【開催報告】寄付を語ろう。キフカッション in 高崎 2019年11月1日(金)夜・群馬県高崎市 [2019年11月02日(Sat)]
ここ数年、様々な寄付の仕方が生まれてきました。「寄付」も少しだけ身近になりました。その一方で、寄付は日本には根付かないと言われることも。
さて、どちらが本当なのでしょうか。 寄付の研究に余念のない日本財団CANPAN山田が時代とともに変化している寄付のカタチや、これからの寄付について、事例をあげながら情報提供をしました。そして、これからの寄付の可能性について、参加者みんなで語り合った一夜となりました。 ◎キフカッションとは? 寄付について、気軽にディスカッションを行い、寄付に関する様々な情報を共有できる場、それが「キフカッション」(寄付+ディスカッション)。全国各地で開催されていますが、群馬では初開催! 寄付を語ろう。キフカッション in 高崎 日 時:2019年11月1日(金)18:30〜21:00 ※飲みながら食べながら、ゆるやかに 場 所:高崎ワインバール https://takasaki-wine-bar.owst.jp/ 対 象:寄付について語りたい人、学びたい人ならどなたでも 参加者:7名 主 催:キフカッション・プロジェクト 今回は、群馬県のNPO中間支援組織の方や、NPO法人ターサ・エデュケーションのファンドレイジング部のメンバー、栃木・足利のNPO法人コムラボの方のみなさんにご参加いただき、楽しく開催することができました。 ◎NPO法人ターサ・エデュケーション →https://tasa-education.jimdo.com/ ◎NPO法人コムラボ →https://www.com-labo.com/ 【プログラム】 1)山田から情報提供「寄付のこれまで」 「か・き・く・け・こ」で学ぶ、日本の寄付の歴史 山田泰久(NPO法人CANPANセンター 代表理事) 2018年1月1日より1年間、毎日、寄付集めの偉人・事例を紹介するブログ記事「ファンドレイジングスーパースター列伝」を更新。2019年は週に3記事更新。FRJ2019の時には、466記事になっている予定。その他、この1年間、毎週「寄付」「募金」「チャリティ」のキーワードでGoogle検索をかけて、寄付に関する事例収集を行っている。 https://blog.canpan.info/cpforum/ か:勧進と下賜金 き:キリスト教と義援金 く:クラウドファンディング け:憲法第八十九条 こ:講とコミュニティ か:勧進と下賜金 勧進(かんじん) →主に僧や山伏が寺院や橋の建設、灌漑施設の整備などの目的のために寄付を集めること。勧進によってつくられたものとしては奈良の大仏が有名。近鉄奈良駅前にある銅像の「行基」がその勧進の責任者だった。弁慶・義経の「勧進帳」はこの勧進から来ている。 下賜金(かしきん) →明治以降、皇室が民間の慈善事業や社会事業に対して提供した資金のこと。この下賜金を得ることで、マッチングファンド的に財閥等からの寄付も集まり、新聞で報道されることで市民からの寄付も集まった。 き:キリスト教と義援金 キリスト教 →戦国時代のキリシタン大名によるハンセン病救済や孤児救済などの慈善活動がキリスト教的慈善事業の走り。明治以降、キリスト教関係者による福祉活動が活発となる。岡山孤児院を創設し児童福祉の父と呼ばれる石井十次が代表例。ライオン創業者の小林富次郎も熱心なキリスト教信者で日本初の寄付付き商品といわれている「慈善券付き歯磨き粉」を販売し、全国各地の福祉施設へ寄付を行っていた。 義援金 →藩制度だった江戸時代は全国的な報道手段がなかったため、大規模な災害があっても藩内で対応していた。明治21(1888)年に会津磐梯山で大噴火があり、新聞による全国報道と義援金募集によって、全国各地から義援金が集まった。災害時に日本全国から義援金が集まるという寄付行動のきっかけとなった。 く:クラウドファンディング →2011年以降、日本にもいくつかのクラウドファンディングのプラットフォームが立ち上がり、20〜40代を中心にオンラインによる寄付行動が積極的にされるようになった。インターネットで気軽に寄付が出来るというオンライン寄付の普及のきっかけになった。また、プロジェクトがあれば誰もが寄付を集める側になれるということはエポックメイキングな出来事であった。 け:憲法第八十九条 →憲法第八十九条といえば、宗教施設への参拝のことで話題になるが、実は寄付に関してもとても影響力のある憲法条文である。 『公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。』 戦後、公の支配に属しない民間の福祉事業や社会事業は国からの支援がなくなり、これを解決するために赤い羽根の共同募金が始まった。その後、福祉関連の法律が出来、国の事業としての福祉事業が始まった。 こ:講とコミュニティ 講 →江戸時代に広く地域に定着したコミュニティ集団の一種。地域に根付いた集団ではあるが、地域コミュニティとは違う階層で結成されたもので、アソシエーションに近い存在である。もともとは、仏教の教えを学ぶための集団が講であったが、そこから派生して、伊勢講(伊勢神宮)や富士講(富士山信仰)などの宗教的な意味合いのものから、頼母子講や無尽講などの相互扶助を主体とした金融講などが生まれいる。相互扶助の仕組みが助け合いのお金として一種の寄付と捉えられている。 コミュニティ →日本の寄付の原型はコミュニティへの投資である。奈良・平安時代には、全国各地で辻説法をする勧進聖がお金を集め、地域コミュニティに必要な橋を作り、ため池を整備してきた。現在でいうところの公共工事のようなものである。それらを地域の関係者がお金を出し合い、整備してきた。 戦国時代以降は都市部の豪商や地方の庄屋などが地域で橋を作り、用水路を整備してきた。まさにコミュニティ投資である。その他、各地にあった寺子屋も地域コミュニティに関わる民間の教育投資であった。明治以降も小学校の整備やその運営には地域住民の負担が必要であり、多くの地域で住民による寄付がなされてきた。 2)グループトーク&全体共有 グループトークでは、初めの寄付やこれまでにしてよかった寄付、寄付集めの経験などについて、みんなで体験談やアイデアを情報交換しました。 初めての寄付は、学校での赤い羽根募金、もしくは阪神大震災や東日本大震災の義援金がきっかけになっていることが多いですね。赤い羽根の募金があることは手軽な寄付機会ということでとても重要な機会となっています。一方で、小学生にとってはどのように使われていたのかを理解することが難しかったようです。 また、赤い羽根の共同募金以外の最初の寄付はなかなか思い出せないという意見もありました。もっと寄付を体験できる機会が増えるとよいのではと感じたエピソードでした。 東日本大震災で被害にあった同級生を応援するために、同窓会でカンパを募って支援をしたというお話をお聞きしました。こういった個人間の寄付も大事な寄付文化です。 NPO法人ターサ・エデュケーションの方からは具体的なファンドレイジングのお話もしていただき、ミニ作戦会議の様相を呈していました。 地域のNPO法人が継続的に寄付を集めていく方法はまだまだ開拓すべきことが多いようです。 地域の中で、地域の団体に寄付などの資金が循環していく仕組みは本当に大事ですね。 【参加者のみなさんの感想シート】 ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。 |