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大津市内での小学生死亡事件について その4 [2021年08月20日(Fri)]
★理事長の個人のSNSで発信した記事の内容を転載します。

読売新聞から今まで報道各社の取材記事をまとめた総括的な記事が出されました。報道内容によると、その1やその2で危惧していた通りの児童相談所の支援内容であったことにがっかりしました。措置解除され自宅に子どもたちが戻ってから事件が起こるまで児童相談所のワーカーが亡くなった小学生や事件を起こした兄と結局一度も面談をしてなかったということです(3回の家庭訪問と5回の電話連絡はすべて母親との面談のみ)。特に7月21日未明にコンビニから警察に連絡があって警察が自宅に子どもたちを送り届けた段階でも親が不在だったにも関わらず、結局一度も子どもに話を聞いていないということに驚きました。亡くなった妹は夏休みになるまでは、学校での日々の見守りや担任の先生を中心とした声かけが効いていたと思います。しかし夏休みによってその日々の見守りがなくなりました。また高校に行ってなかった兄はまだ17歳でありながら、この4ヶ月間どこにもつながっていないということは、誰も彼のSOSに気がつかなかったということになります。

この件について、多くの人が「家に戻らず施設にいた方が幸せだった」と話しますが、兄については高校に行ってない17歳なので、基本的にはもう児童福祉施設を利用することは難しい状況だったはずです。そして日本ではこの世代をサポートする支援が本当に手薄です(大津市に関していえばほぼ皆無)。そして唯一その兄とつながりがあった児童相談所を責める声も聞こえてきますが、児童相談所のワーカーが一人100ケース近くを担当していることはあまり知られていません。最新の滋賀県のデータでは、昨年度滋賀県で児童虐待の相談対応件数は8201件、そのうち一時保護所に保護したケースは年間でたった188件。つまりこの事件は特別、手薄な対応ではなく(実際に最初の報道で児童相談所からは手続き通りに対応してきたとコメントしています)、今の児童虐待の支援は、今回の事件が起きた家庭のように、月数回の電話や訪問による見守り支援であり、特に今回の事件のように子どもの声をワーカーが聞いていないということは多々あります(というか最近のスクールソーシャルワークや児童相談所界隈では、ケース会議やスクリーニングなどが重視され、子どもと直接出会うケースワークがあまりに軽視されています)。

これから県で検証委員会がたち上がるということですが、おそらく過去の例から検証委員会の再発予防は児童相談所の機能強化という話でまとまり、職員が一人増員されるとかスーパーヴィジョン体制を強化するという結論におさまるような予感がします。もちろんそれも大事ですが、今回事件に巻き込まれた二人の子どもや家庭にとって必要だったのは、直接あたたかさを感じる人とのつながりや居場所ではなかったのかと思います。が、この手の検証委員会による再発予防でそのような提案をされることはあまりありません。そして居場所が増えても、今回の事件もそうですが、地域の民間の居場所は出会うきっかけがなければ身近な地域で苦しんでいる子ども若者がいてもサポート出来ません(実際に今回はうちの居場所にこの子どもたちがつながる機会はありませんでした)。

今回の事件は報道にも書かれていますが、おそらく夏休みに入って一週間たらずで急激に悪化して、誰も最悪の事態に気がつかなかったということでした。今、コロナの感染拡大に伴って、また一斉休校論が議論されはじめました。すでに夏休みの延長を決めた自治体や学校も出てきています。今回の大津の事件から学んで欲しいのですが、その一週間延長や安易な休校によって家庭が苦しい子どもたちがどれだけ絶望に追いやられるのか考えて、せめて休校するならその対策をきちんと講じてからにして欲しいということです(昨年度のコロナによって亡くなった子どもの数と自死で亡くなった子どもの数を考えれば感情論でなく、子どもの命を守るために優先すべき課題としてどちらが上かわかりますよね)。

そしてこの夏休み明けは、昨年以上に苦しい環境で絶望を抱える子どもたちが増える中、こどもソーシャルワークセンターでは、現在の公的支援や他の民間団体の支援が手薄な22時から翌朝6時まで緊急支援として一週間限定でオンラインサロンや緊急宿泊支援など出来る範囲での直接支援を行います。現在そのためのクラウドファンディングもスタートしています。ぜひこどもソーシャルワークセンターのホームページから、この緊急支援やクラウドファンディングなどの内容を確認してください。そしてぜひみなさんの力を貸してください。小さな団体であるので、つながれる子ども若者の数は限られていますが、それでも夏休みのはじめに起こった大津の事件のようなことをこの夏休みの終わりに起こさないためにも、やれることをやっていきます!

京都地域創造基金クラウドファンディング
【コロナ対策】子ども若者たちの自死や事故をなくすための緊急支援


★この投稿の元になった読売新聞(8月20日)
1000円渡し夜も帰らない母親、
17歳少年「妹の世話つらかった」…大津妹暴行死
についてはこの後に追記
大津市の無職少年(17)が小学1年の妹(当時6歳)に暴行して死亡させたとして今月4日に逮捕された事件で、少年が「妹の世話をするのがつらかった」との趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材でわかった。きょうだいは別々の児童養護施設で育ち、4月から母親と3人で暮らし始めたが、母親は家を空けることが多く、滋賀県警は背景にネグレクト(育児放棄)があるとみて捜査。児童相談所はこうした状況を把握しておらず、県が児相の対応を検証する。

 少年は7月下旬〜今月1日、市内の自宅で複数回、妹の腹や背中を殴ったり、蹴ったりし、1日に外傷性ショックで死亡させたとして、県警に傷害致死容疑で逮捕された。

 1日午前、少年が市内の公園近くの民家に駆け込み、「妹がジャングルジムから落ちた」と119番を依頼。搬送先で死亡が確認された妹の全身に約100か所の皮下出血があり、県警は通報は虚偽だったと判断した。

 捜査関係者らによると、きょうだいは母親の養育不安が理由で、大阪と京都の別々の児童養護施設で育った。妹が小学校に入る今年4月、3人で同居を始めた。

 しかし、母親は家を空けることが多く、少年が妹の世話をしていた。母親は、きょうだいに食費1000円を渡し、夜に帰らないこともあったという。

 7月21日未明には、市内のコンビニ店で、きょうだいを見かけた客から110番があった。妹は客に「お金を貸してほしい」と頼んでおり、警察官がきょうだいを自宅に送り届けたが、母親は不在で、事件が発覚した1日も母親は自宅にいなかった。

 少年は容疑を認め、「妹の世話がつらかった」との趣旨の供述をしているという。妹は21日から夏休みで、コンビニ店で保護された際はけがはなかったといい、県警は、日常的な虐待ではなく、少年が21日から8月1日の間に突発的に暴行したとの見方を強めている。

児相、きょうだいと面談せず

 「(少年は)妹の面倒を見てくれる優しい子で……」。きょうだいの母親は、読売新聞の電話取材に言葉少なに話した。妹については「かわいくて……」と声を詰まらせたが、家庭の状況について聞くと「今は何も考えられないんです」とか細い声で何度も繰り返した。

児相は、一家が同居を始めた4月以降、家庭の見守りを続けていた。5〜7月に3回家庭訪問し、母親とも5回電話で連絡を取っていたが、きょうだいとは一度も面談していなかった。

 母親は「兄が妹の面倒を見てくれる」と話し、子育ての悩みについての相談はあったが、「子どもに向き合っている」と判断していたという。

 きょうだいがコンビニ店で警察官に保護された際、県警は「ネグレクトの疑いがある」と児相に連絡していた。しかし、児相は母親に電話するだけで、きょうだいに会いに行くことはなく、母親と8月4日に面談する約束をしていたという。

 県児相の村田隆次長は「年齢が離れた兄が一緒で、緊急性が高いと判断しなかった」と釈明。「結果的に、判断が適切だったとは言い切れない」と話した。

 元児相所長の奥田晃久・明星大特任教授(児童福祉)は「別々に育った妹を世話することは大きな環境変化で、少年は葛藤を抱えていたと予想される。養育に課題を抱えた家庭だったのであれば、児相は、同居後も子どもに面談して事情を聞く必要があった。家庭の状況を丁寧に把握していれば、事件を防げた可能性がある」と指摘した。

 県は近く、外部有識者で作る児童虐待事例検証部会で、児相の対応を検証する。
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