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四年ぶりの講演行脚 [2023年08月09日(Wed)]
理助長の幸重です。この一週間は講演行脚で県外のあちこちで講演してきました。

8月2日 島根県隠岐の島
8月3日 兵庫県西宮市
8月4日 岡山市
8月7日 島根県松江市
8月8日 島根県浜田市

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というルートでした(週末は滋賀に戻ってました)。
県外の講演は移動にも時間がかかるので
(特に今回はフェリーでの移動もあったので)
体力的にもかなりハードで、出張先で仕事しようと
思って持っていきましたがほとんど手つかずでした。

あとはスーツケースにチャリティーグッズを満載して
各会場で寄付のお願いをしたところありがたいことに
この一週間だけで寄付箱に5万円近い寄付をいただきました。
夏休みの子どもたちの活動を支えるための資金が必要なので
このような講演による謝金、講演先での寄付は大きかったです。

今日からは県内での講演や視察対応が続きますが
お盆まで走り抜けたいと思います。
2023年度がはじまりました! [2023年04月03日(Mon)]
まさかのインフルエンザで年度末から一週間近くダウンしておりました。

さて4月1日より新たなソーシャルワーカーを加えて
NPO法人の7年度がスタートしました。
今年度はフルタイムのソーシャルワーカーが4名の体制に。
組織として大きく成長したなと思いながら
この組織体制を維持するために
今年は組織運営的には大きな変革の年になります。

まずこの三年間、民間助成金(休眠預金)に頼り切った
資金繰りになっていましたが、
今年は採択されなかったことをきっかけに
「寄付」で応援してもらえる団体に変化していきます。
ご存じの通り、寄付は集まられなければ
事業が計画通りに進まないというリスクはありますが
この二年間あまりにここをおざなりにしすぎてきました。
職員の意識改革も含めて、改めてみんなに応援してもらえる
NPO法人こどもソーシャルワークセンターを目指していきます。

もちろんほぼ完成を迎えている子ども若者の居場所活動と
ヤングケアラー支援事業も、毎日子ども若者たちに提供しつつ
このような活動を社会に広げていくための
ソーシャルアクションを高めていきます。

では2023年度のこどもソーシャルワークセンターも
よろしくお願い致します。

理事長 幸重忠孝
2022年をふりかえって [2022年12月31日(Sat)]
2022年最後にコロナウイルスに感染して
一週間近くお休みのまま年末を迎えてしまった理事長から
2022年を振り返っての投稿を。

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まさにこの年末に象徴されるように
2022年は職員やボランティアを中心として
より強固なマンパワーで子ども若者たちに
活動を提供することが出来る組織になったことを実感しています。

そのように組織基盤が強まってきたきっかけとなるのは
2022年に「組織基盤整備強化事業」が行われたことが
とても大きいと感じています。
Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGsの
助成を受けることで、外部のコンサルテーションを
受けながら毎月、職員全員と組織診断を行ったこと
また副理事長が職員会議に毎回参加することや
定例の理事会以外に意見交流をもちながら
この数年で大きく拡大した組織がバラバラにならないように
体制づくりを固めながら活動をすすめていきました。

そして活動についてはこどもソーシャルワークワークセンターで
ニーズが強くなっている若者支援を強化するために
休眠預金を活用した助成金を受けることが出来たことから
若者支援を統合して「ユースホーム事業」に進化させました。

さらに新たな展開として、滋賀県と共同して
「ヤングケアラー支援事業」も夏からはじめることとなりました。
昨年、大津で起こった事件に心を痛めていたこともあり
このような形で行政と民間が協働して事業をスタート出来たこと
そして何よりもセンターが大事にしている
「当事者の子ども・若者の声」で作り上げる活動づくりを
今回のヤングケアラー支援でも実践することが出来ています。

すっかり活動として安定期に突入している
「トワイライトステイ」「ほっとるーむ」の子どもの居場所活動は
ほぼ毎日子どもたちに活動を提供することが出来ましたが
実は、活動を利用している子どもたちが次々と
家庭で暮らせない状態になってしまった一年でした。
コロナによる厳しい生活も三年目に突入し
一番しんどい層がいよいよ生活を保てなくなってきている
ことを感じながら、センターで出来ることを精一杯提供しています。

最後に行動制限がなくなってきたことで
講演活動がかなり回復してきました。
理事長だけでなく職員が講演する機会も増えてきており
センターで見えている子ども若者の姿や
地域のつながりで作る居場所活動を紹介して
大津や滋賀県から今後も社会発信を続けていこうと思います。
(新聞・テレビなどマスコミで取り上げられた回数も
 過去最大の数となりました)

さてすっかり遅くなっている2021年度活動報告書ですが
実は12月前半からの体調不良、コロナと作業時間が
とれていないまま年を越すことになってしまいました。
何とか1月末に賛助会員・寄付者のみなさんのもとに
送ることが出来るように年明けからブーストかけていきます。

2023年もこどもソーシャルワークセンターを
よろしくお願い致します。

NPO法人こどもソーシャルワークセンター
 理事長 幸重忠孝
滋賀県外での講演もぼちぼち復活 [2022年09月11日(Sun)]
この週末は滋賀県では職員のみんなに
中学生のヤングケアラーの日帰りキャンプをまかせ
理事長は東京での講演活動へ。
(職員の一人は湖南市で講演)

こどもソーシャルワークセンターにとって
大事な子どもたちの活動の収入源である講演活動。
またセンターの子どもたちの声を届ける貴重な機会。
コロナに翻弄されて、県外での講演がすっかり減っていましたが
この秋からぼちぼち依頼が来ています。

来週は理事長の地元岡山で講演二連チャンです。
オンライン講演も増えていますが、
自分で言うのも何ですが対面のライブで聞いた方が
伝わるタイプだと思っています。

全国のみなさん、講演依頼お待ちしております。

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あすのば若者合宿に参加してきました [2022年08月19日(Fri)]
8月15日から18日まで、センターを職員たちにまかせて
理事長の幸重はこどもの貧困対策センターあすのばの
若者合宿に参加してきました。
その前の週が「ケアピアびわキャン」だったので
二週続けての合宿になりましたが、いい刺激を受けてきました。

あすのばとは、子どもの貧困対策キャラバンin滋賀や
まちなかほっとるーむの立ち上げでいろいろと
共同させてもらっている関係です。

今回は滋賀県からの若者の参加はなかったものの
近畿圏からの参加は結構多かったので
新たな若者たちとのつながりが出来ました。
貧困課題はもちろんのことヤングケアラーの
若者も多かったので、秋からのセンターの活動でも
力を貸してもらうつもりです。

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2021年をふりかえって [2021年12月31日(Fri)]
毎年恒例の大晦日の振り返り記事です。

今年もコロナの影響を強く受けた一年でした。
そんなコロナで苦しい状況の中で
ケア型の要支援家庭の子どもの居場所として
活動を続けてきた結果、ついに大津市から
国の「支援対象児童等見守り強化事業」として
週5日間の子どもの居場所事業としての
委託を受けることがこの夏からはじまりました。

これによって大津市で5年間訴え続け活動続けた
「子どもの居場所」事業がついに制度として
一つの形となりました。

「何かいろいろイヤなことがあっても
 あそこ(センター)に行くだけで消せるからな
 イヤなことあっても何かあったっけみたいになっちゃう」
と居場所活動に来ている中学生が
TVのインタビューに答えてくれました。

さらに助成金を活用して新たなモデル事業づくりも
少しずつ形になってきました。

「まちなかほっとるーむ」として高校生や若者世代の
居場所活動から、「子どもの貧困対策キャラバンin滋賀」や
マスコミの取材などで自分たちの抱える社会課題を
世の中に発信することに挑戦をしたり
地域のボランティア活動に参加したりと
アクティブな活動が増えました。

「生きづらさを抱える若者たちによるアウトリーチ事業」は
全国的にも注目される取り組みとして
マスコミに何度も取り上げられました。
この活動を通しての緊急対応も何度もありました。

そしてこれらの毎日行われる居場所活動や
新たなモデル事業づくりを支えてくれる職員や
ボランティア・寄付者などのセンター応援団の力に
支えられた一年間でした。

年末には全国放送で活動を紹介され
年明けにも全国放送の取材が予定されています。
センターで受け入れる子ども若者の数は
もう受け入れが難しい規模になっているからこそ
ソーシャルアクションやネットワークづくりで
社会の中で「子どもソーシャルワーク」を広げることに
これからより力を入れていきたいと思います。

遅くなりましたが年明け早々に2020年度法人活動報告書を
賛助会員や寄付者、ボランティアなどセンターを応援している
みなさんの手元に送り届けます。

2022年もこどもソーシャルワークセンターを
よろしくお願い致します。

NPO法人こどもソーシャルワークセンター
 理事長 幸重忠孝
大津市内での小学生死亡事件について その4 [2021年08月20日(Fri)]
★理事長の個人のSNSで発信した記事の内容を転載します。

読売新聞から今まで報道各社の取材記事をまとめた総括的な記事が出されました。報道内容によると、その1やその2で危惧していた通りの児童相談所の支援内容であったことにがっかりしました。措置解除され自宅に子どもたちが戻ってから事件が起こるまで児童相談所のワーカーが亡くなった小学生や事件を起こした兄と結局一度も面談をしてなかったということです(3回の家庭訪問と5回の電話連絡はすべて母親との面談のみ)。特に7月21日未明にコンビニから警察に連絡があって警察が自宅に子どもたちを送り届けた段階でも親が不在だったにも関わらず、結局一度も子どもに話を聞いていないということに驚きました。亡くなった妹は夏休みになるまでは、学校での日々の見守りや担任の先生を中心とした声かけが効いていたと思います。しかし夏休みによってその日々の見守りがなくなりました。また高校に行ってなかった兄はまだ17歳でありながら、この4ヶ月間どこにもつながっていないということは、誰も彼のSOSに気がつかなかったということになります。

この件について、多くの人が「家に戻らず施設にいた方が幸せだった」と話しますが、兄については高校に行ってない17歳なので、基本的にはもう児童福祉施設を利用することは難しい状況だったはずです。そして日本ではこの世代をサポートする支援が本当に手薄です(大津市に関していえばほぼ皆無)。そして唯一その兄とつながりがあった児童相談所を責める声も聞こえてきますが、児童相談所のワーカーが一人100ケース近くを担当していることはあまり知られていません。最新の滋賀県のデータでは、昨年度滋賀県で児童虐待の相談対応件数は8201件、そのうち一時保護所に保護したケースは年間でたった188件。つまりこの事件は特別、手薄な対応ではなく(実際に最初の報道で児童相談所からは手続き通りに対応してきたとコメントしています)、今の児童虐待の支援は、今回の事件が起きた家庭のように、月数回の電話や訪問による見守り支援であり、特に今回の事件のように子どもの声をワーカーが聞いていないということは多々あります(というか最近のスクールソーシャルワークや児童相談所界隈では、ケース会議やスクリーニングなどが重視され、子どもと直接出会うケースワークがあまりに軽視されています)。

これから県で検証委員会がたち上がるということですが、おそらく過去の例から検証委員会の再発予防は児童相談所の機能強化という話でまとまり、職員が一人増員されるとかスーパーヴィジョン体制を強化するという結論におさまるような予感がします。もちろんそれも大事ですが、今回事件に巻き込まれた二人の子どもや家庭にとって必要だったのは、直接あたたかさを感じる人とのつながりや居場所ではなかったのかと思います。が、この手の検証委員会による再発予防でそのような提案をされることはあまりありません。そして居場所が増えても、今回の事件もそうですが、地域の民間の居場所は出会うきっかけがなければ身近な地域で苦しんでいる子ども若者がいてもサポート出来ません(実際に今回はうちの居場所にこの子どもたちがつながる機会はありませんでした)。

今回の事件は報道にも書かれていますが、おそらく夏休みに入って一週間たらずで急激に悪化して、誰も最悪の事態に気がつかなかったということでした。今、コロナの感染拡大に伴って、また一斉休校論が議論されはじめました。すでに夏休みの延長を決めた自治体や学校も出てきています。今回の大津の事件から学んで欲しいのですが、その一週間延長や安易な休校によって家庭が苦しい子どもたちがどれだけ絶望に追いやられるのか考えて、せめて休校するならその対策をきちんと講じてからにして欲しいということです(昨年度のコロナによって亡くなった子どもの数と自死で亡くなった子どもの数を考えれば感情論でなく、子どもの命を守るために優先すべき課題としてどちらが上かわかりますよね)。

そしてこの夏休み明けは、昨年以上に苦しい環境で絶望を抱える子どもたちが増える中、こどもソーシャルワークセンターでは、現在の公的支援や他の民間団体の支援が手薄な22時から翌朝6時まで緊急支援として一週間限定でオンラインサロンや緊急宿泊支援など出来る範囲での直接支援を行います。現在そのためのクラウドファンディングもスタートしています。ぜひこどもソーシャルワークセンターのホームページから、この緊急支援やクラウドファンディングなどの内容を確認してください。そしてぜひみなさんの力を貸してください。小さな団体であるので、つながれる子ども若者の数は限られていますが、それでも夏休みのはじめに起こった大津の事件のようなことをこの夏休みの終わりに起こさないためにも、やれることをやっていきます!

京都地域創造基金クラウドファンディング
【コロナ対策】子ども若者たちの自死や事故をなくすための緊急支援


★この投稿の元になった読売新聞(8月20日)
1000円渡し夜も帰らない母親、
17歳少年「妹の世話つらかった」…大津妹暴行死
についてはこの後に追記
続きを読む・・・
大津市内での小学生死亡事件について その3 [2021年08月11日(Wed)]
★理事長の個人のSNSで発信した記事の内容を転載します。

連休明けに、さっそく最初の報道が入ってきました。記事の見出しが兄の暴力についてなのですが、大事なのはそこではなく暴行が7月22日、つまり夏休みに入ってはじまっているという事実(ただ警察に連絡され、児相がふたたび介入したタイミングでもあるので、この介入失敗の可能性もありますが)。逆を言えば、学校がある間はこの妹はギリギリ安全を保っていたということです。このように夏休みは家庭に課題(貧困や虐待など)がある子どもたちには地獄の40日間となります。さらに今年と昨年の夏は、コロナの感染拡大でステイホームを国が呼びかけていることもあり、子どもが家庭外でエネルギーを発散する機会、家庭外の人が地域の子どもの変化に気がつく機会がほとんどありません(その意味では勇気をもって通告したコンビニの人たちをもっと評価してほしい)。

この3月に行ったこどもソーシャルワークセンターの事業報告会で、センターのボランティアさんたちと安田夏菜さんの児童書『おはなしSDGs貧困をなくそう みんなはアイスをなめている』の主人公である兄と妹が、もしこどもソーシャルワークセンターに来たならどうなったかを実際のセンターでのエピソードをまじえて物語形式で報告しました(こどもソーシャルワークセンターのホームページ「イベント情報」から当日の朗読形式の発表が見られます。また賛助会員や寄付者にはこの脚本が掲載されている報告書が送られます。正直、すごくよく出来ているので多くの人に見て欲しいです)。

今日の報道では「少年と妹は千円の食事代だけで1日を過ごす日があった」とありました。先ほど紹介した児童書も貧困家庭でネグレクトを抱えているヤングケアラーの兄が主人公で、作中でも妹の面倒を見ているのですが、このきょうだいが夕食500円(というかお昼は給食、朝食はなし)で過ごすシーンが描かれます。本のようにうまく伝えられないのですが、子どもが少ない食費で毎日やりくりしないといけないことの息苦しさがこの本を読めばよくわかります。調理が好きだったり得意な方は、一日千円や一食500円もあれば、いろんなごはんが作れると思います。でもその調理や買い物スキルのない子どもたちは近所のコンビニに行くしかないのです。コンビニからの通告があったことを考えると、このきょうだいはそうやって毎日コンビニで買い物をする姿をコンビニ店員が目撃していて気にかけていたから通告出来たのかもしれません。これは地元ならではの話になりますが、事件のあった団地はとても急な坂の上にある団地で車がある家庭にとっては近所の安いスーパーに買い物行くことは苦でないでしょうが、車がない家庭にとってこの暑い中、重い買い物荷物をもって買い物から帰るのは苦行でしかありません。

児童書の中では、妹が切り詰めた食事の買い物中にお菓子が買いたいと駄々をこねるシーンが出てきます。お話ではお兄ちゃんが最終的には妹のわがままにつきあうのですが、もし妹に言うことをきかせようとしたなら、結局は暴力や恐怖で言うことをきかせるしかないはずです。きっと妹は痛くて、怖くて泣くでしょう。するとお兄ちゃんは余計に苛立ちます。「泣くな!」と怒鳴ってさらに強い暴力をふるうしかなくなるわけです。新聞の見出しになっている「連続で何十発も殴った」には、おそらくこのような流れがあるはずです。そしてセンセーショナルな見出しを使うなら、報道側もそのぐらいの解説もきちんとして欲しいと思います。

さて前回の【その2】の投稿では、ソーシャルワーカーとしての3つのアクションを宣言しました。が、あれは中長期なアクションで、とにかく今すぐやらないといけない目の前のアクションについて、この三連休中にこの事件を受けて、こどもソーシャルワークセンターの職員とミーティングをした結果、このような危機的な夏休みの終わりと二学期のはじまりが、統計的にも子ども若者が自死につながりやすいということから、「緊急コロナ対策:一週間限定深夜のアウトリーチ活動」をこどもソーシャルワークセンターとして行うことが決まりました。日中はおそらくいろんな民間団体や公的機関もそれなりに居場所づくりや声かけをしてくれますが、深夜は相談窓口も居場所もありません。そこでこどもソーシャルワークセンターでは、昨年度から週2回取り組んでいる「生きづらさを抱える若者たちによる深夜のアウトリーチ活動」を一番危険な一週間は毎日行うことにします。センターに朝まで職員やボランティアがいるので、必要に応じて緊急宿泊支援も行えることになります。とはいえそのための資金と現状のスタッフでは難しいので、現在クラウドファンディングのサイトとスタッフ募集のサイトを作成中です。近日中に公開することになると思います。ぜひみなさんの力を貸してください。一人ずつになりますが、この苦しい夏休みを過ごしている子どもとつながりましょう!

この連休中も大津市内で起こった事件ということで、心痛めている市民のみなさんがセンターに寄付をもってくるついでに「何か出来なかったか」という思いを話してくれています。同じソーシャルワーカー仲間や子どもの居場所に関わる人たちから今回の件で傷ついているとのDMが来ています。きっとセンターやソーシャルワーカーである幸重に何か期待してくれていると思うので、今回のアクションは、それに応える意味も大きいと思っています。正直、へんなアドレナリンが出ていて、突っ走っているのはわかっていますが、身近な場所の子どもが命を亡くし、子どもが加害者になってしまった以上、やはりソーシャルワーカーとして、何かアクションを起こしていきたいと思います。

★この投稿の元になった産経新聞(8月11日)
「連続で何十発も殴った」逮捕の少年が供述
についてはこの後に追記
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大津市内での小学生死亡事件について その2 [2021年08月08日(Sun)]
★理事長の個人のSNSで発信した記事の内容を転載します。

前回、児童福祉が関わっている事件であったことに衝撃を受けたとコメントしましたが、明らかにこの事件は現在の児童福祉の課題が起こした事件であることが、次々と出てくる報道の情報から明らかになってきました。

おそらく、学校がある間はヤングケアラーであったと思われる加害者となった兄は、急に暮らすことになった妹をギリギリ見ていたのではないでしょうか。しかし夏休みになって妹が学校で過ごしていた時間すべて家庭で過ごす時間となり、しかもそれが毎日長期間となることでの兄のストレスは大変なものだったと想像がつきます。ネグレクトの疑いがあることから、食事だって給食がなくなってまともに食べてなかったかもしれません。コロナがなければ、事件のあった地域では子ども食堂もやっていたし、夏は地域の寺子屋事業もやっていました。夏祭りや学校のプール開放などもあって小学生の子がエネルギーを解放する場はたくさんあったはずです。でもどこも行くところがない中、社会経験の少ない兄が妹に言うことを聞かせるためには暴力しかなく、それがエスカレートしていったことも容易に想像がつきます。

このきょうだいに必要だったことは、児童相談所などの定期訪問での面談だけではなく、妹には放課後や夜の時間、長い夏休みに安全安心で暮らせる場所の提供。兄には妹の世話を忘れて同世代の若者とたわいもない時間を過ごすことだったと思います。そして大津市に中に離れてはいましたが、ケア型の居場所としてこどもソーシャルワークセンターではこの小学生も高校生世代もカバーした二つの機能を提供していましたが、今回のきょうだいとつながることが出来ませんでした。ただただ悔しいです。

しかし悔しがっていても何もはじまりません。ソーシャルワーカーなのだから、やるべくことはアクションを起こすのみです。コロナ感染拡大によって、家で過ごすことを社会から強要される中、家庭が安全安心になっていない子どもたちのために、取り急ぎ3つのアクションを大津市や滋賀県に提言したいと思います。

1 ヤングケアラーの実態調査を滋賀県や大津市で実施すること
 国がヤングケアラーの実態調査をして驚くべく結果が出ました。すぐに対応する自治体、独自の調査をはじめた自治体があるにも関わらず滋賀県や大津市は未だにその動きはありません。今回の兄のように下の子どもの面倒を見ている家庭にとって、夏休みほど地獄の日々はありません。調査結果に基づいて、せめて夏休みのような長期休暇中にヤングケアラーにとってのレスパイトケアにつながる子どもの居場所活動を民間団体(もちろん行政でもOKです)で行っていく必要を訴えます。

2 支援対象児童等見守り強化事業を大津市や滋賀県内に広げる
 今回の事件のように児童福祉の網にかかっていても、出来ることは相談か必要に応じて一時保護するしか現在の児童福祉には支援プランがなく、そこを民間団体の力を借りて見守りを強化出来る「支援対象児童等見守り強化事業」という国の制度(全て国が経費を負担)を使わない手がないにも関わらず、今のところこの夏から大津市でスタートしたもののたったの2カ所(ゆえに今回はその2団体の対象地域の間で事件は起こってしまっています)、また滋賀県全体で見ればこの事業を活用していない自治体がたくさんあります。子どもたちに必要なのはこのような民間団体による直接支援です。大津市内、滋賀県内にこの事業を広げていく必要性を訴えます。

3 深夜の子どもたちを支援する新たなメニューをつくる
 今回の事件で大きく評価したいところに、深夜のコンビニからの通告があります(残念なことにそのチャンスを行政側が生かすこと出来なかったわけですが)。命に関わるしんどい子どもたちのSOSは深夜に起こることは今回の事件や過去の事件からはっきりしています(例えば大津市のいじめ事件も、亡くなる直前に家出して野宿をしていたり、夏休みに家に帰らず友だちの家に泊まったりと深夜にSOSを出していました)。こどもソーシャルワークセンターでも今、重点的に取り組んでいるのがこの深夜の支援です。モデル事業としての成果は出せているので、この深夜の支援を大津市内や滋賀県内に広めていくアクションを起こしていきます。
 賛同するみなさんで一緒に声をあげていきましょう。取り急ぎ、大津市や滋賀県の子どもの居場所づくりに関わる団体から市や県に緊急声明を出したいと思っています。また一年間で一番子ども若者の自死が多くなる夏休み明けを前に、民間でやれる緊急アクションを起こしていきます。力を貸してください。

【お願いと疑問】

報道が増えていくなかで、児童相談所へのパッシングが増えていくことが予想されます(まあ、個人的にも児童相談所の判断については残念に感じることが多く、正直しっかり検証して欲しいと思っていますが)。ただ絶対にやって欲しくないことは、苦情の電話などを児童相談所に入れないでください。結局、電話をとるのは現場のワーカーであり、その対応に追われた時間、他のケースに関わる時間が確実に奪われます。市民の苦情で現場の手を止めないで欲しい。どうしても苦情を入れる必要があればそれは現場の児童相談所ではなく、県や市のトップであるべきと考えます。正直、疑問でしかないのですが、未だに滋賀県知事や大津市長からこの事件についてのコメントが出されないことにがっかりしています。県や市としては同じような事件を起こさないこと、そして今もまだ同じ家庭環境で苦しんでいる子ども若者を県や市は全力で守るために今、出来ることを全力で行うという言葉を県知事と市長から待っているのですが・・・コロナの感染拡大で、家庭が安心安全でない子どもたちは、よりひどい状況に陥ります。企業などへの支援も大事ですが、自分たちで環境を変えることが出来ない子どもたちのことを忘れないでください!

★この投稿の元になった京都新聞(8月7日)
死亡女児の兄「妹の世話がつらかった」暴行認める供述 滋賀・大津
についてはこの後に追記
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大津市内での小学生死亡事件について その1 [2021年08月05日(Thu)]
★理事長の個人のSNSで発信した記事の内容を転載します。

最初のニュースを聞いた時に、あの高さでジャングルジムで落ちて亡くなるって不自然やな。小学1年生の妹と高2(最初のニュースでは17歳の兄という報道だったので)の兄と公園で遊ぶかな? と違和感を感じつつ、大津市内という身近なところで小学生が亡くなったことにそれなりに悲しい気持ちでいましたが、昨日にはこのニュースの内容は変わって「妹に日常的な暴行の容疑で兄(無職)が逮捕」というセンセーショナルな事件になっていました。また母子家庭であったことも報道から見えてきました。さらに衝撃を受けたのは、すでに夏休みに入ってすぐに警察から児童相談所に通告されていた児童福祉が関わっているという事実でした。

まだ報道された情報しか入っていませんが、日常的に妹に暴力をふるっていたとする無職の17歳の兄は、そもそも高校に行ってなかったのか、中退したのか、彼はこれから加害者という大きな十字架を背負うのでしょうけど、そもそも家で弱い立場であった妹に暴力をふるうという行動から、彼自身がおそらく中学時代から抱えていたと考えられる孤立や孤独やストレスを学校をはじめまわりの大人が気がついていたのだろうか? そもそも児童相談所は、7月末に警察から通告があってこのきょうだいに面談をしたのだろうか? いろんな疑問が頭をめぐります。そして亡くなった小学生の妹については学校が気がついていたのだろうか? 3月まで通っていた保育所はどうなのか? そもそも母子家庭でありながら、夏休みに学童保育を利用していなかったのか? そして被害者と加害者の親となってしまった母親。おそらく母親はこの暴力に気がついていた可能性は高いだろうけど、相談することは出来なかったのか?

そしてこの報道がこれからどこへ向かうかはわかりませんが、かわいそうな妹、ひどい兄、母親というところに集約はさせてはいけないと事件です。はっきり言ってしまえば、大津市の子ども若者支援の弱さが顕著に出ている事件と感じるからです。これは以前から何度もあちこちで訴えていますが、大津市は中学校卒業後の若者支援のメニューがほぼないということです。児童館、子ども食堂・寺子屋、無料学習支援など小中学生なら参加の機会はあれど高校生、まして中退した高校生が利用する社会資源が公的には少年センターしかありません。公的な機関が無理なら、民間団体で若者支援を広げるなら、そこを資金面で支援しなければ広がるわけがありません。この数日のつぶやきからわかるように、そのような活動をしようと思えば、結局支援団体自身が寄付を集めなければならない現状です。

続いて、亡くなった小学生の子どものような子がほっと出来る場や早い段階で暴行に気がつくような社会資源があまりにないということです。県の児童相談所はそもそもこのケースでもおそらくそうでしょうけど、なかなか一時保護や本人面談で困りごとを引き出す関係づくりが難しい。見守り支援に終わりがちな市の要対協の支援ですが、大津市にはやっと、先日の議会で昨年度から要望していた「支援対象児童等の見守り強化事業」がはじまり、うち(浜大津エリアで堅田から膳所あたりをカバー)と瀬田のNPOさんが委託を受けることになりましたが、当然それだけでは全く足りていませんし、今回はちょうどうちのNPOと瀬田のNPOの間の空白エリアで起こった事件でした。せめて、瀬田・石山・浜大津・堅田の4カ所に「支援対象児童等の見守り強化事業」の拠点が必要になるはずです。

言えることは決して特別な事件ではなく、この大津市内には同じような状況でこの夏休みを過ごしている子どもたちがたくさんいるということです。亡くなってから悲しむのも犯人さがしをしても、そのような環境にいる子どもたちを救うことは出来ません! まずはそれぞれの持ち場でやれることとして、うちは今こどもソーシャルワークセンターに来ている30人の子どもたちがこのような事件に巻き込まれないように、しっかり活動していくこと(そしてそのために不足している寄付を必死で集めること)。また夏休みの終わりに同じように命を亡くす子ども若者を一人でも減らすための新たなアクションを起こしたいと考えています。一人やひとつの団体で出来ることは限られていますが、ぜひみなさんの力を貸してください。

今日はボランティアたちと様々な家庭や学校での生きづらさを抱える小学生たちを連れて高島でキャンプです。子どもたちには自然の中でいっぱいそのエネルギーを発散して、ボランティアの大人たちにいっぱいの愛情を受けてもらえるように頑張ります!

★この投稿の元になった時事通信社(8月4日)
「6歳妹に暴行、死なす 傷害致死容疑で17歳少年逮捕 滋賀県警」
についてはこの後に追記
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