉を伝えにくくなっているので、意思疎通が出来にくいストレスも半端ないと思います。大人でもそうですが、わかっていること自信のあることは大きな声ではっきりと発言出来ますが、あまりわかってないこと自信がないことになるとどうしても声のトーンが下がります。しかしマスクと距離によって、もともと勉強が苦手なこともあり自信なく発言した言葉を、「聞こえません」「もう少しはっきり話して」と言われると、もうそれだけで子どもは萎縮してしまいます。
学校が再開したことで給食や人とと触れあう機会が増えたことは望ましかったと思いますが、要支援家庭の子どもたちの学校生活は今まで以上にストレスフルな状況を生み出していました。やっと長期休みに入ってそのストレスから解放されると思っていたら、夏休みの期間は半減しているのに、宿題の量はほとんど変わっていないという恐ろしい現実(たぶん学校はこれでも減らしたと思うのですが受け手の子どもや保護者からすると「去年と一緒やん」という感覚でした)。長期休みの宿題問題は以前から要支援家庭を苦しめている要因の一つとして、地域の居場所でそれを解消出来ないかと考え、大津市では各学区の社会福祉協議会さんの力で各学区に夏休みの宿題をする子どもの居場所(そして給食に代わるごはんが食べられる場)の「寺子屋プロジェクト」づくりに関わって一定の成果を上げてきたと思っていました。また滋賀県の子ども食堂も「学べる・遊べる」を掲げ同じような役割をもって広げてきましたが、ご存じの通り、この手の地域住民主体の子どもの居場所は滋賀県・大津市内でも今年は活動数がほぼ半減しているのが現状です。
そして何よりもこの最後の一ヶ月間、子どもを苦しめているのが
「家計の息継ぎ問題」です。国や自治体によるコロナによって起きた生活支援の次の一手が示されないまま夏を迎え、生活困窮課題を抱える多くの家庭がいよいよ溺れはじめていることを活動を通して感じています。この半年間を振り返って、前半も要支援家庭の生活は苦しかったのですが、やはり国の給付金と自治体の給付金(大津市ではひとり親家庭向けに支給)、すぐに助けてくれる社協の貸付金によって、
何とか海面から顔を出し、一息をつくことが出来ました。家計管理が苦手な家では、一度に多額なお金が入る「給付金バブル」によって、今までの我慢の反動でびっくりする買い物をしているのもよく見かけました。しかし
7、8月に入りそのいよいよその資金が底をつき、しかも次の収入が全く見えない状況に陥っています。その保護者のストレスがもろに子どもに対して出ていたのがこの夏休み期間だと考えています。
こうして精神的にも生活面でもボロボロの子どもたちが過去最大の長さとなる二学期に突入しました。これから子どもたちやその家族に何が起こっていくのか考えるだけでも恐ろしい中、各家庭が待ったなしの状況の中、体調不良でやむを得ないことと思いますが、国のリーダーを決めるためにしばらく国政がストップすることになるということに頭を抱えています。
その意味でどの草の根NPOの現場も、うちも含めててんやわんやの半年間だったと思いますが、このような子どもたちや家庭の状況を現場から発信していかなければ、社会が何も知らないままに本当に手遅れで悲惨な事件や事故がこの秋から相次ぐことが想像できます。うちも正直、現場に追われて時間のない中ですが、今回この夏を終えて見えてくる子どもたちや家庭の状況と課題をブログで発信させてもらいました。長文でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。そして良かったらこちらのブログや文章を広げて要支援家庭の子どもたちや家庭の実態を知って欲しいと思います。
【支援はこれからです!】こどもソーシャルワークセンターでは、前半の半年間の活動を京都地域創造基金さんの協力で行ったクラウドファンディングで何とか寄付を集めることが出来ました。しかし後半の資金はこれから寄付集めを行うことになります。しばらくクラウドファンディングなどの予定はありませんが、法人の賛助会員や直接寄付、amazonの欲しいものリストなどでの応援よろしくお願いします。こどもソーシャルワークセンターでは、寄付を集めてから支援を受ける子どもを探す(集める)のではなく、支援を受ける子どもたちがすでに目の前にいて、そのために寄付を必要としています。寄付や賛助会員についてはこどもソーシャルワークセンターホームページの「賛同者様募集」をご参照ください。
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