【NPOの監事ハンドブック】6.非営利組織評価センター(JCNE)の組織評価を活用しよう! Vol.13(NPOの監事に就任している人編) [2022年03月19日(Sat)]
6.非営利組織評価センター(JCNE)の組織評価を活用しよう!
監事監査について、JCNEの組織評価制度が活用できます。例えば、JCNEの評価基準を参考に業務監査を行うのも一つの方法です。また、ガバナンスの改善を目指して、監事として、団体に組織評価の受診を進めるケースも少しずつ出てきています。非常勤の監事ではNPOの組織運営の改善に取り組む時間が限られていますので、こういった外部のリソースを活用することも一つの方法です。 ベーシック評価基準 https://jcne.or.jp/catalog/ アドバンス評価基準(グッドガバナンス認証) https://jcne.or.jp/wp-content/themes/jcne2/assets/gg-list.pdf また、各評価基準で監事の役割に関する基準もあります。基準の解説文も参考になりますので、抜粋してご紹介します。 ◎ベーシックガバナンスチェック 基準6 監事は監査を行っている。 評価団体向けガイドブックより引用 <評価項目概説・判断の指針> 運営・執行機能をけん制する監督機能が適正に働いていることを示すことが重要です。 監事は法人の業務および会計について監査を行います。業務監査は、運営が法令および定款に則って運営されているかと業務の遂行状況を確認します。会計監査は、会計が適切に行われているかと共に法人の経営状況を確認します。 「監査報告書」には実施した監査内容・指摘事項・業務執行状況と財産の状況が適正に報告されているかを記載します。 監査は、監事による監査 → 監査結果の理事会への報告 → それを踏まえた理事会における決算承認 → 総会における決算承認の時系列になっています。 <つまずきやすいポイント> 【法人共通】「監査報告書」の記載が十分でない 監事の職務として「理事の業務執行の状況を監査すること」と定められています(特活法 第18 条、法人法 第99 条)。会計監査だけではなく、業務監査についても「監査報告書」に明記するようにしてください。 【法人共通】監事が理事会に出席していない 業務監査を行うため、監事は理事会に出席するようにしてください。 一般法人においては、「監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない」と定められています(法人法 第101 条)。また、理事同様、監事にもその任務を怠ったときは法人に対する損害賠償責任があります(法人法 第111 条)。 ◎グッドガバナンス認証(アドバンス評価) 領域:ガバナンス 基準24 監事は、監査責任や善管注意義務を果たすために、理事会に出席し理事の職務執行や財産の状況を監視している。 評価団体向けガイドブックより引用 <グッドガバナンスの考え方> 非営利組織がゆえに、ガバナンスの観点から監事の監査責任は重大です。理事会に出席し、理事の職務執行や財務財産の状況を監視している必要があります。また、善管注意義務(善良な管理者の注意義務)があります。年に 1 回、監事監査として定められた日に参加し、事業報告書や決算資料を確認することだけが監事の役割や責任ではありません。年間を通じて、理事会への参加や事務局からの情報共有をもとに、業務・会計の両面から組織運営や事業活動のチェックを行う必要があります。 この基準では、監事の理事会への出欠状況や情報の共有方法などをもとに、理事の職務執行や財産の状況に対する監事の監査状況を確認します。それにより、監事の監査責任や善管注意義務の状況を評価します。 監事の役割はガバナンスの根幹に関わるものです。今回の自己評価の結果の共有とあわせて、あらためて監査責任や善管注意義務について、監事に説明とお願いをすることをお薦めします。 なお、監事が業務を実施しているという話しをお聞きすることがあります。監事はその役割から理事や職員を兼職することができません。同様に、業務を委託している税理士や社労士に監事をお願いしているケースがありますが、好ましい状況ではなく、 JCNE としてはガバナンスが果たされていないと判断します。監事は監査をする役職であり、事業を客観的にみることができる立場を保持しなければなりません。 <自己評価ガイド> Q.理事会のうち、少なくとも決算理事会など重要な理事会に監事は出席していますか?年間を通じての監事の理事会への出席はどのようになっていますか? Q.監事は、業務監査をしていますか ? 監事が団体イベントや事業所など現場を見る機会はありますか? Q.理事会で、監事が業務執行の状況や財産の状況について、理事に意見を述べることはありますか? <事例> ・年3 回開催される理事会の他に、メールで 2 カ月に一度、事業の進捗や予算の執行状況を理事・監事に報告している。 ・監事監査の後に、監事から指摘事項をまとめた意見書をもらっている。 <根拠書類> ・監査報告書、監事の意見書 ・理事会議事録、監事への情報共有のためのメール |