今回のCANPANセミナーは、助成金に関する学びを深める読書会でした。
2019年5月に、SNSであいちモリコロ基金の成果調査報告書のご紹介をしました。
その時の投稿内容はこちらです。
『ヤバみ。
まさにこの一言に尽きますね。
助成財団の関係者は、なんとか入手して読まれることをお薦めします。
「愛・地球博開催地域社会貢献活動基金」(愛称:あいちモリコロ基金」)の成果調査報告書です。
あいちモリコロ基金とは、2005年の愛・地球博で残った資金約12億9千万円を活用して、10年間で助成金としてNPOを支援するというものです。この助成プログラムが2018年度で終了し、その成果をまとめたものがこの冊子です。
助成金によって、助成先団体や事業がどのように変化したのか、アンケート調査で丁寧にまとめられています。この内容が本当に参考になりまくりです。
助成金の効能を考えるのに役立ちます。こういった振り返りは、以前、中央ろうきんの助成プログラム10周年の冊子で読んだことがありますが、かなり貴重な情報です。助成機関が出すものはわりと単年度の助成事業のそれぞれの成果をまとめたものが多いのが現状です。助成プログラムが個々の団体や事業の発展にどう寄与したのかをまとめているのは貴重なサンプルです。
いやー、勉強になりますね。
素晴らしい冊子を作成していただきました、ボランタリーネイバーズのみなさんに感謝です!!』
この投稿を読んだトークゲストの吉澤さんから、一緒に何かしようというお話があり、報告書を読む会を企画しました。吉澤さんは、その当時、愛・地球博の「地球市民村」のNPO/NGOコーディネーターとして関わっていた方です。当時の愛・地球博と市民活動についてお話をお伺いいたしました。
日本財団CANPAN・NPOフォーラム
あいちモリコロ基金の成果調査報告書を読む会
〜あらためて、助成金の意義・役割・成果・影響を考える〜日 時:2019年6月28日(金)19:00〜21:00
場 所:日本財団ビル2階会議室
対 象:助成金に興味関心がある方ならどなたでも
参加者:4名
主 催:日本財団CANPANプロジェクト
協 力:(一財)非営利組織評価センター
「愛・地球博開催地域社会貢献活動基金」(愛称:あいちモリコロ基金」)の成果調査報告書
★こちらのサイトでPDFで見れます!
https://www.morikorokikin.jp/7_chosa/chosa.html-thumbnail2.jpg)
<読書会の目的>
@あいちモリコロ基金が果たした役割や、生み出した成果について知る。
A一つの助成プログラムが地域社会やNPOセクターにとって、どのような影響があったのか、役割を果たしたのか、成果を生み出したのかを学ぶ。
B助成金を受けた個々の団体にとって、助成金がどのようなことをもたらしたのかを学ぶ。
C助成プログラムの成果をどのように測るのかを学ぶ。
D助成金によって生み出されたネガティブな影響やインパクトについても学ぶ。
Eこれらを通じて、助成プログラムの構造や、助成金の功罪について、理解を深める。
Fあわせて、助成金申請書等でも活用されてきている、非営利組織評価センターの組織評価制度を理解する。
<内容>
今回は関係者も含めて4名という、少人数による勉強会だったので、みんなでいろいろ話をしながら進めていきました。
1.あいちモリコロ基金の解説(20分)
レクチャー:CANPAN山田
・あいちモリコロ基金の概要
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信託財産
⾦銭 1,293,296,430 円(当初)
給付⽅式
10 年間の取り崩し⽅式による助成⾦給付
助成対象者
愛知県及び隣接県(岐⾩県・三重県・静岡県・⻑野県)の 5 名以上のグループ⼜は団体(隣接県の場合は、愛知県内の団体等との共催の場合に限る)。
助成対象活動
愛・地球博の理念を継承発展させるに相応しい市⺠の⾃発的な参加に基づく社会貢献活動
助成の種類
「初期活動助成」、「展開期活動助成」、「⼤規模活動助成」の 3 種。
助成額
「初期活動助成」 1 件 30 万円を上限として年間 100 件程度
「展開期活動助成」1 件 100 万円を上限として年間 50 件程度
「⼤規模活動助成」1 件 500 万円を上限とし年間 7〜8 件程度
総額 1 億 2 千万円程度
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・団体の規模や成長ステージにあわせた助成プログラムの種類になっている。
・地域限定のもので、助成金500万円というのはかなり珍しい。
・審査基準に、「愛・地球博理念の継承性」というのがあるのも万博関連事業らしい。
(1)愛・地球博理念の継承性
ア. 持続可能な社会の創造度
イ. 21 世紀社会モデル性
@ ⼈類や地域共通の課題の存在を認識し解決を図る取り組みか
A 未来の世代に良好な地球環境や地域社会をもたらす取り組みか
B ⽬的を共有する誰もが参加できる開かれた組織による取り組みか
C 愛・地球博を萌芽とし、⼜は同博を機に⼀層促進した事業か
・助成プログラム全体に関する報告書なので、個別の事業の成果ではなく、助成制度の成果をまとめたものとなっている。助成金終了後、事業や団体がどのように発展していったのか、事例を知るにはとても参考になる。
・助成金が終わった後に、どのように事業を展開していくか、団体を成長させていくかの事例の宝庫である。
2.あらためて、愛・地球博とは?(10分)
話題提供:吉澤卓さん
【吉澤卓さんのプロフィール】
ファシリテーター、コミュニティデザイナーとして活動。学生の国際交流プログラム実施に10代後半から関わる。その後も「主体的な参画」の機会やプロセス、場を作ることをテーマに、2005年の愛知万博や横浜開港150周年事業などの市民参加イベントの企画運営ファシリテートを行う。近年はマンションコミュニティ形成事業をデペロッパーとともに企画運営している。ESD持続可能な開発のための教育にも関わってきたほか、アクティブラーニングのツールであるワールドピースゲームの日本普及にも参画。
【吉澤さんによる愛知万博雑感】
2004年春から2006年夏まで、博覧会協会から広告代理店に委託された協会主催事業「地球市民村」のNPO/NGOコーディネーターとして、1万人の市民社会関係者、100あまりのNPO/NGOが博覧会に参加するための事務局業務に従事した。会期中は博覧会史上初のNPO/NGOの公式参加ということで通常の博覧会運営にも増したワンダーな毎日が続いたほか、地球市民村以外にも多数展開された市民参加事業の関係者とも交流を深める機会ともなった。自身はその後2010年の生物多様性条約国締結会議における市民活動の紹介ブースの運営も受託するなど、現在まで中部エリアの市民社会とのご縁が続いている。
吉澤さんから、愛知万博が開催される前の話題(反対運動など)からお話しいただき、愛知万博における市民の参加・対話、そして、地球市民村の役割や意義、愛知万博が中部地方の市民活動にもたらした影響などをお話しいただきました。
万博による自然環境の開発に対する反対運動も含めて、市民による対話が様々な形で愛知万博に関係し、それらの経験が市民活動の発展に影響してきたというお話はとても参考になりました。
万博そのものが、「開発型」から「環境保全型」へとコンセプトが変わった時代という話題も参考になりました。
市民地球村の件については、Webでも情報があったので、参考まで、引用します。
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地球市民村
http://www.expo2005.or.jp/jp/C0/C3/C3.8/C3.8.3/index.htmlコンセプト
あなたにはじめてのNPO/NGO。
あなたもいっしょに見つけてください。
今日の社会を、明日へ。その次の世代へ。
新しくなりながら続く社会、持続可能な社会のために、
わたしひとりに、まずできること。
万博史上初めて、「NPO/NGO」が集う、愛・地球博「地球市民村」。
国内・海外で活躍する「NPO/NGO」が集う地球市民村。毎月5ユニット、期間中全30ユニットおよそ100団体が出展します。
パビリオンについて
地球市民村は2つのゾーンから構成されています。既存の施設を活用した「出会いのゾーン」は、地球市民村の意義やコンセプトを伝えるテーマ展示、協賛企業のパートナーシップブース、交流ホールなどがあります。「体験と交流のゾーン」は屋外ゾーンで、「竹林」と、「茶畑」で、アジアの雰囲気が感じられる環境です。さまざまな催し物が行われる「大地の広場」を中心に、NPO/NGOが出展する5つのパビリオンとワークショップホール、2つの茶堂が周囲に配置され集落のような空間が展開されています。
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3.読書ワーク
この後は、フリーディスカッションで話をしていきました。
いろいろな話題が出てきて面白かったです。
・助成金
・愛知の市民活動
・愛知の中間支援組織
・自治体、経済団体、NPOの協働
・休眠預金
・地域ごとの市民活動の生態系
・市民活動としての万博やオリンピックへの関り方
・あいちモリコロ基金のもたらした成果や影響
・期間限定の助成プログラムの意義
最後に、参考サイトです。
愛・地球博
http://www.expo2005.or.jp/jp/2005年日本国際博覧会のWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/2005%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A