DEを学んでいく中で、その大事なポイントの解説を聞くと「仏教哲学的だなぁ」と感じることが多くあります。「だからなんなの?(SO WHAT?)」とDE的ツッコミを受けそうですが(笑)、自分の思考の整理のためにまとめてみたいと思います。
n DEは「縁起(=関係性)」に着目する
「縁起」とは仏教では、「すべての存在は、原因(因)と条件(縁)によって、成立【結果(果)】する」という考え方です。DEでは、事業とその結果にとどまらず、事業者(内部環境)と外部環境、さらにはDE評価者としての自分と伴走先事業者など多様な「関係性(=縁起)」に着目していくアプローチといえます。
n 「縁起(=関係性)」は「重々無尽」と捉えるべし
次に「重々無尽」とは仏教(華厳経)では、「あらゆる物事が相互に無限の関係もって互いに作用し合っていること」を意味します。つまり、DEで重要なのは、この「関係性(=縁起)」が1つ1つ独立した関係性として存在しているわけではなく「重々無尽」な「縁起」として存在していると捉えることが必要だと思います。複雑系理論やシステム思考と通じるところですね。
n DE評価者は「融通無碍」であれ
「融通無碍」とは仏教(華厳経)では、「考え方や行動にとらわれるところがなく、自由であること」を意味します。複雑系理論を活用するDEにおいて、事象を非単線系の事象の連鎖として捉えたり、評価者の立ち位置を外部評価者、内部評価者のいずれにも状況に応じて置くことができる(時にはソーシャル・イノベーターを見守り育てる母親のような)「融通無碍」の在り方がDE評価者には求められると思います。
n DE評価者は「直観力」を養うべし
「直観」とは仏教では、「物事を直接的かつ本質的に理解すること(直観智)」を意味し「分析的理解(分別智)」と区別しています。DEにおいては、もちろんあらゆるデータから分析的に事象を捉えることも重要ですが、それ以上に上記のような重々無尽な縁起を的確に捉え、即時にその中から本質的な価値を見出す「直観力」がより重要だと思います。また、DE評価者には、事業の現場や団体スタッフから得られるミクロなファクトと伴走先団体が向き合う社会課題や外部環境などのマクロなファクトを同時に直観していく「木も森も同時に見る」力が求められます。
以上、かなり強引ではありますが(笑)、DEで大事なポイントはだいたい2500年前からお釈迦様が教えてくれていんだね、というお話でした。DEやDE評価者に関心のある方の何らか参考になれば幸いです。
作成:NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長 鴨崎貴泰