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第2回CSRプラス大賞ノミネート企業一覧 [2008年09月10日(Wed)]

第2回CSRプラス大賞
ノミネート企業一覧


みんなで優れた企業を応援しよう!!

企業が社会と共にあろうとし、その責任を果たそうとする取り組みを「CSR」と呼んでいます。
この「CSR」は、各企業が難しい取り組みをすることではありません。
社会のため、お客様のため、そして働く従業員のために企業が何ができるのかを考え、行動するものです。
したがって、CSRに積極的な企業が世の中に増えることは、社会が今よりも住みやすい社会になっていくことにつながる重要な要素なのです。
この投票は、そのような良心ある企業を市民の皆さんと一緒に応援し、すぐれた企業として表彰するための一票を投票していただくものです。
ぜひ、「この取り組みを応援したい!」と思った企業にあなたの応援の一票をよろしくお願いいたします。





ノミネート企業のすべての取り組みレポートをダウンロードすることができます。



投票はこちらから投票画面にお入りください。

WEB投票は9月26日をもって終了しました。

ノミネート企業20社の選定方法について知りたい方は、こちらをご覧ください。




抽選で豪華賞品が当たります!。

■賞品、当選人数
JCBギフトカード(1万円分): 3名様
JCBギフトカード(千円分): 30名様
日本財団わくわくグッズセット: 50名様

■期間
2008年9月16日(火)9:00 〜2008年9月26日(金)23:59まで

■応募方法
パソコンからの応募となります。
画面下のボタンをクリックして投票画面に進み、画面に沿って投票する企業を選んで、必要な情報を入力することで応募が完了します。

■抽選
投票締切り後、厳正な抽選の上、当選者を決定します。
当選者にはメールでご本人の郵便番号、ご住所、電話番号などを確認後、賞品を発送させていただきます(当選通知から1週間以内に返信のない場合は、当選は無効となります)。
当選者の発表は当選者への連絡と商品の発送をもってかえさせていただきます。

■注意事項
・ご応募は、お1人様1回とさせていただきます。2回以上のご投票は無効とさせていただきます。
・賞品をお選びいただくことはできません。
・当選者にはメールでご案内いたしますので、メールアドレスをお間違いのないようご記入ください。
・当選通知メール後、1週間以上ご連絡がない場合は、当選権利が無効となりますのでご了承ください。
・賞品の送付先のご住所は、日本国内に限らせていただきます。
・ご当選者の権利は他の人への譲渡・換金はできません。
・当サイトに使用されている写真はイメージです。実際の商品は色、細部において写真と異なる場合があります。

■お問い合わせ
本投票に関するご意見、ご感想、ご質問等はこちらからお願いします。
※当選・落選に関する質問や電話でのお問い合わせは受け付けておりませんので、ご了承ください。




■ノミネート企業2 [2008年08月12日(Tue)]

日産自動車株式会社


CSRを軸とした事業活動を行い、「社会とともに成長し、信頼される続ける企業」を目指しています。


当社は「人々の生活を豊かに」することをビジョンに掲げ、独自性に溢れた革新的な商品やサービスを創造し、多くの価値を世界中の皆さまに提供していきたいと考えています。同時に世界中のあらゆる事業活動を通じて社会のさらなる発展に貢献することを目指しています。そのためには「当社」と「社会」の方向性をつねに一致させた経営を行うことが重要であり、CSRの概念を経営に取り込み「当社と社会のバランス」を追求しています。



社会の声に耳を傾け、信頼され続ける企業に


すべての活動をCSR視点で

 この企業では「人々の生活を豊かに」することをビジョンに掲げ、自動車の製造を中心としたあらゆる事業活動を通じて、社会の発展に貢献することを目指している。また、CSRを企業経営に必要なマネジメント・ツールだと考え、事業活動に浸透させている。

 具体的には、社会からの多様なニーズや要請をCSR視点で捉え、事業活動に反映させるというもの。CSRというフィルターを通したニーズや要請を各部門に浸透させることで、社員一人ひとりが高いCSR意識を持って仕事に取り組むことにつながっている。


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それぞれの国で、それぞれの社会貢献を

 日本、北米、欧州、アフリカなど世界のあらゆる地域で事業活動を行うこの企業は、社会貢献に対する考え方もグローバルだ。日本本社が主体となってグローバルレベルに取り組む活動と、各国・地域のグループ企業が文化的背景の違いを踏まえながら、自動車会社としてその地域の実情やニーズに合わせて独自に取り組む活動の両面で社会貢献を推進している。

 この企業では持続可能な社会の実現のために、「教育への支援」「環境への配慮」「人道支援」の3つの社会貢献活動を重点分野に設定。

 「教育への支援」の一環として、日本では1984年から毎年、アマチュア作家を対象とした創作童話と絵本のコンテストを開催しており、大賞に選ばれた作品は出版し、全国の公立図書館や事業所近隣の幼稚園などに寄贈している。
 こうすることで、アマチュア作家に活躍の機会を提供すると同時に、子どもたちに夢や創造性あふれる童話や絵本を届けている。

 また南アフリカ共和国では、同社の看板をリサイクルしたビニール材でつくった通学用カバンを提供する「アドバッグ」キャンペーンを展開。地球環境の持続性や人道的支援を目的としたこのキャンペーンは、南アフリカ共和国のグループ企業が独自に企画した。
 バッグの製造も心身に障がいを抱える人々に委託するなど、徹底して社会貢献にこだわっている。
 完成したカバンは農村地域の小学校に配布され、それまでポリ袋に教科書を入れて持ち歩いていた子どもたちにとても喜ばれている。



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人材の多様性を強みに

 この企業は1999年にフランスの自動車製造会社と資本提携して以降、女性社員の登用や国際的な人材交流などを積極的に推進しながら、社員のダイバーシティ(多様性)を企業の強みに変えている。

 従来日本では女性の能力活用がなかなか進んでいなかったが、この企業は2004年度から本格的な取り組みを始め、女性管理職比率の目標も設定。経営の中でダイバーシティの重要性を位置付けたことも奏功して、目標を達成することに成功した。

 また、フランスの提携会社との間で「エンジニア交流プログラム」を実施。日本とフランスの若手エンジニアがペアを組んで、自動車を製造する際に発生する様々な技術課題にチャレンジしている。

 また、従来から日本、北米、欧州、アジアなど各拠点の社員が部署異動や出向などによる海外赴任も行うなど、日常的に国際レベルでの人材交流を推進している。


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本業と社会貢献の両輪で環境活動

 この企業は、中期的な環境行動計画となる「グリーンプログラム2010」を2006年に策定。「CO2排出量の削減」「排出ガスの浄化」「資源循環」の3つの重要課題について、商品、工場、オフィス、販売会社、物流などそれぞれの現場で設定した目標を2010年までに達成できるよう、試行錯誤を通じた取り組みが行われている。

 商品を通じた環境貢献にも積極的だ。
 ガソリンの消費によるCO2排出問題が取り沙汰される中、リチウムイオンバッテリーを搭載した電気自動車を2010年度に販売するという目標を設定し、開発に取り組んでいる。

 また、同社が提供しているカーナビゲーション・サービスでは、会員になると自分がどのくらいガソリン消費の少ないエコロジーな運転をしているかがわかる仕組みになっている。他の会員とCO2の排出量を競うことも可能で、原油高の中、エコドライブの重要性を再認識する機会を提供している。



 社会貢献活動を通じた環境活動も盛ん。
 この企業では全社的に資源分別排出基準を策定し、詳細なゴミ分別活動を実施しているが、2007年度からペットボトルのキャップ専用ボックスを設置し、回収を行っている。

 ペットボトルのキャップは質の高いポリプロピレン(※1)でつくられており、自動車の部品に再利用可能。集められたキャップはリサイクル業者によって回収され自動車の部品会社へと渡り、新しい部品に生まれ変わってこの企業が製造する自動車に組み込まれて行く。
 こうした活動は社員の環境意識を高めることにも大きな役割を果たしている。



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徹底した情報開示で社会と対話する

 多くの企業が発行するCSRレポートや環境報告書には、冊子の発行タイミングと合わないために掲載できない情報も少なからずある。

 そこでこの企業では、最新の商品や企業ニュース以外に、「品質」「環境」「社会貢献」などの各部門で独自のウェブサイトを立ち上げ、環境やCSRに関わる情報を随時アップデートしながら、社会に発信できる仕組みを整えている。

 また、社内のイントラネット(※2)上にCSR専用のサイトを開設。CSR視点で捉えた社内外のニュースを発信したり、CSRの用語集や社会から企業に何が求められているかといった視点でまとめたトピックスなどを紹介し、社員のCSRマインドを高めている。

 CSR活動の進捗管理を行うための「CSRスコアカード」も作成し、その年度の目標だけでなく翌年度や中長期視点での目標も設定している。そして目標に対する達成度も含めたすべての情報を開示するなど、徹底したCSR情報の開示で社会との対話を図っている。



有限会社パワーボールからのコメント

 「日々の企業活動こそCSR活動」という意識が徹底している企業だ。CSRのために何か特別な活動をするのではなく、社会と自社の持続的な発展に必要な活動を地道に続けることが、自然とCSRにつながっている印象を受けた。その一方で、環境問題に対する関心の高まりを受けて、2007年度からサステナビリティレポートの冊子印刷を廃止。インターネット上で電子データ(PDF)をダウンロードする形に変更するなど、常に社会のニーズや要請を汲み取りながら活動を進化させてもいる。社会との対話を図りながら、必要な活動に粛々と取り組む姿に、CSR活動の原型を見た気がした。



(※1)プロピレンガスを原料に製造されるプラスチック製品の一種。
(※2)インターネットの技術を用いて構築された企業内のコンピューターネットワーク。



■ノミネート企業16 [2008年08月12日(Tue)]

株式会社日立情報システムズ


「On your side」の精神に則り、ITサービスを通じて豊かな社会づくりに貢献


当社はITサービスを通じて、社会の役に立ち、さまざまな相手に喜びを提供する企業をめざしています。その一環で、データセンタの省エネルギー化を進める「環境データセンタ構想」など、地球環境の負荷低減にも力を注いでいます。一方で、小学校でのIT教育や、視覚に障がいのある従業員への盲導犬導入などの社会貢献活動を展開しています。今後も、スローガンである「On your side」を追求し、豊かな社会の実現に向け企業運営を行います。



本業であるITサービスの提供を通じて社会に貢献


社会の発展を支えてきた責任と自負こそ、CSRの原点

 情報を扱うこの企業では、1959年の創業以来、金融業、製造業、サービス業などの民間企業から自治体・官公庁まで、幅広い業種でさまざまな業務のIT化に携わりながら、社会の発展を支えてきた。

 IT化に伴い「お客様の貴重な情報を預かる」という責任から、情報の紛失や流出など日常の不注意が原因で起こりうる事故やリスクを排除するために、1987年より全社で整理、整頓、清掃、清潔の「4S活動」を開始。不要書類などの廃棄処理にも細心の注意を払ってきた。
 当初は社内における安全・衛生面の改善を目的としていたが、その後、防火・防災や地球環境保護といった社会課題の解決にもつながるという認識に発展し、1990年以降はこれら全ての課題を総合的に解決するための「総合運動」として、全社で展開されている。
 月に一度の「職場クリーンデー」や職場の定期巡視といった具体的な取り組みを通じて、この企業では情報セキュリティ管理のみならず環境保護や防災、安全衛生などに対する意識も全従業員に浸透している。

 創業当初から社会の発展を支えてきた、ITサービスを軸とする事業活動。その社会的責任と自負こそ、この企業のCSRの原点だと言える。


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コーポレートスローガン「On your side」

 この企業が培ってきたCSRの精神は、2007年4月に掲げられたコーポレートスローガン「On your side」にも表れている。「相手の立場に立って考え、積極的に行動する」という企業姿勢は、本業であるITサービスを通じて社会の人々がよりよい関係でつながり、それが豊かな社会の実現につながることを目指したものだ。

 一般的にITでは効率化こそが最優先課題だと考えられている。
 しかしこの企業では「On your side」の精神に則って、効率化の先にある市民の幸せ、そして豊かな社会の実現を目指す。地方自治体と連携を図り、自治体や市町村役場での各種手続きを簡便化するための情報システムを構築するなど、これまでにも市民や消費者の立場に立った事業を数多く手がけてきた。


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小学校で情報セキュリティの授業を開始

 この一環で、地域社会との共生を目的に昨年から始まったのが、奈良県の公立小学校におけるIT教育だ。

 小学生でもコンピューターを自在に使いこなす現代だからこそ、インターネットの安全な使い方や個人情報を守る方法を知っておく必要がある。授業は教育用に開発したキャラクターを活用したり、ゲームを通じて暗号化を説明するなど工夫を凝らすことで、児童たちは情報セキュリティの仕組みを楽しんで理解することができた。

 この活動は、小学校を管轄する自治体からこの企業の関西支社への依頼がきっかけとなって実現した。子どもを有害サイトなどから守り、情報セキュリティの意識を芽生えさせることができるとして大変喜ばれ、活動の継続が決定している。今後は各地のNPO法人と連携しながら、この企業ならではのIT教育を全国に横展開していく予定だ。




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盲導犬を受け入れ、
障がい者も安心して働ける環境を整える


 また、視覚に障がいのある従業員が安心して通勤し、働く環境を整えるため、2007年12月、本社に盲導犬を導入した。
 初めての取り組みだったが、環境・衛生面の不安、待機場所、餌やトイレの世話などの懸案を社内で話し合いながら一つずつ解決。頼もしいパートナーを得た当事者の従業員は、以前にも増して意欲的に業務に取り組んでいる。









 盲導犬の導入をきっかけに、日本盲導犬協会の協力を得て従業員への説明会も開催した。従業員と家族約30名が参加し、目隠しをして白杖を使ったり、盲導犬と歩くなどの体験を通じて、視覚障がいや盲導犬に対する理解を深めることができた。



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従業員の社会貢献活動を応援する「Let’s Try 探検隊」

 CSR活動を実践するうえで、従業員一人ひとりの社会参加意識の向上は欠かせない。そこで社内報「next」では、従業員参加型のボランティア企画「Let’s Try 探検隊」というページを設け、毎号さまざまな社会貢献活動を取り上げながら従業員による体験レポートを紹介している。

 中でも知的障がい児・者を中心としたサッカークラブを運営するNPO法人「トラッソス」とは、2006年6月に最初のサッカー交流を行って以来、自主的な交流が広がっている。

「一緒にボールを追いかけるうちに健常者と障がい者という境がなくなり、サッカーを純粋に楽しむ仲間と思った」
「“何かをしてあげる”どころか終始サポートしてもらい、心からサッカー交流を楽しめた」

といった感想も寄せられ、社会参加の意義に気づいた従業員も多い。


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全国ネットワークで地域社会との連携に取り組む

 関西の事業所が窓口となって奈良県の小学校でのIT教育が実現したように、この企業では全国の事業所を通じて、地域に密着したきめ細やかなCSR活動を実現している。「企業は社会の一員である」という認識のもと、昨年度は約700名の従業員と家族が参加し、地域住民と一緒に清掃活動を行った。

 今後もこの企業が持つ全国ネットワークを活かし、各地のステークホルダー(※1)と密接なコミュニケーションを取りながら、豊かな地域社会を目指した社会貢献活動を積極的に展開する予定だ。

 こうした全社的なCSR活動は、その成果や課題がCSR報告書やホームページでも随時公開されている。



有限会社パワーボールからのコメント

 「情報を扱う」という本業を揺るぎない軸として、CSRを展開している企業だ。
 「お客様から貴重な情報を預かる」という責任から、情報セキュリティの確保を大前提として危機管理に取り組んできた。まずは整理整頓、ゴミの分別など、従業員の身の回りのことから。
 そして企業としては、業界に先駆けてプライバシーマーク(※2)やISO14001(※3)を取得するなど、情報を扱う業務に必要な取り組みが自然とCSRに結びついていると感じた。
 環境保護活動についても企業の社会的責任の柱であるとして、ITサービス事業とCSRの両面から熱心に取り組んでいる。


(※1)企業、行政、NPOなどの組織の行動に直接・間接的な利害関係を有する者。
(※2)個人情報の取り扱いについて、一定の基準を満たした組織に与えられるマーク。
(※3)環境に配慮した活動をしていると認められた組織に与えられる国際認証規格。

■ノミネート企業19 [2008年08月12日(Tue)]

四国電力株式会社


地域に根ざすエネルギー企業として、皆さまの「しあわせのチカラ」になれるよう、様々な活動に取り組んでいます。



地域に根ざすエネルギー企業として、「電気の安全で安定した供給」を通じて、皆さまの快適・安全・安心な暮らしや豊かな文化・高度な生産の実現をサポートし、地域社会の発展に貢献できるよう努めています。また、皆さまから信頼され続けるために、誠実に法令遵守や情報公開の徹底等に努めることはもとより、環境保全や地域共生など様々な活動を推進し、「地域と共に生き、共に歩み、共に栄える」という企業理念の実現に全力を尽くしています。



地域と共に生き、共に歩み、共に栄える


安全で安定したエネルギー供給が社会的使命

 地域に根ざすエネルギー企業として、エネルギーの安全かつ安定した供給を通じ、地域社会の発展に貢献することは社会的使命だ。電気を提供するこの企業でも、1951年の創業時から電気の安全・安定供給を事業活動の根幹として、住民の快適・安全・安心な暮らしや豊かな文化、工場や農地などにおける高度な生産の実現をサポートし、地域社会の発展に尽くしてきた。

 電気を供給するために、発電所や送電線、変電所など多くの設備を作り、地域ではビルや家庭などに向けて電線を張り巡らす。それらの電線を支える電柱1本立てるのにも、住民や自治体など地域の理解・協力が欠かせない。
 実際、設計の内容を丁寧に説明し、意見を聞き、理解してもらい、ようやく設備を作ることができる。このような地道な取り組みを一つひとつ積み重ねながら、地域の信頼を得てきた。

 発電ではCO2などの排出物がどうしても発生する。それらが環境へ及ぼす影響を可能な限り少なくするための目標設定や実行といった努力は日頃から徹底され、従業員も高い環境意識を持って仕事に臨んでいる。

 地域貢献や環境保全などに早くから取り組み、社会的責任を果たしてきたこの企業は、その活動を一層強化するため、2006年に「CSR推進会議」を設置し、行動憲章を作った。

 さらに、重要課題として、「電力の安定供給の遂行」「コンプライアンス(※1)の推進」「環境保全活動の推進」「開かれた経営の実践」「お客様志向の徹底」「従業員活力の維持・向上」「地域共生活動の推進」という7つの柱を掲げ、従業員一人ひとりが自覚を持ってCSRに取り組んでいる。


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「古民家再生プロジェクト」で地域活性化に貢献

 事業管轄内には伝統的な古民家が数多く残る地域があるが、過疎化により建物の荒廃が進んでいる。こうした古民家を電化リフォームして快適な住環境に変え、伝統文化を後世に伝えようという思いから、2006年に「古民家再生プロジェクト」がスタートした。

 2007年8月には、築140年を超える古民家を改装した体験型モデル住宅をオープン。すでに8000人以上の見学者が訪れ、古民家の素晴らしさと電化住宅の快適さのマッチングに感動する人も多いという。
 また、古民家をリフォームしてIターンをしたという実例もあり、地域の定住人口の向上にも貢献している。

 これまでの古民家リフォームは100軒以上、協賛する工務店も120社を超えた。観光客も増え、自治体トップからは「今後もプロジェクトを進め、地域活性化につなげてほしい」といった感謝の言葉が寄せられている。



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地域の学生や住民とともに「森づくり活動」

 森の再生を進める自治体と2006年に締結した「森の力パートナー協定」。5年の協定期間中、約102ヘクタールの協定林で森林整備体験学習が行われている。

 2007年10月には2つの支店から160名以上の従業員や家族が参加し、地元の中学生たちと一緒にのこぎりやなたを使って混交林(※2)の間伐を体験した。

 「初めて大きな木を切った」「作業の後、森の中に光が差し込むのを見て森林整備の重要性を再認識した」などの感想が寄せられ、現場では他支店の従業員、地元の中学生、林業家、住民との間に交流が生まれた。

 2008年には別の自治体とも協働して森林整備を始めた。支店単位でのこうした環境活動への取り組みは社内でも話題となり、参加希望者は増える一方だ。



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次世代に向けたエネルギー教育を実施

 理科離れが進むなか、子どもたちにエネルギーや環境への関心を持ってほしいという願いから、この企業では2002年より学校への「出前エネルギー授業」を展開している。
 2007年度には約680回の授業が行われ、2万5000人の生徒が受講した。備長炭などの身近な素材を使った電池づくりや圧力鍋で蒸気タービンの仕組みを伝えるなど、楽しみながらエネルギーについて学べるよう、先生役の従業員は工夫を重ねている。

 受講した生徒による「成果発表会」も開催された。
 家庭での省資源・省エネの実践が報告されるなど、生徒の理解と意欲を目の当たりにして、この授業の成果と社会的役割を実感したという。



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原子力エネルギーだからこそ、透明性の高い情報公開

 地球温暖化問題に積極的に取り組むこの企業では、発電時にCO2を排出しない原子力発電の安全・安定運転のために、社会から寄せられる安全性への疑問や不安を解消すべく、迅速かつ透明性の高い情報公開を徹底している。

 きっかけは、1999年に非常用ディーゼル発電機のトラブルが発生した際に通報が遅れ、厳しい批判を受けた経験から。
 それ以降、地元自治体との安全協定を「正常状態以外のすべての事象を直ちに通報・連絡する」と改定した。極端な例を挙げれば「発電所で働いている人が転んでけがをして病院へ行った」といったこともすべて通報される体制だ。

 こうした「どんな些細なことでもお知らせしていく」という姿勢により、住民は不安を解消することができ、企業への信頼も厚くなっている。


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風通しのいい職場へ 〜社長による全事業所訪問〜

 2007年4月から8ヶ月間にわたり、社長自らが65ヶ所の全事業所を訪問し、従業員と懇談した。従業員が安全第一に活き活きと仕事ができるのは、自由闊達に議論ができる、風通しの良い職場があればこそ。そうした職場作りが不正や隠ぺいを予防すると考える。

 懇談の場で従業員は、普段なかなか会う機会のない社長から直接話を聞き、質問をし、日々の業務の苦労話を紹介するなど自由な話し合いが行われ、社長も各現場の理解を深めることができた。
 こうした活動により経営と現場との距離が縮まり、全社的な一体感が更に向上した。



有限会社パワーボールからのコメント

 電気がなかったら?と考えた途端に、こうしたエネルギー供給企業の重要性を改めて実感する。人々の生活の黒子役に徹するこの企業は、常に「市民の快適な暮らしを」と考えて活動しており、その社会的役割は大きい。原子力発電で特に必要とされる透明性の高い情報公開の姿勢は、社外に対してはもちろん、社長の訪問活動をはじめとする社内での考え方にも表れていると感じた。燃料を使い、CO2等を排出するエネルギー企業として、事業活動に並んで環境配慮も徹底している。



(※1)法律や規則などの基本的なルールに従って活動を行うこと。
(※2)2種類以上の木で成り立っている森林。


■ノミネート企業18 [2008年08月12日(Tue)]

株式会社 損害保険ジャパン


「木を植える『人』を育てる。」をキーワードに、CSR推進の原動力となる全国の社員の人づくりに注力する。


私たちのCSRには、損害保険事業という本業の強みを社会的課題の解決に生かすために、社員一人ひとりが自ら考え、行動してステークホルダーの期待に応えていくプロセスが欠かせません。今後も、環境問題の解決に貢献する保険・金融・リスクマネジメントサービスの提供、全国各地で地域との協働による社員のボランティア活動、環境教育を軸としたNPOや市民とのネットワーク強化等に力を入れ、先駆的なCSRにチャレンジし続けていきます。



木を植える「人」を育てるCSR


常に半歩先を行くCSRを追求

 創業1888年。日本最古の火災保険会社としてスタートしたこの企業は、国から正式認可された唯一の私設消防組としても活躍した。創業時に培われた「お客さま第一」の精神は、現在に至るまで脈々と受け継がれている。

 この企業のCSRの取り組みは、1990年に国内金融機関初となる地球環境リスク・マネジメント室を設置したことに始まる。1993年からは「市民のための環境公開講座」をスタートし、「人」を育てるという同社のCSRの原点となった。
 1997年にも国内金融機関初のISO14001(※1)を取得。常に半歩先を行くCSRを追求してきた。

 2002年の合併を機に、ステークホルダー(※2)・ミーティングを開始し、「人間尊重」などを含むCSRの取り組みを本格化。2003年にはCSR・環境推進室に組織変更。更なるCSRの深化に取り組んでいる。


「市民のための環境公開講座」15周年記念シンポジウム(2007年12月 本社会議室)


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保険商品で環境問題に取り組む

 この企業では、社内の省エネ活動や社員のボランティア活動、NPOとの協働などの活動に加え、損害保険会社だからこそ提供できる商品・サービスを開発することで、本業を通じた環境問題への取り組みにも力を入れている。

 例えば、太陽光発電システムを購入する消費者に対して異常気象で日照時間が少ない場合に補償金を支払う「天候デリバティブ」を提供し、太陽光発電の導入を促進している。
 今後は天候デリバティブの仕組みを使って、気候変動への適応策として発展途上国の農業を支援する保険機能も提供していく。
 これは干ばつなどの異常気象による農業被害から地域の農家を守るために、雨量が一定の基準を下回った場合に補償金を支払うもの。今秋からタイでパイロット・プロジェクトを開始する予定だ。

 また、環境に特に配慮した事業活動を行う企業に積極的に投資するエコファンド(投資信託)を1999年から提供。主力ファンドの純資産残高は約200億円(2008年7月末現在)、運用実績も好調に推移。現在は新たなエコファンドの開発も行っている。


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社長の「鶴の一声」で終わらないために

 理解ある社長の決断でゴーサインが出たのに、その社長が退陣したために、CSR活動がしりすぼみになってしまった……。そんな事態を防ぐために、この企業では「人」づくりを意識し、「環境方針」の中でも全員参加、地道・継続、自主性を盛り込み、実行している。

 1993年には全社員がメンバーになるボランティア組織「ちきゅうくらぶ」を設立し、全国の社員がそれぞれの地域に根ざしたボランティア活動を続けている。
 2007年度は、大阪ぶなの森の保全活動や障がい者向けのパソコン教室の開催など、全国各地で294件の多種多様な活動が実施された。


大阪ぶなの森守ろう運動


 また、毎月100円以上の希望額を「ちきゅうくらぶ」メンバーの給与から天引きして、ボランティア活動やNPO支援に役立てる「社会貢献ファンド」を2000年に開始。社員が自主企画したボランティア活動の支援やNPO団体への寄付などに使われている。
 2007年度は5,807名の社員が参加し、1,500万円以上の資金が集まった。この資金の使いみちも社員有志で構成する委員会で決定されるという徹底振りだ。

 さらに、多くの企業がCSRレポートの制作を外注する中、この企業ではすべての原稿を社員の手で執筆している。プロが書く文章に比べると、手づくりのゴツゴツした感じはあるが、各部門の社員110名以上が制作プロセスに関わることでCSRマインド醸成や社内浸透の面で効果があると考えている。
 完成したCSRレポートはグループ全社員に配布され、職場ごとの勉強会も実施されている。


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変わり始めた社員の意識

 この企業では、数年前に初めて障がい者雇用率をCSRレポートに掲載しようとした際、法定基準を達成していない状況の中で本当に掲載すべきかどうか、社内で大きな議論になった。

 「法定雇用率を達成したら情報を出してもよいのでは」という担当部門と、「良いことだけ載せるためのレポートではない」というCSR部門が1ヶ月にわたり議論し、情報開示にこぎつけた。

 また、2006年に保険金の一部支払い漏れによる行政処分を受けた際も、その内容をCSRレポートにどう書くかが議論になったが、経営企画部が詳細な情報をすべて開示することを申し出た。
 これはその年のCSRレポートに反映された。CSRレポートの制作プロセスを通じてできるたけ多くの部門を巻き込んで様々なCSRの課題について対話を続けることによって、社員の意識は確実に変化している。


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CSR成功の鍵はステークホルダーの上手な巻き込み

 この企業ではCSRレポート以外にも、ホームページ上にCSRの専用サイトを開設して市民からの質問に答えたり企業側からテーマを出して議論を活性化させたりしており、多様なコミュニケーション機会を通じて市民との対話を図っている。

 また、環境分野での人材育成を目的とした財団を設立し、環境NPOに大学生・大学院生をインターンとして派遣するプログラムを実施。
 8ヶ月間に及ぶインターン期間中、学生たちにはこの企業から時給800円の奨学金が支給されるが、これには上述の社員による「社会貢献ファンド」が活用されている。

 学生たちは、長期間の活動を通じてNPOを深く理解することができる。NPO側は単に労働力が増えるだけでなく、活動に対する理解者が増えることにもなり、双方にとって効果の高いプログラムになっている。


インターンの学生たち


 この企業ではモットーとする「木を植える『人』を育てる」の言葉どおり、持続可能な社会のために自ら考え行動する社員づくりを続けるとともに、市民、NPO、行政などあらゆるステークホルダーを巻き込んで、今後もCSRを経営に浸透させる取り組みを深めていく。



有限会社パワーボールからのコメント

 「守り」ではなく「攻め」のCSRを実践している。常に半歩先のCSRを追及する姿からは、そんな印象を受けた。また、損害保険という目に見えにくい商品・サービスを提供している企業だからこそ、CSRにおいては常に目に見える活動を心がけているとも感じた。地球環境や社会を良くも悪くも変える力を持つのは「人」。そこに着目し、本業と社会貢献の両側面から「人」の意識に変化をもたらすことで、よりよい社会を一緒に築こうとする姿勢は特徴的だ。



(※1)環境に配慮した活動をしていると認められた組織に与えられる国際認証規格。
(※2)企業、行政、NPOなどの組織の行動に直接・間接的な利害関係を有する者。
(※3)法律や規則などの基本的なルールに従って活動を行うこと。

■ノミネート企業4 [2008年08月12日(Tue)]

大和ハウス工業株式会社


私たちは『あ・す・ふ・か・け・つ』をキーワードとし、社会の要請にこたえる製品・サービスの提供に努めています。


 私たちは『あ・す・ふ・か・け・つ』、つなわち「安全・安心」「スピード」「福祉」「環境」「健康」「通信」に対し事業を通じたCSRを推進しています。
 「安全・安心」の領域では、地震大国・日本の実情に目を向け住宅事業を手掛ける企業として、地震に強い住まいの普及に努めるとともに、戦後最大の被害をもたらした阪神淡路大震災では15,000戸の仮設住宅を建設するなど大規模災害の復興活動にも尽力しています。



小さな取り組みを大切に積み重ねる大和ハウス工業のCSR


事業を通じて社会からの要請にこたえる “あ・す・ふ・か・け・つ”

 “明日不可欠(あすふかけつ)”は、住まいづくり、街づくり、暮らしづくりに必要な技術・サービスを提供する大和ハウス工業の事業に対する姿勢や方向性を示すキーワードだ。

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「あ」安全・安心…災害から生命や建物を守り、安心して暮らせる住まいや街を実現すること
「す」スピード・ストック…ストックされている建物をリフォーム、資産を守り続けること
「ふ」福祉…医療・介護施設の建設や事業をサポート、高齢社会の要請にこたえること
「か」環境…省エネルギーなど環境負荷低減に技術・新商品で応えること
「け」健康…健康に配慮した商品を開発・提供すること
「つ」通信…便利・快適・安全な暮らしを支える情報通信技術を使った商品を提供すること

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 CSR推進室長の松本明さんは、
「CSRと言われているのは、社会的な課題にいかに企業がタッチしていくのか?ということです。」
と話す。
 社会からの要請そのものである“あすふかけつ”に事業を挙げて応えていくことは、大和ハウス工業のCSRの屋台骨といえるだろう。



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事業所からCSRの取り組みを育てる仕組み

 CSR推進室では、本社やグループ全体として取り組むCSRだけではなく、事業所や地区単位で取り組みが進むような丁寧な仕組みづくりを行っている。その一つが、CSR推進委員や社会貢献推進委員の選任だ。

 CSR推進委員や社会貢献推進委員は全国すべての事業所で選任され、CSRの取り組みのキーパーソンとなる。事業所の中にCSR委員会を立ち上げたり、「本社ではなく、事業所で出来ることは何か?」を事業所単位で考え、計画を立てて実行し、半年ごとに自己評価も行っている。

 この仕組みが動き出すと、近隣の事業所であっても互いの取り組みを知らないことがわかり、年に数回、地区単位で会議を開き、情報の共有を図るようになった。
 地域の催事の時の事業所駐車場の開放やボランティア参加、古切手やプルタブの収集、地元NPOとの環境保全活動など、ささやかであっても地域に根差した活動が確実に広がってきている。

 事業所や地区単位での取り組みが、全社での取り組みとして広がっていったのが常備薬の寄付制度だ。


集められた常備薬(左)と鹿児島工場の有志(右)
 

 鹿児島工場では、健康保険組合から社員にポイント交換制度で支給される常備薬のうち、使用する予定のない薬を集めて地域に寄付を行っていた。この情報は、全国規模に展開されることになり、2007年からは健康保険組合と連携して、社員の誰もが、常備薬と交換しなかったポイントを金額に換算して寄付できる仕組みへと発展している。


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「住まい」を通じて社会課題を伝える教育支援

 事業所や地区単位での地域社会への働きかけは、「住まい」を通じた教育支援でも実践されている。小中学校への出張授業(特定非営利活動法人JAEとの協働)は、「住まい」の専門家だからこそできる教育支援だ。

 出張授業では「一番大切な人に捧げる、世界でたった一つの家を作ろう」「住まいのユニバーサルデザイン」「快適な住まいづくり〜風通しを考えよう」などのテーマが子どもたちに与えられる。
 各事業所から専門家として学校を訪問する社員は、健康、高齢者、省エネルギー、ライフスタイルの変化などの「住まい」にまつわる課題を子どもたちに伝える。

 次世代を担う子どもたちに、事業を通して社会課題を伝えていくことは、ハウスメーカーとしての大きな役割と考えている。


出張授業の風景


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世界に届け!社員ひとりひとりの思い

 社員ひとりひとりが自分の意志で参画できるCSRの取り組みも用意されている。

 例えば、カンボジアで作られるTシャツの購入の社員への呼びかけがある。1000円ほどのTシャツの代金のうちの一定額は、カンボジア井戸掘りの費用に充てられるという。

 また、(社)シャンティ国際ボランティア会が行っている「絵本を届ける運動」にも、社員が参加できるようになっている。カンボジア、ラオス、タイなどの絵本出版されない国々の子どもたちのために、一般流通している絵本に母国語シールを貼っていく活動だ。
 年末年始、夏季休暇に合わせて準備した140冊の絵本は、参加希望者が多く、あっという間に足りなくなってしまった。

 これらの取り組みは、社員と世界的な社会課題との接点となり、意識の向上にもつながっている。


カンボジアで作られるTシャツ




ダイバーシティ研究所からのコメント

 「“あすふかけつ”を事業を通じて全うしていく」という大和ハウス工業としてのCSRの柱と共に、「地域において不可欠な企業・事業所になる」「地域社会の要請に応える」といった事業所や地区での取り組みを非常に大切にしていると感じた。CSR推進室は、仕組みづくりや社員の啓発に力を入れている。「本社からのトップダウンではなく、事業所単位で取り組みが進まなければダメなんです。」という一言が、それを物語っているようだ。「絵本を届ける運動」も、元々はある事業所での取り組みだったという。今後、各事業所での取り組みがますます深まり発展していくことを期待したい。




■ノミネート企業3 [2008年08月12日(Tue)]

関西電力株式会社


私たちは、電力の安全・安定供給と地球環境問題を重要なミッションとして、事業活動を営んでおります。


当グループでは、お客さまの暮らしや社会の基盤となる事業において、「お客さま満足No.1企業」をめざしています。お客さまのライフラインを担う事業者として、安全かつ安定して電力をお届けするため、一人ひとりの従業員の技術や技能の向上・継承に取り組んでいます。また、環境と関わりの深いエネルギーに携わる企業として、技術開発の推進など積極的に地球温暖化防止に挑戦し続けています。



CSRの最重要テーマは、電力の安全・安定供給と地球環境問題


世界最高レベルを誇る電力の安定供給

 安全かつ安定的に電力を供給することは、電力会社にとっては、非常に大きな責任であり使命でもある。

 お客様1件当たりの年間事故停電時間の国際比較を見てみると、日本19分(2005年度)、イギリスが91分(2004年度)、アメリカが88分(2005年度)、フランスが51分(2004年度)となっている。関西電力の顧客1件あたりの2006年度事故停電時間は4分。国内外を見渡しても最高レベルの安定供給を行っている。

 停電が起きる原因は、雷や台風、地震などの自然災害が多い。自然災害があっても停電にならないような対策と、仮に停電してもいかに迅速に復旧させることができるかが、大きなポイントだ。

 「機械の故障をバックアップする体制も整えていますが、壊れたものを直す最後の砦は人です。」(企画室 CSR推進グループ 冨岡洋光さん)

 復旧に向かう人も被災をしている。暴風の中の作業になる。それでも「一刻も早く電気を通したい」という社会に不可欠なライフラインを担う事業者としての使命感が、最高のパフォーマンスを生み出している。


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「当たり前」を支えるのは、絶え間ない努力とチームワーク

 第一線の現場で働く従業員の技術や技能の向上は欠かすことができない。

 「全社技能発表会」は、1970年から始まり38年の歴史を重ねている。関西一円の事業所から参加チームが集まり、電柱の復旧や鉄塔の復旧などの様々な分野で、日頃の訓練の成果を発表しあい、互いの技術を共有したり、工具を改良したり、連携を深めている。

 2007年度からは、「専門技術・技能者制度」を新設した。工務・系統運用部門(水力や変電など保全の専門家)、ネットワーク技術部門(電柱や電力メータなどの専門家)など、6分野にわたって優れた技術・技能を持つ人を認定し、技術の伝承と向上、後進の育成にあたっている。
 「持てる技術のすべてを伝えたい」と思う認定者と、「あの人のようになりたい」という後輩の間には、高いモチベーションとともに信頼関係も築かれている。
危険な現場にチームワークで対応し、顧客の「当たり前」を支えているのだ。



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低炭素社会の実現をめざし技術開発に取り組む

 必要に応じて需給調整が行われている電源の違う複数の電力(火力、水力、原子力)のことを系統電力という。CO2排出量の多い電力会社にとっては、事業活動に伴う環境負荷低減、CO2排出量削減は環境分野での重要テーマの一つとなっている。

 関西電力では、地球温暖化への対応として低炭素社会の実現を掲げ、「系統電力の低炭素化」「電化社会の推進」を柱として取り組みを進めている。そのキーになるのは“技術開発”だという。

 火力発電では、石炭や石油を燃やし強力な水蒸気を作ることで発電機を回している。
 効率よく燃焼させる技術、CO2排出を削減する技術。水力発電や原子力発電では、安定運転の技術。その上で、CO2を排出しない電源とその他の電源をバランスよく組み合わせる技術があり、系統電力の低炭素化を図っている。

 電化社会の推進では、ヒートポンプ機器や自動車メーカーとの協働による電気自動車の普及など、電気の消費量の少ない製品や熱効率の良い製品の開発や提案を続けている。


排出されたCO2を分離回収し(左)地中の炭層中に吸着固定させる(右)

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電気を使う人たちや次世代への啓発活動

 電気を使う人たちへの啓発活動も、低炭素社会の実現には不可欠だ。
 1975年から毎年6月を「環境月間」と定め、環境月間シンポジウムを開いている。WEBサイトでは、環境家計簿「エコeライフチェック」やエネルギー削減量のシミュレーションを実施している「Enjoy省エネLife」などを提供し、従業員だけではなく地域の人も気軽に環境活動に参加したくなるような仕組みの提供と呼びかけを行っている。

 かんでんeキッズクラブでは、小学5,6年生を対象として、自然や環境、エネルギーについて「気づき」「知って」「できることから行動する」ための活動プログラムを実施しており、2007年度は、198名の子どもたちが参加した。



エネルギーや環境をテーマとした学校への「出前教室」は、2007年度の年間実施回数が1,100回を超えた。「また来てね」と言ってもらえるまでには、苦労もあったそうだ。地球温暖化を目で見て理解するための実験装置も何度も改良し、子どもにでも理解できる話し方を訓練した。
次の世代を担う子どもたちに、エネルギーについて理解をし、考えるきっかけづくりになっている。


ダイバーシティ研究所からのコメント

 「当たり前」に電力を供給するには、普段は消費者には見えてこない技術の伝承や復旧チームの信頼関係といった「人」の力が重要であり、それを育てるための地道な取り組みがなされている。覚悟を持って仕事に臨む姿、地球温暖化に真摯に取り組む姿からは、電力を消費する者としての責任を考えさせられるのではないだろうか。
 また、教育機関への実験提供にもなっている環境教育としての「出前教室」への参加者数は、2007年度だけでも、4万7,000人を超えており、次世代へのエネルギー教育も確実に積み上げられている。




■ノミネート企業17 [2008年08月12日(Tue)]

凸版印刷株式会社


「一人よがりにならないCSR」を目指しています。ぜひ、皆さまのご意見をお聞かせください。


CSR(企業の社会的責任)とは『企業が“社会”=“ステークホルダーの皆さま”に対して果たすべき責任』です。ですから、私たちはステークホルダーの皆さまのご意見に耳を傾け、一人よがりにならないようにCSRに取り組んでいきたいと考えています。CSRへの取り組みは、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションによって成り立つものです。ぜひ、私たちの活動に対する皆さまのご意見をお聞かせください。



一人よがりにならないCSRを目指して


社会に対して積極的なCSRを

 日本で最大級規模の印刷会社であるこの企業では、2003年にCSRへの取り組みに対する体制を構築して以降、幅広い分野でCSR活動を行っている。

 活動開始当時は、企業の不祥事が多かったという世相を受けて、コンプライアンス(※1)に関する活動が多かった。
 しかし、現在は企業と特に深い関わりを持つ人々や社会といったステークホルダー(※2)を

  ・顧客
  ・取引先
  ・社会・地域社会
  ・社員
  ・株主・投資家

の5つに分け、各ステークホルダーに対する積極的な情報開示と対話を進めながら幅広い活動を行っており、その活動内容を毎年報告している「CSRレポート」も社内外から高い評価を受けている。


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グローバル・コンパクトとチャリティーコンサート

 今年度、同社がおこなったCSR活動のひとつにチャリティーコンサートがあるが、この活動は国連の提案する「グローバル・コンパクト」と深い関係がある。

 「グローバル・コンパクト」という言葉自体あまり聞きなれないが、これは1999年に開かれた世界経済フォーラムで、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏が提唱した、世界中の企業に参加して欲しい「人権、労働、環境、腐敗防止に対する10大原則」のこと。

 日本では65の企業と自治体が「グローバル・コンパクト」に加盟しているが、この企業も2006年にこの提案に参加。社長自ら参加意思を表明する書簡を国連に送っている。
とはいえ、加盟したからといって、国連側が企業に何かを強制するというものではない。
 「要は『グローバル・コンパクト』に参加したことをエンジンとして、それぞれの企業がCSR活動に取り組むことが大事なのだと捉えています」と、この企業のCSR推進室長。


 そして「グローバル・コンパクトの実践」としてこの企業が選んだ活動の一つが、2008年2月開催したチャリティーコンサートだ。バイオリニストの前橋汀子さんとギタリストの荘村清志さんを迎え、東京・小石川にある自社のコンサートホールで二日間のコンサートを行った。

 チケット販売金額から、演奏を行った2人のアーティストへの出演料を引いた残りの約300万円を、世界の難民や国内避難民を支援する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に寄付。 同事務所を通じて、寄付金は「アジアの難民キャンプに暮らす子どもたちの識字率の向上」に役立てられている。

 また、寄付先をどの国連機関にするかを決定する際も、CSR担当社員が国内のさまざまな国連機関の事務所に出向き話し合いを重ねながら、どこがベストかをしっかりリサーチするなど、寄付金を預かる企業としての責任を果たすことに尽力した。



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公明正大さで2つの賞を受賞

 この企業は2007年に環境省と(財)地球・人間環境フォーラムが共催する「環境コミュニケーション大賞」で優秀賞を、東洋経済新報社が主催する「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞」では最優秀賞を受賞した。

 これらの受賞の原動力となったのが、「CSRレポート2007」だ。このレポートは2004年から毎年、年に1回発行されている。この企業がどういった企業で、どれくらいの利益を出していて、CSRに対してどのような考え方を持ち、どう行動しているかがよくわかる内容になっている。

 社員の平均給与から新入社員の定着率、社員の退職理由、さらには自社工場から有害物質が検出されたというニュースまで、ともすれば企業にとってマイナスイメージにもなりかねない情報も徹底して開示しているのが、特徴的だ。

 ここには企業として等身大の姿を社会に見せてはじめて、関わるすべての人々や社会とのコミュニケーションが成り立つという、この企業の持つ真摯な姿勢が垣間見える。



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広く意見を求めて活動を

 印刷会社という性質上、この企業は雑誌や商品のパッケージなど、顧客となる企業のための製品を製作する(=印刷する)ことが多い。そのため、高い印刷技術を持っているにもかかわらず、自社ブランドの製品が直接消費者に認知される機会が意外と少ない。

 こうした企業活動のわかりにくさが、CSR活動の中でも「社会との関連性が薄い」「外に対して開かれてない」という指摘を受けることにつながってしまい、それがCSR活動をしていくうえでの悩みにもなっている。

 「CSRレポートを作る際にも、有識者の方々に、当社がどういう方向性でCSR活動を進めていけば良いかについて、ご意見を頂戴しています」とは、CSR推進室長の言葉だ。
 例えば「CSRレポート2007」の中では、「ユニバーサルデザインな社会をめざして」というテーマで、ステークホルダーを代表してユニバーサルデザインの専門家たちに、この企業の活動や進むべき方向性などについて語ってもらっている。

 一般消費者には認知されにくい製品を提供している企業だからこそ、あらゆるステークホルダーの声に真摯に耳を傾けながら、今後も「ひとりよがりにならないCSR」を目標に掲げて、活動を継続していく予定だ。



有限会社パワーボールからのコメント

私たちの生活は印刷物と切っても切れない関係にあるが、実際に印刷を担っている企業についての関心はそれほど高くないと言えるだろう。しかし、「愚直」とまで言えるほどの情報開示に対する徹底ぶりや、印刷材料の供給元である企業とも環境問題に取り組むなど、「印刷」という企業活動を「核」にどこまでCSRに取り組めるかという、企業CSRに対するまっすぐな精神には感心させられた。



(※1)法律や規則などの基本的なルールに従って活動を行うこと。
(※2)企業、行政、NPOなどの組織の行動に直接・間接的な利害関係を有する者。


■ノミネート企業11 [2008年08月12日(Tue)]

サッポロホールディングス株式会社


わたしたちは、いつもお客様に喜んでいただける企業活動を通じて、社会に信頼されるグループであり続けます。



創業以来130年余、私達は社会と共生し、お客様の喜びを糧とし、歩んできました。これからも私達は、『潤いを創造し豊かさに貢献する』という経営理念のもと、お客様に喜んで頂ける誠実なグループであり続けることによって、企業として発展を目指すとともに持続可能な社会づくりに貢献して参ります。 安全・安心な商品やサービスの提供を目指すと共に、食品業界ではじめてLCA手法を使って商品単位でのCO2排出削減を評価するなど、環境対策を推進しています。



「誠実さ」をCSRの根本に据えて


4つのテーマを掲げてCSRに取り組む

 この企業は創業130年。ビールや飲食業、不動産といった業界で「人々の喜びを糧に歩む」ことをテーマに長い発展の歴史を歩んできた。
そしてこの企業が近年特に注力しているCSR活動のテーマは、

  ・おいしさと安心
  ・環境配慮を、次のステップへ
  ・北海道に活力を
  ・お酒は楽しく健康的に

の4つで、具体的な活動は実に多岐に渡っている。

 また、年に1回発行している「CSRレポート」の2008年版では、できるだけ社員を多く登場させることで、社外のステークホルダー(※1)がこの企業に対して親しみと信頼を得やすくなるだけでなく、社員が「自分の仕事もCSR活動の一貫なのだ」という意識を高めることにも効果を発揮している。

 この「CSRレポート」は2006年からこの名称になったのだが、1998年から「環境レポート」として発行してきており、この企業の環境問題に対する意識の高さもうかがえる。


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LCAの先駆者としての責任

 この企業が社外からも高い評価を得ている環境活動のひとつに、LCAがある。LCAと聞いてピンとこない人も多いだろうが、これは「ライフサイクルアセスメント」の略語。原料の調達から、製品の製造、輸送、容器のリサイクルなどに至るまで、その製品づくりのすべての段階で、どれだけCO2が排出されているかを把握するというものだ。

 一般的に製品の原料がどこから調達されているのか、細かい部分まで追跡することが難しいと言われている食品業界では、LCAを実施することも難しいとされてきた。
 しかし、すべてのビール商品において、その原料となる麦芽とホップで「協働契約栽培(=産地、生産者が明確であることなどを柱とした独自の原料調達システム)」を実施しているこの企業は、2004年、ビール業界で初めて自社の代表的な商品について、LCAによるCO2排出量の算出に成功した(データは2003年)。

 以後、この企業は2007年に2度目のCO2排出量の算出を行った(データは2005年)。そして2007年には、2003年から2005年の2年間のビール商品の製造過程全体における、CO2排出量の削減をライフサイクル毎に示した。

 アルミ缶製品については、2003年から2005年までの2年間で10%ものCO2削減に成功。2009年までには全工場で缶のフタのサイズ縮小を実施する予定で、これによってアルミの使用量を1.9%削減することができる見通しだ。

 こうした取り組みが評価を得て、2008年には経済産業省が主催する「カーボンフットプリント(※2)制度の実用化・普及推進研究会」のメンバーとして、参加を要請されるまでになった。
 またテレビCMでは、CSR部のメンバーがタレントとともに出演し、視聴者に向けてLCAをアピールするなど、社会に対してもLCAという言葉を浸透させる取り組みを行っている。



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生産者の顔が見えるものづくり

 ここ数年は食への不信感をあおるような事件が相次ぎ、消費者の間でも不安が高まっている。
 しかしこの企業では、CSR部の社員が「企業側も自分たちが社会に何を求められているのかを察知して、しっかりと対応し対策を講じる必要があります。それがCSR活動にもつながっていきます」と話すなど、企業としての責任を強く認識している。

 実際、この企業は食の不安に対して徹底した対応をとっており、商品が生産されるどのプロセスや状況で誰がどのようなことを行っているのか、「畑からグラスまで」というバリューチェーン(※3)ごとの品質管理を掲げて、きちんと消費者に伝えるべく、その管理方法などについても一つひとつ徹底して検証を行っている。

 それはビールの製造はもちろんのこと、同社が手がける外食事業のレストランで出される食材の生産者、レストラン・スタッフの衛生管理にまで及んでいる。



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消費者との距離を近づける努力

 毎年発行されている「CSRレポート」もその好例だが、この企業が努力していることのひとつに、できるだけ消費者との距離を近づける、という取り組みがある。

 例えば消費者からの提案や意見の一つひとつをCSR部で話し合ったり、「CSRレポート」2008年版の巻末についている読者アンケートを、ファックスではなく誰もが投書しやすいはがきにすることで、より広い意見を吸い上げようとするなど、そこにはCSRコミュニケーションを意識したきめ細かな配慮が見られる。

 こうした消費者の声を大事にするという誠実な姿勢からも、この企業が、より社会に開かれた企業を目指していることがうかがえる。




有限会社パワーボールからのコメント

食の問題は、私たちにとって最も身近な問題のひとつだと言える。そんな中、品質や安全管理に関して徹底した取り組みを行い、さらにCO2削減にも尽力するなど、その真摯な姿勢には、一朝一夕には成し得ない企業全体の持つ底力を感じた。この社風とも言えるべき「底力」、CSRという言葉が市民権を得る前から、この企業にはそういった精神が、社員一人ひとりの体の中に脈々と受け継がれていたのであろう、ということを実感した。



(※1)企業、行政、NPOなどの組織の行動に直接・間接的な利害関係を有する者。
(※2)商品における原料の採掘や栽培、製造、加工、 包装、輸送、および、購買・消費されたあとの廃棄に至るまで、それぞれの段階で排出されたCO2を表示する取り組み。
(※3)調達、開発、製造、販売、サービスなど、企業活動において製品やサービスが消費者に届くまでに付加価値を生み出す連続したプロセス。

■ノミネート企業20 [2008年08月12日(Tue)]

日本電気株式会社


私たち15万人は“人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー”を目指しています


私たちは@ITを活用した独自の省エネ技術によるCO2排出量削減を通じた地球温暖化防止や、A途上国の人々の生活基盤を支える通信インフラの提供による情報格差の解消、Bユニバーサルデザインの普及により、障がいのある方や高齢者を含んだあらゆる立場の人々が参加する多様性豊かな社会の実現などに取り組んでいます。15万人全員でイノベーション(革新)を追求し、「事業活動を通して社会の課題解決に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献する」ことが私たちのCSRです。



人と地球にやさしい情報社会へ


イノベーション(革新)で社会の課題解決に貢献

 グループ会社300社以上に社員約15万人を擁するこのグローバル企業は、ITを活用したソリューション、通信ネットワークシステムやインターネット・サービス、携帯やパソコン、半導体製品や電子部品などを提供している。

 CSRに対する考えの根底にあるのは、事業活動を通じた社会の課題解決への貢献だ。
収益性の向上や社会への還元による経済責任と、法令の遵守・企業倫理の徹底といったコンプライアンス(※1)責任を果たしたうえで、よき企業市民として社会的課題解決に貢献する。こうした事業活動による貢献を通じて、社会と自社の持続可能な発展を目指している。

 この企業では、優先的に取り組む7つのテーマ(※2)を設定してCSR活動を推進している。そして2007年度以降は、地球温暖化をはじめとした「気候変動への対応と環境保全」と、すべての人がデジタル社会の恩恵を享受できるための「デジタルデバイド(※3)の解消」という2つのテーマに特に注力している。


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本業を通じてCO2排出実質ゼロを目指す

 この企業では2010年にCO2の排出を実質ゼロにすることを目標にしている。
CO2の総排出量は、製品を生産する過程でオフィスや工場、物流から排出されるCO2と、生産された製品を顧客が使用することで発生するCO2の量を足し上げて算出する。
これに対し、自社のITソリューションを提供することによって顧客や社会のCO2排出削減に貢献した分を、CO2排出削減量として相殺している。

 2007年度は、生産活動と製品使用によるCO2排出量280万トンに対し、削減量は105万トンだった。これを2010年度には排出量・削減量ともに220万トンにすることで、CO2排出量の実質ゼロを実現する予定だ。

 製品使用によるCO2排出量を削減するために、省電力のサーバ(※4)の開発など製品の省エネ化を推進し、テレビ会議システムなどITを活用した環境負荷の少ないビジネススタイルの提供を行っている。

 また、インターネット・サービス・プロバイダーでもあるこの企業では、検索ツールバーをパソコンに設定したユーザーの検索回数をカウントし、検索100万回につき1本のユーカリをオーストラリア・カンガルー島に植樹するという取り組みを行っている。この企業は、個人向けのパソコンも製造・販売しており、エコをテーマとしたデザインパソコンを開発し、売り上げの一部をNPOに寄付することで、海洋自然保護活動を支援している。また、このデザインパソコンも、2台販売されるごとに1本のユーカリがカンガルー島で植樹される。

 植林を実施している企業は多いが、事業活動と連携させたユニークな取り組みと言えるだろう。

デザインパソコン


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格差のないデジタル社会をつくる

 この企業は、ITとネットワークの提供を通じてすべての人がデジタル社会の恩恵を享受できることを目指しており、デジタルデバイドを解消するための多様な活動を世界各地で続けている。

 例えば、1960年代から事業展開しているアフリカでは、社会のインフラを支えるデジタル技術を提供しながら、各国の発展に貢献している。タンザニアでは、短波・中波放送機や送信設備の納品を通じて、ラジオ放送システムをサポート。教育・啓発番組を充実させる役割を担っている。
 多様な人種で構成される南アフリカでは、指紋照合を用いた「国民IDシステム」を導入し、照合作業にかかる時間の短縮や個人情報盗難の低減を実現した。またアンゴラでは、簡易型マイクロ波通信システムを納入し、携帯電話ネットワークの急速な普及に貢献した。
 こうした取り組みはアフリカの多くの国で行われ、各国の官公庁や国民から高い評価を得ている。

 一方、日本ではコンビニエンス・ストアに設置されるATMにおいて、視覚障がい者向け音声案内ガイダンスシステムの導入を支援。インターホンに搭載されたテンキー操作のみでATMを操作できるシステムを、視覚障がいのある人たちと一緒に開発した。
 操作に不慣れな人には音声ガイダンスで案内し、取引中に障害が発生した場合は自動的にコールセンターに接続されオペレーターが対応するなどして、利用を促進している。

 この他にも、ブラジルでは貧困地区の若者の職業訓練を支援するNGOに、社内で使用した中古パソコンを寄贈するなど、本業と社会貢献の両面からデジタルデバイドの解消に取り組んでいる。


中古パソコンをブラジルの若者の職業訓練に活用


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CSR活動をグローバルに表彰

 グローバルに事業展開するこの企業では、グループ各社が各国でその国のニーズに合ったCSR活動に取り組んでいる。

 そこで年に1回、顧客満足、環境、社会貢献の各分野で特に優れた活動を選定し「CSR AWARDS 社長賞」を授与、東京本社で表彰式を行っている。この取り組みは全世界で活動するグループ社員の一体感とモチベーションを向上するだけでなく、顧客や社会に事業を通じて貢献することの重要性を認識する機会にもなっている。


「CSR AWARDS 社長賞」授与式


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多様なツールでCSRコミュニケーションを推進

 世界各地で個人、企業、官公庁など様々な顧客にITを活用したソリューションを提供しているこの企業では、多様なツールでステークホルダー(※5)とのCSRコミュニケーションを行っている。

 ホームページ内にはCSRの専用サイトを設け、「環境アニュアルレポート」「CSRアニュアルレポート」を掲載。CSR活動については重要事項をハイライトした冊子版の「CSRダイジェスト」も作成し、顧客や投資家、社員など幅広いステークホルダーに配布している。

 また、日本語だけでなく、英語や中国語のCSRレポートも発行するなど、グローバル企業ならではのCSRコミュニケーションに積極的に取り組んでいる。



有限会社パワーボールからのコメント

 この企業ではCSR推進委員会が設置されており、社長や副社長をはじめ各事業部門の代表者などが参加し、原則年に2回、CSR経営推進のための重要事項を審議している。2007年度以降、「気候変動への対応と環境保全」と「デジタルデバイドの解消」という2つのテーマに特に注力することを決めたのも、このCSR推進委員会だった。グローバルに事業展開する大企業だからこそ、部門横断のCSRに関する意思決定機関が大きな役割を果たしていると言える。



(※1)法律や規則などの基本的なルールに従って活動を行うこと。
(※2)2つのほか、「信頼性の高い情報通信インフラの構築」「セキュリティを多面的に確保」「お客さまとの信頼関係の構築」「働きやすい職場づくりとグローバルな人材育成」「リスクマネジメントとコンプライアンスの強化」の5つがある。
(※3)パソコンやインターネット技術を使いこなせる人とそうでない人の間に生じる、雇用や待遇、機会の格差。
(※4)コンピューターネットワークにおいて、各コンピュータからの要望に沿った様々なサービスを提供する電子機器。
(※5)企業、行政、NPOなど組織の行動に直接・間接的な利害関係を有する者。

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