今日は、ファンドレイジングスーパースター列伝ツアーの第1弾「寄付と明治神宮」を開催しました。列伝ツアーは、これから毎月1回、寄付巡礼として、日本全国の寄付の聖地を廻っていきます。2月は石川、3月は宮崎の予定です。
ファンドレイジングスーパースター列伝ツアー
睦月編「寄付と明治神宮」日時:2020年1月12日(日)15:30〜16:30
場所:明治神宮(東京)
参加者:1名
それでは、早速、第1弾ツアー「寄付と明治神宮」の開催報告です。
1月の3連休の真ん中の日の午後に開催しました。この時期は、閉門が16時30分ということで、余裕を持って1時間程度は参拝できるように15時30分に明治神宮の大鳥居の前に集合して始まりました。
大鳥居から本殿へまでの道すがら、山田より明治神宮と寄付の歴史について、レクチャーさせてもらいました。自分で説明していても、明治神宮の寄付話は本当に面白い。いろんな話題がてんこ盛りです。
(こんなに多くの方が大鳥居で待っていました。)
No.092【ファンドレイジングスーパースター列伝】明治神宮奉賛会(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/1270 以下の内容は、Wikipediaの内容を中心にまとめたものです。
明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后を祭神とする神社で、1915年(大正4年)に創建することが決まり、1920年(大正9年)11月1日に鎮座祭りが行われました。令和2年の2020年は鎮座百年の記念すべき年になります。
明治神宮鎮座百年大祭のために、次のような奉賛募金が実施されました。
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募金の名称 明治神宮鎮座百年祭記念事業 奉賛募金
募金の目的 明治神宮鎮座百年祭記念事業に要する資金
奉賛金使途 御社殿群御屋根・錺金具等修復、明治神宮ミュージアム等建設
募金募集期間 平成29年〜平成31年12月末日まで
奉賛募金目標 25億円
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http://sukeikai.meijijingu.or.jp/~me1004002/sukeikai/100/(今回の100周年の記念で建設されたミュージアム)
明治45年に明治天皇がお亡くなりなると、明治天皇は京都の伏見桃山陵に葬られましたが、東京に神宮を建設したいとの運動が天皇を崇敬する東京市民から起こったそうです。そのため、東京の有力者による有志委員会が組織されました。その中心メンバーには、あの渋沢栄一もいました。渋沢栄一が出てきたら、やはり「寄付」ですね。
【ファンドレイジングスーパースター列伝】Vol.50 渋沢栄一(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/1196 明治神宮は、寄付、献木、労力奉仕を三本柱とする国民参加で創建されました。もちろん、国の税金も使われたそうですが、この時代から、国家と国民が力をあわせて行うプロジェクトが目につくようになります。
明治神宮は本殿がある内苑と、神宮球場などがある外苑から成り立っています。創建時には、内苑は国が、外苑は国民が造るものとされ、資金は国による税金と国民による寄付となっていました。
明治神宮外苑(通称、神宮外苑)は民間有志により結成された明治神宮奉賛会が広く国民より寄付を募りました。募金額の目標額がありました。東京府では200万円、東京府以外の内地では250万円、外地(樺太・台湾・朝鮮・関東州)からは20万円、国外からは25万円とされていました。日本国内では、募金額が各都府県に割り当てられ、さらに各市町村群へと割り当てがありました。さらに、官吏などは、地位により金額が決まっていたそうです。
当初の目標額は495万円であったが、結果的には想定を大きく上回る約676万円となったそうです(必要額は670万円)。現在のお金にすると、338億円くらいでしょうか。
明治神宮の造営には全国から11,129人もの国民が労力奉仕に自発的に参加したそうです。主に各地の青年団が中心になっていたとのことなので、自分のご先祖様が関わっていたかもしれませんね。
少し前にNHKスペシャル「明治神宮 不思議の森〜100年の大実験〜」が放送されましたが、明治神宮の森は本当にすごい森です。この森をつくるために、100年前に全国から植樹する木を奉納したいと献木が集まりました。北は樺太(サハリン)から南は台湾まで、日本だけではなく満州(中国東北部)朝鮮からも届き、全部で約10万本の木が奉献されました。
山口 智 (2004年6月)「“明治神宮の森」( 一般財団法人民間都市開発推進機構)の論文に詳しく書かれています。
http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u39_02.pdf この論文に記載されているエピソードが感動します。
「全国の役所、学校、団体、個人などから献木の申し込みが殺到し、献木の総数は9万5559本にのぼった。この中には、東京市小学児童からの5270本の献木もあり、また、個人でサカキ、ヒサカキ併せて1万本もの献木をした篤志家もいた一方、乏しい年金をすべて献木のため
に使い、十数本の松を献上した人もいたとのことである。」
その当時の国民の思いを知ることが出来るエピソードですね。
ちなみに、明治神宮の森の造成にあたっては、その当時の有力な学者等がかわかっていましたが、その中に林学の泰斗「本多静六」がいました。本多静六は、明治のこの時代に収入の1/4は慈善事業に寄付をしようと言っていた人です。
No.163【ファンドレイジングスーパースター列伝】本多静六(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/1381 さてさて、明治神宮に祀られている明治天皇と昭憲皇太后も寄付にゆかりの方です。
明治以降、皇室が民間の慈善事業や社会事業に対して提供した資金のことを「下賜金(かしきん)」と言います。この下賜金を得ることで、マッチングファンド的に財閥等からの寄付も集まり、新聞で報道されることで市民からの寄付も集まった。寄付の事例を調べていると、いろいろな慈善事業や社会事業に対して、下賜金が出ていました。
明治天皇発案の事業がこちらです。
No.091【ファンドレイジングスーパースター列伝】恩賜財団済生会(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/1269「明治44年2月11日、明治天皇は、時の内閣総理大臣・桂太郎を御前に召され、「生活苦で医療を受けることができずに困っている人たちを施薬救療(無償で治療すること)によって救おう」と「済生勅語」を発し、お手元金150万円を下賜されました。当時の日本は、欧米列強に伍するため富国強兵策を進め、日清・日露戦争でも勝利しましたが、国民の間では戦争で傷ついたり家の大黒柱を失ったり、失業した人など数多くが貧困にあえいでいました。こうした社会背景を受けて、明治天皇は生活困窮者に対して医療面を中心とした支援を行う団体の創設を提唱されたのです。
御前を下がった桂総理は早速、準備に取りかかり、同年5月30日、天皇陛下からいただいたという意味の「恩賜財団済生会」の創立となりました。」
(恩賜財団済生会のホームページ)
昭憲皇太后も、様々な活動に取り組んでいらっしゃいました。
Vol.350【ファンドレイジングスーパースター列伝】昭憲皇太后(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/1710「昭憲皇太后基金
1912年(明治45年)、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.にて第9回赤十字国際会議が開催された際、国際赤十字に対して皇后が10万円(現在の貨幣価値に換算すれば3億5000万円ともいわれる)を下賜した。赤十字国際委員会はこの資金を基にして昭憲皇太后基金 (Empress Shōken Fund) を創設した。この基金は現在も運用されており、皇后の命日に利子を配分している。」
その後も、明治神宮と寄付のつながりはあります。
太平洋戦争の昭和20年(1945)4月13日の空襲により、本殿をはじめ主要な建物はことごとく灰燼と化してしまいました。昭和21年(1946)に全国各地からの復興資金によって仮殿が建設されました。その後、昭和28年(1953)に「明治神宮復興奉賛会」が結成され、奉賛活動と復興事業が始まり、国内外から寄付が集まり、昭和33年(1958)に再建されました。ここでも寄付の実績がありました。
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いやはや、明治神宮を切り口にいろんな話題が出てきました。
寄付の話は尽きませんね〜。
そんな話をしているとあっという間に、明治神宮の本殿です。
この本殿は戦後復興された2代目の本殿になります。
戦後の復興期、国内外からの寄付で再建され、昨年は明治神宮鎮座百年記念の一環として、屋根の吹き替えを行いました。
実際に寄付の現場でその寄付について語り合うことが出来るのは本当に楽しいですね。
先人の取り組みを実感できます。
寄付の偉大さをあらためて感じました。
その後、ツアーメンバーでゆっくり参拝してきました。
さらに、ファンドレイジング的に見逃せないエピソードを集めてきました。
明治神宮鎮座百年祭記念事業 奉賛募金の芳名板です。
500万円以上、100万円以上、30万円以上、10万円以上の4段にわかれていました。
1000万円を超える協賛金の寄付者はなんと20企業・団体。
最高額は5000万円。
芳名版ははるかかなたまでありました。
明治神宮は本年11月1日に鎮座百年祭を迎えます。10月30日から11月1日の3日間、参道に奉祝献灯「夢鈴」を掲出して 夜間特別参拝を実施することで、こんな参加の形がありました。
明治神宮鎮座百年祭奉祝のあかり「夢鈴(ゆめりん)」
初穂料: 2,000円だそうです。
お正月のお祝いの提灯もありました。
おそらく、提灯1つの値段は決まっていますが、金額に応じて提灯の数が調整できる仕組みになっているようです。これもファンドレイジング的には見逃せません。
献奉清酒菰樽も面白い仕組みですね。
コミュニティ化がしっかりなされているようです。
なにげに、ファンドレイジングスーパースター列伝ツアーはすごい企画ですね。
次回は、2月22日(土)午後に石川県小松市を訪問して、日本最古の募金詐欺事件と呼ばれている、とある事件の現場を見にいきます。
Vol.500【ファンドレイジングスーパースター列伝】日本史上に刻まれる募金詐欺事件簿(日本)
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/2154 Wikipedia:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E7%A5%9E%E5%AE%AE