
2012年度 地球っ子教室・連続講座第5回
「漢字大好きなこどもたちに」 ☆日本語の底力をつける漢字学習☆
講師:関口明子先生 (国際日本語普及協会 地域日本語教育担当理事)

今回の講座では、先生ご自身が、
これまでの活動の中で必要性を感じて、
1から作り上げてきた漢字教材シリーズ「かんじだいすき」を中心に、
「日本語の底力をつける漢字学習」についてお話をうかがいました。

漢字の読み書きは、
外国からきた子どもたちにとって、とても負担感のあるもの。
私たちの教室でも
「国語の教科書」を読んでみよう、と言っただけで、
いやな顔をする子どもたちがたくさんいます。
どういう手順を追っていったら、
子どもたちが楽しく漢字を勉強することができるのだろう、
という問題にいつもぶつかります。
まずそのプロセスを整理していただきました。
@生活言語の語彙量をふやす。学校生活語彙ではない日常生活語彙
たとえば、お風呂、てるてる坊主、おむすび…は、
日本人の家庭では普通に何度も出てくる言葉ですが、
外国につながる子どもたちの家庭は多様で、
そういう言葉の積み上げがほぼゼロのことも多いようです。
これを増やすにはどうしたらよいのか。
方法として、
「継続的な読み聞かせ」がよいそうです。
「それが自力読みになり、読書好きになっていけば、飛躍的に語彙量が増えます」
A構文力をつけ、学習言語の語彙量を増やす。 聞く・話す・読む力から書く力へ導く。
漢字と絵がワンセットになっているカードを使って
トランプのババ抜きのようなゲームをしたり、
漢字を見て文を作ったりするのもよい、
と具体的に紹介していただきました。
文体の使い分けをできるようにすることも大切で
(書きことばと話しことば、丁寧なことばと友だちことば)
そのための方法としては
説明と発表の機会を増やすことが有効ということでした。
B漢字学習と教科語彙を関連させ、学習言語の語彙量を増やす。 このプロセスの到達目標は
「学校の勉強についていける日本語の底力」にあるので、
教科に出てくる語彙量を配当漢字と同時に学んでいきます。
印象に残ったことばとして
「漢字は文章の中で使われて初めて活きる」
「ふつう漢字で書かれている言葉は漢字で見せたい」
(少し難しいものはひらがなをふればよい)
同様に
「カタカナはカタカナ語で把握させる」
などがありました。
文字に対する先生のセンスが感じられました。
実際には、型破りによって印象付けるため
巷には色々な標記があふれているのですが、
そうでなくても複雑な日本語の文字システムなので、
基本をきっちり伝えることはとても大事なことだと思いました。

かんじだいすきシリーズは、
子どもたちの漢字学習のプロセスをていねいに追っていける
とてもよい教材だと思います。
その成り立ちや活用について学べたことで、
私たちも漢字学習についての理解を深めることができました。
次回はいよいよ最終回です!
地球っ子教室 研修担当 押野
