土石流被害の街へ川を綱渡り [2009年01月19日(Mon)]
タフヌからベラルカザール(Belalcazar) という街に徒歩で行きました。 街は川向こうにあるのですが、 昨年の土石流 で道が断片的に寸断されているので、現在、車は通る事ができません。更に橋も流されたので、川向こうへ渡る為には、臨時的に設けられた綱を渡るか、泳ぐしか方法がないという状態です。 私たちは、険しい山道(現在は安全ですが、1年前はゲリラが居たという!)を歩き、川を綱渡りし、6時間かかってベラルカザールに到着しました。 道中は、激しい土石流で壊された家、流されて来た大きな岩など、痕が残っていました。 ベラルカザールへの目的は、タフヌのメディアセンターの中心的存在として活動してくれている ヘオディエルの用事でした。彼は1年前から「リスクマネジメント」をテーマに通信大学のコースをとり、勉強を続けています。ベラルカザールで、 リスクマネジメントに関する会議が3日間開かれるというので、参加しに行ったのです。会議の参加者は、 国連からの2人を含む約50人でした。ヘオディエルは、サポーターさんから寄付してもらったカメラと三脚を持参、私たちと一緒に取材を行いました。 ちょうどこの日、政府がベラルカザールの住民を全員、別な場所へ移住させると正式発表しました。ここは、土石流の被害にあった場所の1つで、川沿いの小学校は半壊していました。 住民全員の移動に関しては複雑な問題があります。 ちなみにテレビニュースがあったこの日、その情報を知っている住民は殆どいませんでした。政府と役所だけが、その事を議論しており、住民はそっちのけというわけです。火山噴火という非常事態ですから、移住場所を提供するのは良い事のように見えますが、問題はそう簡単ではありません。 移住先がまだ決まっていないのです。「なんで?政府が所有している安全な公共の場所を短期的に使えばいいんじゃないの?」と私は思ったのですが、現実は、住民が移動するかわりに、政府は、その土地を国のものにしようとしているそうなんです。つまり、住民にとっては移住したら最後、故郷の土地を奪われるという事です。政府は、ずっと前から、なんとか理由を作って、先住民族の土地を国有にし、海外の事業者に売ってビジネスにしようとしているそうです。 先住民族が暮らしている山々は、様々な鉱物があります。火山噴火によって、移住させる理由ができたので政府にとっては好都合というわけです。日本で育った私には理解出来ない事が毎日のように起こるので、少々、頭が混乱しています。 |