■ノミネート企業2 [2008年08月12日(Tue)]
日産自動車株式会社
CSRを軸とした事業活動を行い、「社会とともに成長し、信頼される続ける企業」を目指しています。
すべての活動をCSR視点で この企業では「人々の生活を豊かに」することをビジョンに掲げ、自動車の製造を中心としたあらゆる事業活動を通じて、社会の発展に貢献することを目指している。また、CSRを企業経営に必要なマネジメント・ツールだと考え、事業活動に浸透させている。 具体的には、社会からの多様なニーズや要請をCSR視点で捉え、事業活動に反映させるというもの。CSRというフィルターを通したニーズや要請を各部門に浸透させることで、社員一人ひとりが高いCSR意識を持って仕事に取り組むことにつながっている。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* それぞれの国で、それぞれの社会貢献を 日本、北米、欧州、アフリカなど世界のあらゆる地域で事業活動を行うこの企業は、社会貢献に対する考え方もグローバルだ。日本本社が主体となってグローバルレベルに取り組む活動と、各国・地域のグループ企業が文化的背景の違いを踏まえながら、自動車会社としてその地域の実情やニーズに合わせて独自に取り組む活動の両面で社会貢献を推進している。 この企業では持続可能な社会の実現のために、「教育への支援」「環境への配慮」「人道支援」の3つの社会貢献活動を重点分野に設定。 「教育への支援」の一環として、日本では1984年から毎年、アマチュア作家を対象とした創作童話と絵本のコンテストを開催しており、大賞に選ばれた作品は出版し、全国の公立図書館や事業所近隣の幼稚園などに寄贈している。 こうすることで、アマチュア作家に活躍の機会を提供すると同時に、子どもたちに夢や創造性あふれる童話や絵本を届けている。 また南アフリカ共和国では、同社の看板をリサイクルしたビニール材でつくった通学用カバンを提供する「アドバッグ」キャンペーンを展開。地球環境の持続性や人道的支援を目的としたこのキャンペーンは、南アフリカ共和国のグループ企業が独自に企画した。 バッグの製造も心身に障がいを抱える人々に委託するなど、徹底して社会貢献にこだわっている。 完成したカバンは農村地域の小学校に配布され、それまでポリ袋に教科書を入れて持ち歩いていた子どもたちにとても喜ばれている。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 人材の多様性を強みに この企業は1999年にフランスの自動車製造会社と資本提携して以降、女性社員の登用や国際的な人材交流などを積極的に推進しながら、社員のダイバーシティ(多様性)を企業の強みに変えている。 従来日本では女性の能力活用がなかなか進んでいなかったが、この企業は2004年度から本格的な取り組みを始め、女性管理職比率の目標も設定。経営の中でダイバーシティの重要性を位置付けたことも奏功して、目標を達成することに成功した。 また、フランスの提携会社との間で「エンジニア交流プログラム」を実施。日本とフランスの若手エンジニアがペアを組んで、自動車を製造する際に発生する様々な技術課題にチャレンジしている。 また、従来から日本、北米、欧州、アジアなど各拠点の社員が部署異動や出向などによる海外赴任も行うなど、日常的に国際レベルでの人材交流を推進している。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 本業と社会貢献の両輪で環境活動 この企業は、中期的な環境行動計画となる「グリーンプログラム2010」を2006年に策定。「CO2排出量の削減」「排出ガスの浄化」「資源循環」の3つの重要課題について、商品、工場、オフィス、販売会社、物流などそれぞれの現場で設定した目標を2010年までに達成できるよう、試行錯誤を通じた取り組みが行われている。 商品を通じた環境貢献にも積極的だ。 ガソリンの消費によるCO2排出問題が取り沙汰される中、リチウムイオンバッテリーを搭載した電気自動車を2010年度に販売するという目標を設定し、開発に取り組んでいる。 また、同社が提供しているカーナビゲーション・サービスでは、会員になると自分がどのくらいガソリン消費の少ないエコロジーな運転をしているかがわかる仕組みになっている。他の会員とCO2の排出量を競うことも可能で、原油高の中、エコドライブの重要性を再認識する機会を提供している。 社会貢献活動を通じた環境活動も盛ん。 この企業では全社的に資源分別排出基準を策定し、詳細なゴミ分別活動を実施しているが、2007年度からペットボトルのキャップ専用ボックスを設置し、回収を行っている。 ペットボトルのキャップは質の高いポリプロピレン(※1)でつくられており、自動車の部品に再利用可能。集められたキャップはリサイクル業者によって回収され自動車の部品会社へと渡り、新しい部品に生まれ変わってこの企業が製造する自動車に組み込まれて行く。 こうした活動は社員の環境意識を高めることにも大きな役割を果たしている。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 徹底した情報開示で社会と対話する 多くの企業が発行するCSRレポートや環境報告書には、冊子の発行タイミングと合わないために掲載できない情報も少なからずある。 そこでこの企業では、最新の商品や企業ニュース以外に、「品質」「環境」「社会貢献」などの各部門で独自のウェブサイトを立ち上げ、環境やCSRに関わる情報を随時アップデートしながら、社会に発信できる仕組みを整えている。 また、社内のイントラネット(※2)上にCSR専用のサイトを開設。CSR視点で捉えた社内外のニュースを発信したり、CSRの用語集や社会から企業に何が求められているかといった視点でまとめたトピックスなどを紹介し、社員のCSRマインドを高めている。 CSR活動の進捗管理を行うための「CSRスコアカード」も作成し、その年度の目標だけでなく翌年度や中長期視点での目標も設定している。そして目標に対する達成度も含めたすべての情報を開示するなど、徹底したCSR情報の開示で社会との対話を図っている。 有限会社パワーボールからのコメント 「日々の企業活動こそCSR活動」という意識が徹底している企業だ。CSRのために何か特別な活動をするのではなく、社会と自社の持続的な発展に必要な活動を地道に続けることが、自然とCSRにつながっている印象を受けた。その一方で、環境問題に対する関心の高まりを受けて、2007年度からサステナビリティレポートの冊子印刷を廃止。インターネット上で電子データ(PDF)をダウンロードする形に変更するなど、常に社会のニーズや要請を汲み取りながら活動を進化させてもいる。社会との対話を図りながら、必要な活動に粛々と取り組む姿に、CSR活動の原型を見た気がした。 (※1)プロピレンガスを原料に製造されるプラスチック製品の一種。 (※2)インターネットの技術を用いて構築された企業内のコンピューターネットワーク。 |
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