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1月26日コンサート出演者メッセージ [2011年01月12日(Wed)]

【M野 与志男 / はまの よしお


親愛なる皆様、

新年明けましておめでとうございます。新年中の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
国内外にて厳しい経済環境が続いていますが、日本が今年こそトンネルを抜け更なる飛躍を遂げることを心底願っております。
(私ども芸術家の経済危機は決して今に始まったものではないのですが)


この度は日本財団様より『ランチタイム・コンサート』にての演奏に関してお声がけいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

世界各国がショパンならびにシューマンの生誕200年の記念催事で盛り上がった昨年は惜しくも過ぎてしまいましたので、折角の機会に、かねてから関心のあった、ショパンやシューマンの名曲とはひと味違う選曲による演奏会を開催できないかと考えました。


〈北欧のかすかな憂鬱、北欧の小さな幸せ〉というプログラムを構成するに至った経緯について、少々お話しさせてください。

エドヴァード・グリーグ(ノルウェー)、ピョートル・イリイッチ・チャイコフスキー(ロシア)、エルッキ=スヴェン・トゥール、アルヴォ・ペルト(ともにエストニアを拠点に活動中)は皆、欧州北部あるいは北東部の国々を拠点とした作曲家で、フェレンツ・リスト(ハンガリー)は仲間外れかと思いきや、超絶技巧練習曲『雪かき』は極寒のサンクトペテルブルグの印象をもとに作曲されたと伝えられています。
グリーグの『ホルベルグ組曲』は古典的な様式で書かれていますが、実はこの曲、ノルウェー文学の祖であり〈北のモリエール〉とも呼ばれたルートヴィグ・ホルベルグ(1684〜1754)へのオマージュなのです。対してトゥールのピアノ・ソナタには、意外にもプログレッシヴ・ロックを彷彿させる要素が散りばめられています。


皆様は〈北欧〉との言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
極寒、雄大な自然、サーモン、フィヨルド、木造の家屋、犬ぞり、トナカイ、サンタクロース、ムーミン、北欧の素敵な女性、ABBA。先端音楽と並んで住空間等の北欧デザインも評価が高く、家具大手IKEAは日本でも人気を誇ります。僕と同じくクルマがお好きな方であれば「ボルボ」と「サーブ」の文字が真っ先に浮かぶでしょう。


北欧のアイデンティティーには様々な視点から迫ることができますが、その核心とは〈幾千年ものあいだ風雨に鍛えられた、強い精神性〉ではないでしょうか。

「厳しい気候」とは極めて凡庸な表現ですが、冷静に見てみますと、人々の日常は厳しい気候に包まれているわけで、そもそも厳しい気候のなか育った人々の世界観はこの厳しい気候の上に成り立っています。
強い精神性無くしては、かの地では生き延びられないことでしょう。

しかし強い精神性を持ち合わせているとはいえ、誰しも憂鬱そして感情のアンビヴァレンスからは逃れられません。

作品ひとつひとつにおいて描き出されているのは、歴史という長いタイムスパンであったり一瞬に凝縮された感情の動きであったり様々ですが、それらには、ひとつの世界観のもと多くの対照的な感情が交錯しています。

強い精神性に支えられて感情の森を歩み続けるとき、誰が何を言おうと、究極的な目標は〈幸せ〉ではないでしょうか。
誰もが個人的な〈幸せ〉を切願して歩み続けます。

一見して何ら変わりないようであっても、予期せぬ瞬間に既に〈幸せ〉がそこに訪れているのかも知れません...

一曲一曲を通して、深い精神世界の描出を試みます。


選曲をしているうちに次第に曲数が増えてしまいましたが、これらを全て、ストーリーのある一体のプログラムとしてお聴きいただければ幸いです。
中でも僕が特に注目しているのはエストニアの新進作曲家、エルッキ=スヴェン・トゥールです。同氏の〈サウンド〉へのこだわりは誰をも唸らせるもので、皆様にもご興味をお持ちいただけると確信しています。


それでは1月26日水曜日の当日にお待ち申し上げております。
どうぞお誘い合わせの上お越しください!
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