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CSOネットワークのブログ

一般財団法人CSOネットワークのブログです。
一人一人の尊厳が保障される公正な社会の実現に向けて、
持続可能な社会づくりの担い手をセクターを越えてつなぎ、
人々の参加を促すことを目的に活動しています。
評価事業、SDGs関連事業などについての記事を書いていきます。


第1回定期研修開催しましたA [2017年10月18日(Wed)]
こんにちは。
評価事業コーディネーターの千葉です。

第1回定期研修の2日目の報告です。

▼1日目の報告はこちらから▼
https://blog.canpan.info/csonj/archive/2

2日目の到達目標は、
『現場でDEを実践するにあたり、何をしたらよいか、具体的なイメージを持つ』
でした。

DEの要件のひとつに、“タイムリーなフィードバックをおこなうこと”があります。
このDE研修でも、研修自体にタイムリーにフィードバックをかけることを大事にして、初日の感触や参加者アンケート結果を受けて、なるべく反映させて臨みました。

研修の雰囲気を感じていただくために、参加者からいただいた1日目の感想を、いくつか紹介します。
“評価者としての立ち位置がなんとなくわかりました。従来型の事業評価に縛られることなく、マネジメント支援的アプローチに安心して踏み込んでいいことがわかり、少し安心しました”

“セオリーに縛られている自分に気づいた事と、気づきに気づく支援を行う事で、支援対象の主体を侵害しない姿勢の中で協働関係に繋がる可能性を模索したいと、今後の挑戦の元をいただいた”

“状況に応じて柔軟に手法を活用していく点で、不確実性の高い案件にも対応し易いのではないか”

“概念的な内容だったので自分の理解や整理にはとても役立ったが、現場での実践となると直接的に役立つかはわからない”


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その後、場面転換の儀式をおこないます。
1周回って
目をつむって深呼吸
そして目を開けると、テーブルには“果物”が。

源先生による『評価の実践』のレクチャーに入りました。
サブタイトルは、
“DEのようなアプローチ”を使った評価をとおして 〜兵庫県豊岡市の行政評価〜
で、源先生を含む明治大学の評価チームが、兵庫県豊岡市の行政評価を一緒におこなった事例をお話いただきました。

源先生は、1日目のレクチャーの感触や参加者の声を受けて、なんと1日目の夜に用意していた資料を全て作り直していました。普段お話している”評価実施主体である行政の視点”ではなく、”評価者としてどのように関わったかという視点”でお話いただき、おかげさまで、DEについてとても学びの深い時間となりました。

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午後からは、『DEの実践について』というテーマで、CSOネットワーク事業アドバイザーの白石よりレクチャーをおこないました。

“あなたは普段、状況把握をどのようにしていますか?”
の質問から始まり、
簡単なワークを通じて
“自分が見たいものしか見えていない”
ことを認識してもらいました。

変化のない“単純な状況”ではなく、曖昧さ・混乱・急激な変化を伴う”複雑な状況”下においては、「状況適応型の意識・姿勢(adaptive orientation)」が求められることをお伝えして、具体的な実践の話を行いました。

ここでおこなった『DEの実践について』の内容は、別の機会に触れることにしたいと思います。

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最後に、個人ワーク、グループワークをおこなって、10月までの宿題をお伝えしました。

「私たちが何を考え、何をするかは、私たちが何を気づかないかによって規定される。私たちは何を気づいていないかに気づいていないため、変化は生み出されない。気づきの欠落が私たちの思考や行動を規定しているのだということに気づくまでは。」
R.D.レイン(精神科医・心理学者)

これは初日にも2日目にも紹介した言葉です。自分の思考の枠組みに気づきそこから抜けらけるように、日々根気強く伴走評価に取り組むことが必要です。「決して1人で抱えずに、グループ内でお互いのサポート、伴走先団体との協力、スタッフとのコミュニケーションをおこないながら向かってください」とお伝えしました。

研修では、”果物の世界”と”野菜の世界”を行ったり来たりしましたが、我々が生きる世界は”冒険の世界”です。それぞれの参加者が”冒険の世界”に旅立ち、10月の第2回定期研修会での再会を誓いました。

以上、2日間に渡る第1回定期研修会の報告でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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第1回定期研修開催しました@ [2017年10月16日(Mon)]
こんにちは。
CSOネットワーク評価事業コーディネーターの千葉です。

2017年8月24日(木)、25日(金)日本財団の大会議室にて、『伴走評価エキスパート育成プログラム』の第1回定期研修開催しました。

今回は2回にわけて初回の研修の様子を伝えたいと思います。

『伴走評価エキスパート育成プログラム』、これは全国のNPO等の事業体が、適切な事業評価、特に「社会的インパクト評価」の枠組みに適合するような評価ができるように伴走支援できる人材『伴走評価エキスパート』を育成するためのプログラムです。日本財団の助成により、本プログラムが実現しました。

米国発の『Developmental Evaluation(発展的評価、以後、DE)』という手法をベースとして研修を組み立てています。(DE自体については、別のブログで取り上げます)

『伴走評価エキスパート』という言葉も聴きなれないと思いますが、社会課題に向き合うNPO等の事業体に『伴走』しながら、事業の『評価』をおこなうことができる専門家をこう名づけました。

清々しい夏の晴天の東京で、北海道から九州まで、選りすぐりの16名の精鋭たちが揃いました。評価を普段から使っている方は少数派で、マネジメント支援をおこなっている方が多く、彼らの支援先の業界は介護や芸術、環境教育、震災復興など多岐に渡ります。

CSOネットワーク理事・事務局長の黒田の挨拶で半年間の研修の初日がはじまりました。
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第1回定期研修の1日目の目標は、
『評価について知識を深めるとともに、DEに関する基礎的な理解を身につける』
でした。

はじめに、たっぷりと時間をつかってアイスブレイクをおこない、グループの振り分けもおこないました。4つのグループができて、それぞれに「事務局の人」としてスタッフ(清水、松田、長谷川、千葉)がつきました。


次のレクチャーでは、今田より『ソーシャルイノベーションについて』と題して説明をおこないました。昨今頻繁に使われている「ソーシャルイノベーション」についての定義を確認して、DEはソーシャルイノベーター支援の方法であるということを確認しました。

場面の切り替えに、ちょっとした演出を挟んでいます。ある人物主導のもと、会場で参加者が輪をつくり、一周しました。目を閉じて深呼吸すると、真ん中のテーブルにはなぜか“果物”が出現。

そこから次のレクチャーに入りました。
明治大学の源先生による『評価の基礎』についての講義。
広くて深い評価の世界をぎゅっと2時間で示していただきました。
“評価は、ある評価対象の価値を引き出すもの、価値を見極めることであり、評価には目的があり、その目的によって評価のアプローチは異なる”
と説明をいただき、様々な評価手法、その中でのDEの位置付けもお伝えいただきました。
講義中に
「評価とは社会の改善活動である」(Scriven)
という言葉を紹介いただき、参加者も感銘を受けていたようです。
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ランチ休憩後から、グループごとに参加者の自己紹介の時間をもうけて
それぞれの参加動機とグループ名を語ってもらいました。(それぞれのグループ名と参加者については、別の記事で取り上げたいと思います)

午後のレクチャーの開始前に、またもや謎の人物が登場。
輪になって、今度は先ほどとは逆方向に1周します。
そして目を開けると、今度はテーブルに“野菜”が。

テーブルに野菜を置いたまま、今度は今田が登場して、DEの基礎のレクチャーがはじまりました。名称未設定5.png

“単線系の世界とは違い、複雑な世界をどのように捉えるか”
DEは、このような問題意識とも通じています。

以下の図に示す“DEにおけるアカウンタビリティの考え方”では、
参加者と活発な議論がなされました。
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DEは一見するとつかみどころの少ない考え方であるため、参加者には自身のモヤモヤ度を表現してもらおうと、紙で作った4つのブロックを重ねて今現在のモヤモヤ度を表す“モヤモヤタワー”を建ててもらいました。

その後の全体の質疑応答やグループディスカッションの時間で、参加者がそれぞれ現場経験と照らし合わせながらDEを理解しようとしているのが伝わってきました。

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次のセッションでは、今田よりDEの事例として
(1)Global Alliance for the Future of Food (以下、GA)
(2)カナダのオンタリオ州の教育省
を2つ紹介しました。

(1)GA
 4年前に立ち上がった、複数の「食」をテーマに活動する財団が加入するアライアンスで、現在約25の財団が加盟しています。我々はカナダ訪問中に、DE評価者2名(内部評価者と外部評価者)にインタビューをさせてもらいました。

通常の事業の進め方とは異なり
「中長期計画はつくらず、ミッション、ビジョンも結成直後につくらず、行動指針としてのプリンシプル、行動記録としてのロードマップをつくっている」
という点が象徴的であり、紹介させていただきました。

(2)カナダのオンタリオ州の教育省
 オンタリオ州は、広さが100万平方キロ以上と日本の3倍弱あり、カナダ全人口3360万人の約4割が住む州です。公教育は州に任されており、ほとんどの児童が公立学校に通う中で、DEを使って優れた教育をおこなっていることで有名です。

 こちらは実際にオンタリオ州の教育省に赴き、日本人のDE評価者であるケイコさんにコーディネートいただき、教育省の評価チーム、学校の関係者から直接話を聞いたことを事例としてまとめて伝えしました。(これらの渡米・渡加についても、別ブログでまとめる予定です)

初日の最後には、スタッフの自己紹介もおこないました。

終了後には参加者、講師、スタッフあわせて簡単な懇親会をおこないました。みんなでワイワイと交流して、これからはじめる半年間の研修の英気を養いました。

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