こんにちは。
CSOネットワークの白石です。
『伴走評価エキスパート』育成事業では発展的評価(Developmental Evaluation: DE)に着目をしてプログラムを作っています。
皆さん。“プログラム”と言う言葉を聞きますと、精緻に練り上げられ設計されたスケジュールとコンテンツ、プログラム終了後もバイブルにしたくなるようなテキスト、毎プログラム参加後に感じられる高揚感と明日への希望、そして更なる知識への渇望等など、様々なことが思い浮かぶのではないでしょうか?
一般的にはその通りなのだと思います。
が、しかし、このプログラムは違います・・・いや、正確には、当初はそのようにするつもりでしたが、実際にはできませんでした。
実際には、スケジュールとコンテンツは練り上げて設計したつもりですが、プログラム実施中であってもその場で必要に応じて改訂しています(“調整”ではありません、“改訂”です)。また、テキストはプログラム参加者の皆さんと作り上げていく仕立てですし、プログラム実施後の参加者の皆さんは“明日からどうしよう”と思い悩み、ついついDEから目を背けたくなるようなモヤモヤ感が余韻として残ります。(この12月に実施した集中研修でようやくその状態から“脱しつつある気がする”という声が聞こえてきました。)
これは一体どういうことなのでしょうか?
パットン氏が提唱したこのDEとは、とても概念的なものです。DEは「正解」の存在しない世界であり、また、「成功」も存在しません。従って、成功に通じる「レシピ」(スキルやフレームワーク等々)も存在しないのです。もちろん、役に立つ考え方や視点は存在しますので、それらは「8つの要素」として提唱されていますが、それらもレシピではありませんし、成功を約束するものではありません。
更にパットン氏は続けます。評価者として常にクライアントを取り巻く環境の変化を読み取り、クライアントにとってベストの(役に立つ)内容を見定めて提供する。そして、その際に評価者がどのような情報を収集し、どのような分析を加え、どのようなメッセージをクライアントに伝えるか。それらは全て、評価者次第であり、そこが評価者としての腕の見せ所である、と。
何とも挑戦的な内容ではありませんか。
そして、何とも“当たり前”の内容ではありませんか?
CSOネットワークとしては、このプログラムを作成するにあたって、必要なメッセージを参加者に伝達するためにはいかなる方法も排除していません。ある意味で「型」が存在しないものを人々に伝えるために、「型」にこだわっているようでは目的が達成できないと感じています。そのようなこともあり、プログラム作成・実施するにあたり、意識して守っていることは1つだけです。それは・・・
「このプログラム自体がDE的であれ」
ということです。まさにdevelopmentalにプログラムを作り、実施しているわけです。プログラム参加者の頭の中を想像し、状態を見定め、そしてそれらに適応した内容を都度、改訂を加えながら提示していく。究極のテーラーメイド!と言えば聞こえは良いですが、それって本当にプログラムとして成立しているの?という声も聞こえてきそうですね。
“このプログラムが異なる参加者を相手に毎度同じ質と量の内容と結果を提供できるか”というと、現時点ではそうではないと思います。それでもどこかに着地点があるのではないか、と常に探求しつつ前進しています。
今年度のプログラムはこの探求の精神にあふれた参加者の方々に恵まれ、大変助けられています。感謝、感謝の気持ちでプログラムも残すところ、あとは2月のみ。プログラム参加者の皆さんとともに、引き続き頑張って参りたいと思います。