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■ノミネート企業13 [2008年08月12日(Tue)]

油伝味噌株式会社



厳選した材料をもとに、長期熟成させた味噌。230年の伝統を礎に、芳醇で豊な味わいをお届けしています。


江戸中期、油屋で創業し、味噌の製造を始めてから今日に至るまで、一貫して、日本の伝統的な味の文化を継承していくことを念頭に、本物の味噌づくりを続けています。食育に寄与する味噌づくり体験だけでなく、厳選した材料や、木桶の発酵樽にこだわるなどのエコロジカルな経営を貫いています。また、江戸時代の繁栄を物語る蔵の街と、例幣使街道の歴史的な景観を活かした、栃木ならではの地域活性化事業に力を入れてきました。



地域を守り共に歩んだ230年


 蔵の街、栃木市で江戸中期から味噌を作り続けている油伝(あぶでん)味噌株式会社。
 かつて京都から勅使が日光東照宮へ通ったという例幣使街道に面して店を構える油伝味噌の前に立つと、江戸時代にタイムスリップしたような気になる。

 現在は、家族を中心に社員5人という小企業ながら、その長い歴史を通じて「地域を守り、地域とともにある」ことがそのアイデンティティとなっている。

伝統を守る作り手として

 味噌は日本の伝統食でありながら、需要は年々減少傾向にある。しかし、ご飯に味噌汁の伝統的和食は健康長寿のもとであり、現在では海外から注目を集めている。ここでは、その基本となる味噌を遺伝子組み換えの大豆は使わず厳選した大豆を使い、木製の6尺桶で仕込んでいる。味噌蔵には「菌」が生きているのでエアコンは使っていない(貯蔵庫には使用)。

 味噌田楽を提供する茶店「田楽あぶでん」も古材を使って建て、自然の風が抜ける店内には、大正時代の米国製レジスターをはじめ、明治・大正の時代から使い続けられているものが現役である。古いものを大切に、エコロジカルなスタイルが徹底されている。

 味噌蔵などの建造物のうち4棟は、2004年に文化庁の登録有形文化財として登録されており、さらに今年もう1棟も登録されることになったという。古いものを残し大切に使い続けるには手間もお金も必要であるが、これは地域の宝ともなっている。



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伝統食のよさを子どもたちに知ってもらいたい

「あっ、味噌屋のおじちゃんだ。」
 専務取締役の小池英夫さんが学校に行くと子どもたちから声がかかる。

 油伝味噌では90年代から小学校の「地域を学ぶ」ことに協力している。毎年市内の15,6校の小・中学校の子どもたちが味噌蔵の見学に来ている。麹造り、甘酒造り、味噌の仕込み、切返しなどを子どもたちに体験してもらったこともある。

 味噌汁を飲む機会が減ってきている子どもたちは、自分たちで仕込んだ味噌でつくった味噌汁を給食で飲む機会ができ、日本の伝統食がどのように造られているのか体験的に知ることができる。父母に対しても、伝統的な食文化を伝えるとともに、子どもの時に味覚を発達させることの大切さを訴えている。



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日本の伝統技術を伝える土壁体験

味噌つくり体験だけではなく、2002年には伝統的な技術の伝承にも取り組んでいる。

 自宅改修をきっかけに「小学生による左官体験」を行い、今では年配の職人しかできない土壁を子どもたちが作った。土壁は手間がかかるため、この地域では30年以上前に作られなくなっているが、吸湿性があり化学物質の心配もない優れた伝統的な素材である。



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地域をよくしてこそ

 蔵の街・栃木にあって、古い建物を活用しながら後世に残すことに努めてきた油伝味噌では、地域の文化を発掘し、まちの活性化をはかっている。まちの人たちが行う映画会やコンサートに会場を提供してきたが、1992年には、地域の特性を生かしたまちづくりをめざして「栃木の例幣使街道を考える会」というまちづくり団体の立ち上げに参画し、小池専務がその事務局を担当している。町並みの保存については、博物館的に保存するのではなく、人々の温もりが伝わってくる活用を図ろうとさまざまな取り組みを重ねている。

 地域へは、1996年には、マップ「例幣使街道再発見」を作成、3町内1300戸に配布した。SPレコードコンサートは毎秋開催している。行政に対しても諸施策の提言を続け、文化庁の伝統的建造物群保存地区に市から申請を上げている。

 一般市民へは、マップを作成したり、大正から昭和初期の写真を集めての写真展を開き、その写真集を発行している。また、「お蔵のお人形さん巡り」(2002年〜)に協力して人形の展示と「昭和30年代のくらし展」を開催している。

 こうした展示の会場、昔の写真、生活用具なども油伝味噌の長年培ったものが活きて提供されている。そこには、地域をよくすることで自分たちもよく生きられるという油伝味噌の秘伝の味が隠されている。



とちぎ協働デザインリーグからのコメント

 当企業の株式会社としての設立時期は1936年ですが、江戸中期に油屋から始めて味噌屋の今日に至るまで200年以上にわたって営業を続けてきた。従業員も売上高も小規模の企業であっても、地域の需要に応え、信頼される経営であればこその姿であるといえる。CSRの今日的な解釈による「三方良し」の評価基準には該当しない部分が多々あっても、当企業の現実的な姿は、本来の企業機能(味噌の製造販売)を通して、地域文化および伝統的食文化を維持継承していくことを強く意識しつつ、さまざまな地域活動を展開しているという点を高く評価した。



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