こんにちは。
評価事業コーディネーターの千葉です。
2017年7月、『伴走評価エキスパート』育成事業の事業に携わってから3ヶ月というタイミングで、発展的評価(Developmental Evaluation:DE)が多く実践されているアメリカとカナダに、研修受講と現地視察で訪問してきました。
CSOネットワークからは、代表の今田、研修担当の白石、千葉が、そして後にチームに加わる評価アドバイザーの中谷も参加しました。
7月19日(水)、20日(木)、晴天のワシントンDCの中心街から電車で約30分、郊外のホテルが研修会場でした。主催はTEI(The Evaluators' Institute)、講師は、もちろんDEの唱者であるマイケル・クィン・パットン氏。
事前に講義資料が送られてきていたので、なんとなく資料と著書に目を通し、英語があまりできない私は不安半分・期待半分で会場入りしました。
パットン氏は、事業評価コンサルタントとして50年以上のキャリアがあり、様々な国や機関で仕事をされてきたそうです。1985年に、『実用重視の評価(Utilization-Focused Evaluation)』を出版し、その流れを受けて、2011年に『発展的評価(Developmental Evaluation)』を発表しています。現在は全米評価学会の大会で多くのセッションがDEに関するものになっていたりと、研究・実践ともに積み上がっておりスタンダードになっているようです。パットン氏は、とても熱心な研究者という雰囲気でした。
会場に入ると、(当たり前ですが)様々な人種の方おり、30名ほどの受講者がいました。大小様々な非営利組織で評価を行なっている人、学校関係者などもいました。グループに分かれて、講義+グループディスカッションの形で進みました。研修の内容は、DEの目的や原則の他に、複雑系の理論の話などもありました。
『情熱的なキスを取り巻くシステムは?』
これには、会場から笑いが起こり、議論が白熱しました。パットン氏曰く、マッケグ氏(当法人研修の指南役の一人)の考案とのこと。
▲研修は2日間とも、パットン氏とランチ▲
この時研修を受けて、当時私の頭に引っかかったことをそのまま列挙すると、以下のような感じです。
・DEが出てきた背景として、既存の評価の限界、複雑な現実の世界・課題への対応という問題意識がある
・DEは、明確な進め方や『型』があるわけではない。決められたトレーニングの方法もない。評価の『手法』というよりは、評価をおこなう際の『思想』や『評価者としての在り方』、『評価活動や伴走の仕方』という意味合いが強い
・DEは個別性が非常に高い。評価先団体の状態や、評価者に大きく左右される。属人的なので、日本で普及していくには良い人材の輩出(ロールモデル)と、事例蓄積が必要
・今回の研修は評価の知識と経験があることが前提のようだが、いわゆる『評価手法』の話は全くなかった。伝統的な評価者は、アン・ラーリング(学習棄却)の必要があり、習得が大変という話があった
▲研修では、DEに関するモヤモヤ・疑問を記載▲
評価者として実務を経験してきた中谷さんは、パットン氏のDE研修を受けて、こう総括しています。
“16年前カナダで開催されたパットン先生の研修をきっかけに評価の世界に飛び込みました。長いレポートばかりで誰も読まない・使わない「評価」のイメージを、生き生きとした現場で「使える」ものとして紹介された時、自分の前に新たな道が開けたと実感しました。その後現場で評価の経験を積み多くの壁にぶちあたることもありましたが、今回のDEの研修を受け、これらの壁を軽やかに回避できる「思考の自由」と新たな冒険への「ワクワク感」を得ることができました!”
以上、簡単ですが、ワシントンDCでのDE研修の報告でした。
ここでの学びを、日本の『伴走評価エキスパート』研修に活かしていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。