8月31日に内閣府が「令和2年度 特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書」を公開しました。平成29年度版以来の3年ぶりの報告書になります。
とりあえず、読んでみて、印象や気になったことをピックアップしました。
令和2年度 特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書(内閣府)
https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/npojittai-chousa/2020npojittai-chousa【調査概要】
令和元年(2019年)3月末時点における全国のNPO法人(52,406法人)のうち、7,347法人を対象 →回答数4,005法人
認証法人: 6,201法人(標本調査)/51,260法人(母数) 回答数3,220法人
認定・特例認定法人:1,146法人(全数調査) 回答数785法人
調査期間 2021年1月21日〜3月10日
アンケートは、2021年1月1日時点の状況で回答
以下の設問は、前事業年度の実績で回答(つまり新型コロナの影響が出る前の数字)
・ボランティア数
・会費別の明細
・役職員の実人数及び年間総人件費
・受入寄附
クロス分析のExcelデータが、政府統計の総合窓口e-Statに掲載されている。
項目によって、地域別、収益規模別、代表の年代別、活動分野別のクロス分析となっている。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00100005&tstat=000001114435&cycle=0&tclass1=000001157646&tclass2val=0【報告書を読んでの感想や印象など】
1.法人の概要
(3)代表者の年代
前回の調査(平成29年度)と比較して、大きな数字の変化(5%をめど)があったものをピックアップ
平成29年度 令和2年度
認証法人 60歳代 35.0% 30.7% ▼4.7%
70歳代 28.5% 36.5% △8.0%
認定法人 60歳代 34.9% 30.9% ▼4.0%
70歳代 36.5% 42.0% △5.5%
2.活動状況
(2)事業活動に携わるボランティア数
「参加者数×参加者の活動日数」なので資料を読む時には注意が必要。
(3)ボランティアに対する還元の有無
ボランティアマネジメントとして参考になる(謝金や交通費の支給を考える際の参考として)。
(4)抱える課題
平成29年度より大きな変化があるもの
平成29年度 令和2年度
後継者の不足
認証法人 38.3% 43.8% △5.5%
認定法人 40.6% 46.2% △5.2%
収入源の多様化
認証法人 50.6% 42.9% ▼7.7%
認定法人 67.4% 56.4% ▼11.0%
法人の事業運営力の向上
認証法人 35.8% 30.8% ▼5.0%
認定法人 36.8% 34.0% ▼2.8%
(5)企業等との連携
平成29年度より大きな変化があるもの
平成29年度 令和2年度
企業との共同事業・共同活動・共同開発
認証法人 41.8% 37.8% ▼4.0%
認定法人 46.9% 44.1% ▼2.8%
企業等の社員のプロボノ等による技術支援
認証法人 19.7% 15.8% ▼3.9%
認定法人 31.6% 30.4% ▼1.2%
企業等及び企業等の社員からの寄附の受け入れ
認証法人 28.5% 24.0% ▼4.5%
認定法人 74.7% 69.6% ▼5.1%
企業等からの助成金の申請・受入れ
認証法人 42.1% 36.2% ▼5.9%
認定法人 59.0% 58.0% ▼1.0%
(6)企業との連携の分野
「組織運営・ガバナンス」の項目が思いの他、ポイントが高い印象。
認証法人17.4% 認定法人23.7%
3.経理・情報開示とデジタル・オンライン化の状況
(2)デジタル・オンラインツールの使用状況
オンラインでの活動提供を行っている法人は、認証法人では13.1%、認定法人では30.1%。
文書作成ソフトを使用している団体より、ホームページやブログを開設している法人の方が多い。
4.主たる収入源等について
(1)主たる収入源
認定法人はやはり主な収入源として寄附金にしている法人が多い。
(3)借入額
認証法人の借入額の最大値は50億円、最小値は2千円。
(4)借入先
平成29年度より大きな変化があるもの
平成29年度 令和2年度
個人
認証法人 58.5% 58.0% ▼0.5%
認定法人 65.3% 55.2% ▼10.1%
政府系金融機関
認証法人 25.1% 30.0% △4.9%
認定法人 25.6% 36.0% △9.4%
信用組合
認証法人 14.8% 15.9% △1.1%
認定法人 14.6% 19.2% △4.6%
(5)会費別の明細
会員数
個人会員の社員(いわゆる正社員)が0人法人がある。団体会員で10名以上いる可能性は否定できないが、法令違反になっている。逆に多いところは社員総会を開催するのが大変。
個人会員の社員以外(賛助会員など)の最大値について、平成29年度は認証法人4500人から令和2年度は37,000人、認定法人は7,648人から16,521人になっている。
団体会員の社員以外(賛助会員など)の最大値については、令和29年度の認定法人は741団体から22,687団体になっている。
社員からの会費収入について、35億6300万円の団体がある。
会費収入は0円の団体を含まれているので、会費を集めている法人の実態はわかりにくい。
1会員当たりの会費収入について、中央値は妥当な数字のように思えるが、最大値は想定外の数値になっている。
(7)特定非営利活動事業の収益・費用の規模
アンケート調査ではなく、行政記録情報より取得した決算書類から分析している。
中央値の数字はいろいろな比較の情報に使える。
財源別構造について、アンケート結果の「主たる収入源」との違いがある。
会費、寄附金、補助金、助成金、事業収益の規模の項目は要チェック。
(8)役職員の実人数及び年間総人件費
役員が0人の法人がある。理事3名以上、監事1名以上なので、最低でも役員は4名が最低人数。3名以下の法人は、認証法人で12.0%350団体、認定法人で3.3%25団体いる。
NPO法では、報酬を受ける役員は役員総数の1/3以内でなければいけないという規定(NPO法第2条第2項1号)があるが、役員報酬を得る役員の最大値は24人なので、72人以上の役員が必要。但し、役員であっても、職員として他の職員と同じ基準で支給されるものや、役員に交通費相当額を支払う日当などは「役員報酬」とならないが、それらが含まれる可能性はある。
職員数について、雇用なのか、最近多い業務委託が含まれるのか不明。
※寄附や株式取得の項目については、これから確認する予定。
さらに、この報告書を読む会を企画しました。
ご都合がよろしければぜひご参加ください。
「特定非営利活動法人に関する実態調査」の報告書を読む会
〜自団体の組織運営に、NPO支援にどう活用するか!?〜
日 時:2021年9月27日(月)19:00〜20:30
場 所:Zoom(オンライン)
対 象:NPOに興味関心がある方ならどなたでも
参加条件:@事前に報告書を読む。
A報告書をみんなで読み合う会なので、基本的に声出し参加。
定 員:30名
参加費:無料(要事前申し込み)
主 催:(一財)非営利組織評価センター
助 成:(公財)日本財団
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