今回のテーマは、「震災復興支援とコミュニティカフェ」。
はじめに、直接被災地に行って、避難所や仮設住宅の軒先でパラソルと椅子を置いたカフェを開いているNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン(東京都新宿区)理事長の牧野史子さんが、阪神・淡路大震災発生時にいた西宮市での体験から話し始めました。「被災者は災害復興(恒久)住宅に移るまで、住み慣れた地域、避難所、仮設住宅と、コミュニティを3回(以上)喪失する。プライベートな空間や暮らしの場を得た先に、孤独感や不安感にさいなまれる」。このため、高齢者の「心のケア」としての訪問活動を始め、それがパラソル喫茶という交流の場に発展していったそうです。
東日本大震災では、5月5日と6月5日に宮城県東松島市の避難所や仮設住宅でパラソル喫茶を開き、周辺ではにわかづくりのコンサートが行われ、ゴーヤを植えたプランターを被災者にプレゼントしました。
牧野さんは「パラソル喫茶は小さな仮設でも開催でき、ボランティアの顔ぶれにより、内容を自由にコーディネートできる。それが、住民の特技を生かし、段々主体的なコミュニティの取り組みになっていく。戸別訪問の基地的役割も果たせる」と話しています。

牧野史子さん
続いて、常設型地域の茶の間「うちの実家」(新潟市東区)代表の河田珪子さんが、自らの茶の間での支援活動を話しました。7年前の7.13水害では、要介護者5名を避難所まで迎えに行き、茶の間に9日間、無償で泊めました。通常の利用者も、着替えを提供するなど協力しました。役所や病院への送迎、自宅に戻った人に、支援物資を運び込んだり、炊き出し支援を行ったそうです。
同年の中越地震の際は、福島市の「ふらーっと茶の間・方木田」(武田美恵子代表)から託された支援物資を、避難所のニーズを聞いて、直接届けに行きました。また、残ったものや新たに集めたものをバザーで現金化し、気分転換にうちの実家に来てもらうためのバスの貸し切り代や高速料金、ガソリン代、雪下ろしをする人へのお茶代を支援したそうです。
中越地震で受けた支援をお返ししようと、東日本大震災では「ふらーっと茶の間・方木田を通じて知った、福島県飯舘村についての本の販売支援を行い、バザーも実施。約60万円を寄付している」と話していました。

河田珪子さん