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CSRレポートの今 1 [2009年06月29日(Mon)]
■CSRレポートの形態は変化■

各企業が毎年発行している「CSRレポート」、皆さんの会社でも発行されていらっしゃるでしょうか?
下記のサイトにて、2008年度として発行された東証一部上場企業各社のCSRレポートの情報開示度の一覧を公開しています。

■CANPAN CSR プラスデータベース■
http://canpan.info/csr_list_search.do

大企業が中心ではありますが、今回はこれを元に各社が発行した2008年度発行のCSRレポートの実態を見ていきたいと思います。

まず、CSRレポートを発行している企業の絶対数は伸びていると言えます。
必ずしも伸び率として単純に比較できるものではありませんが、CSRレポートの送付依頼を東証一部全社である約1700社に送り、送ってきてくれる企業数が伸びているのは一つの目安となります。

伸び率は、ここ三年間でそれぞれ2006年度399冊、2007年度498冊、2008年度580冊と前年度をそれぞれ20%ほど上回る伸び率で推移しています。これだけを見ると企業のCSRレポート作成熱はまだ上向きと言えます。

そして、レポートの形態については、紙から環境に配慮し、PDF化した上でウェブでの公開を進める企業が増えています。

その一方で、やはりPR媒体としてCSRレポートをとらえていることもあって、紙媒体を完全に廃止することはできないようです。

紙媒体はPDFのダイジェスト版にするなど工夫をされていますが、結局は二種類作ることになっているわけで、制作コストを考えると、それだけのメリットがあるのかは疑問が残ります。

また、2006年に改定された国際的なガイドラインの一つ、GRIの第三版への各社の対応は、2007年度では混乱が見られましたが2008年度ではそれぞれの企業でこのガイドラインとどう向き合うかの方向性がはっきりしてきた感があります。

こういったCSRレポート全体の概況を踏まえ、その中身は昨年度に比べどのように変化してきたでしょうか?



■レポートの中身は変わらず■

昨年、私は今のままのCSRレポートなら不要という記事を書きました。その思いは今年も変わらずに続いています。

例えば、皆さんが大金持ちの投資家だとします。そして、資産を増やすよりも社会に良いことをしている企業の株を長期保有することを目的として株を買いたいと思いつつ、でも損はしたくないと考えているとします。

今、社会的な仕組みとして、CSRに企業が取り組める基盤づくりが必要とされています。つまり、もっと社会がそれらの取り組みをサポートしている状態が必要なのですが、その一番効果的な方法として、業績にあまり左右されず、企業の株を長期保有することが挙げられます。

その視点を持った投資家がこれらの情報を得ようとした場合、各社のCSRレポートは非常に重要な意味を持つはずですが、これらを読んでもどの企業に投資すべきかの判断が非常に困難なのです。

つまり、CSRレポートはその企業が社会から応援を得るためのツールとしては脆弱であるということであり、言葉を変えると会社紹介のPR媒体、パンフレット以上のものではないと言えます。

そして、逆に純粋なPR媒体と考えるならば一般の人には難解であり、こちらの目的も果たしきれないという中途半端な立ち位置という点は昨年度と変わりがありません。

このようなCSRレポートを出し続ける意味を私は感じません。せっかく各社で工夫を凝らすのであれば、もっと目的意識の強い、それぞれの企業が社会に何を伝えたいのかを明確にしたCSRレポートを出す必要があります。

あるいは完全に割り切ってコストもミニマムにして本当に事実を淡々と記載したレポートにしまうほうがいいと思いますが、今のところ各社はその妥協点を探りながらの暗中模索状態という感じです。

次回は、さらにレポートの内容を掘り下げつつ、課題の抽出やその打開策について書いてみたいと思います。

☆ここがポイント☆
1.CSRレポートを作成する企業数は増加傾向
2.CSRレポートの形態は紙からデジタルへシフト
3.CSRレポートの作成目的はいまだ曖昧
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