コラム「人を育てるのではなく、成長する機会と環境をつくる」
[2015年09月17日(Thu)]

ここ最近の気づきですが、”人を育てよう”というマインドを捨てようと思うようになりました。
年に100回以上のセミナーや研修の講師として立っていますが、私たちからノウハウや型をお伝えしてインプットすることは、実は学びの要素の半分ほどに過ぎないのだと感じています。
セミナーという非日常の場で、組織の課題について立ち止まって思考し、他の参加者とのグループワークでのアウトプットを通して気づきを得る。この”共成長・学び合い”こそが、非常に重要な残りの半分です。
講師からのインプットを”問い・刺激”として、参加者による”答え・解決策”がアウトプットされて、ようやく変化のきっかけが生まれます。
”珠玉のノウハウを伝える”ことではなく、”変化・成長が起きる学びの機会をつくる”ことが、セミナーの講師や運営者のミッションなのだと思います。
今までCRファクトリーでインターンを経験した卒業生たちのことを考えても、実は”育てた”という感覚はほとんどありません。”よく成長したなぁ”としみじみとした思いはあります。
彼らは自ら主体的にマイプロジェクトにのめり込み、多くのハードルを乗り越えながら成果を出し、その結果として大きく成長していきました。
私たちがカリキュラムを用意して彼らを”育てた”のではなく、彼らがCRファクトリーという環境を選びとってその中で”成長した”のですね。
そして彼らとの相互作用の中で、組織や経営者も共に成長できたという感覚です。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という格言があります。
飢えている人に魚を与えることはその場限りに過ぎず、釣り方という技術こそが自立を助けるというような意味合いですね。
思えば私自身、師と仰ぐ人たちに大きな海の前に連れてきてもらい、釣り方を教わることなく、”さあ、好きなだけ魚を取ってきなさい”と送り出されたものでした。そして魚が取れない時にはともに飢えを我慢し、私がなんとか釣り方を編み出して魚を手に入れた時には心の底から喜んでくれるのです。
そうしてチャレンジしてきたことが、いま自分の血肉になっているということを強く実感しています。
”人を育てよう”というマインド・姿勢には限界があるのだと思います。相手が持つ大きな可能性の、すべてを想像しきることはできないからです。
人の成長を望む時には、その助けとなる機会と環境をつくり、そして相手を”信じる”ことこそを心がけようと思います。
(事業部長 五井渕 利明)
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