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■ノミネート企業7 [2008年08月12日(Tue)]

株式会社一ノ蔵


伝統的な手づくりの技で、高品質の酒をつくり、社員、お客様、地域社会から高い信頼を得ることを使命としている酒造会社です。



「醸造醗酵産業による農業の振興と地域の活性化」を目標に、県内四酒造家が企業合同により会社を設立しました。自然と共に生きてきた日本人の伝統的文化、技術を現代に活かしながら、正直な酒造りと商品開発に挑戦してきました。環境への配慮や地域への貢献も社員が一丸となって取り組んでいます。



一ノ蔵とは問題解決の専門集団

 「人と自然と伝統を大切にし 醸造発酵の技術を活用して 安全で豊かな生活を提案することにより 社員 顧客 地域社会のより高い信頼を得ることを使命とする」

 これは一ノ蔵が掲げる経営理念の一部である。地域振興、環境問題への対応、NPOとの協働、一筋縄にはいかないこれらの取り組みを、本業で培ったノウハウと連携先の専門性の両方を上手く生かしながら実現させている。しかもそれぞれが一ノ蔵ならでは。独自性のある魅力的なものとなっている。これらの取り組みはいったいどのように生れているのだろうか。


・ 地域と一緒に「農業」に取り組む


 東北地方では、「やませ」と呼ばれる北東の風が周期的に発生し、冷害の原因になっている。93年は記録的な冷夏になり、本社がある旧松山町(現大崎市)でもひどい凶作になった。もちろん米を原料とする酒造業界もかなりの打撃を受けたそうだ。しかしその凶作の中で、豊な実りの田んぼがいくつかあることに気がついた。

「どのような農法だと、凶作の時もおいしいお米が作れるのだろう」
この疑問が出発点となり、一ノ蔵と農業との密な関わりが始まった。

 96年、地元の農家とともに「酒米研究会」という組織を立ち上げ、おいしいお米づくりの勉強会を始めた。その後、農薬や化学肥料に頼らない米づくりを通して、環境や農地を守ることを目指すNPO「環境保全米ネットワーク」 と出会い、酒米研究会も同NPOに加入し、更なる米づくりの研究を続けた。


 企業が直接農業に参入できる規制緩和が行われ、松山町は「水田農業活性化特区」の申請を行った。04年、一ノ蔵の農業部門「一ノ蔵農舎」を立ち上げ、本格的に農業への取り組みが始まった。現在、収穫高が生活に直結している農家にはなかなか出来ない、環境対応の米づくりを、会社として実験的に取り組んでおり、そこでの成功例を地元の農家に伝えることで地域全体の農業の活性化へつなげる取り組みを進めている。

 また本業の現場では、リユース瓶(以下R瓶)を積極的に採用している。1升瓶は100%R瓶を使用しており、一般的にあまり再利用がされていない300mlの瓶でも40%強がR瓶になっている。
 また、リユースがしやすいように、商品のラベルをはがしやすい自然のりを使用している。さらに、農協との取引で使用する米袋を再使用品に変える、酒造組合の一員としてR瓶の回収業者専用のP函を開発するなど、外部の企業も巻き込みながら環境対応を進めている。


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NPOとの協働も一つのきっかけから

 前年に仕込みをした酒造りが終わる4月、酒蔵を開放する蔵開放イベントを毎年行っている。酒造工程の見学、試飲コーナー、子どもも楽しめるプレイランド、ステージでのイベント等を行い、約3千人の来場者があるそうだ。
 過去には、試飲用コップはプラスチック製、無料提供の豚汁用発泡プラスチック椀など全てごみになっていた。そこで、「大量に出るゴミ問題を何とかしたい」と考えた。

 最初は、数量調整で残った半端なぐい飲みを安く譲ってもらい、来場者に提供するというアイディアを考えたが、ぐい飲みだけを手渡すのではなく、巾着のような小さい袋に入れて提供したいと考えた。
 そこで知り合いのNPOに相談すると、ネパールで活動しているフェアトレード団体を紹介された。4年前から始まったこの袋とぐい飲みのプレゼントは、毎年来場者から大きな好評を得ている。発泡プラスチック椀も全て再利用できるものに切り替え、イベント会場からごみの山が一掃された。



 また、本業に欠かせない米づくりの分野でも、NPO法人田んぼ と、「ふゆみずたんぼ」という、生態系を生かした無農薬農法の研究を行い、先に紹介したNPO法人環境保全米ネットワークとは、有機米の規格である環境保全米に適合した米の栽培を協働で行った。その有機米を使用した日本酒は製品化され、売上の1%をこの団体に寄付する仕組みも作っている。他にも多数のNPOの支援や連携を積極的に行っている。


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全ては社員との関係づくりから

 同社では1年に一度、全社員約160名対象の全体会議を1泊2日かけて実施し、社員から出る様々な改善点を協議する場を設けている。さらに、アンケートも実施して幅広く意見を集められるよう努めている。これまでに、年齢給を止めて職能給へ切り替える、家族手当を状況に合わせて増やしていくなどの改訂を行ってきた。これらは全て、社員のアンケートから出てきた意見を実現させたものだそうだ。

 初めに紹介した一ノ蔵の経営理念には、信頼を得る対象として「社員」が最初に掲げられている。全体会議に限らず、常に日々の業務の中で社員からの意見を吸い上げそれを実現させる雰囲気が出来ている。それが特徴的な一ノ蔵の社風であり、魅力である。小さな例で言えば、6月に発生した「岩手・宮城内陸地震」の後には、社員が自発的に募金活動始める。アフリカの学校建設のためのチャリティイベントを社員側から企画するなど、社員独自の取り組みが日常的に行われている。
 
 問題を発見し、常にそれを解決しようと動いてきた一ノ蔵。この企業風土が、一ノ蔵の他には無い、そして今後の新たな取り組みへと繋がっている。



特定非営利活動法人 せんだい・みやぎNPOセンターからのコメント

 NPOとの協働の取組が、企業からの一方的な支援ではなく、お互いのスキルやネットワークを生かした双方向の取組により成り立ち、事業化されていることに強い感銘を受けました。別途行った48項目の調査でも、とてもすべてのCSR情報を拾えきれないと感じるほど、独自で多様な取組が多いと思いました。
 また、社員一人一人の声に耳を傾けようという一ノ蔵さんの姿勢が、個人のモチベーションをアップさせ、チームワークを育て、個々の事業から会社全体を盛り上げていく原動力に繋がっていて、最終的には会社を超えて地域全体を豊かにする取組へと発展しているのだと思います。





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