240909 ピアノえほん、導電パターン断線か(バイパス配線)
[2024年09月15日(Sun)]
電池は完全に放電し切って、液漏れ寸前
この ピアノ絵本は、電池交換をしたことがないのでは?
入っていた電池は完全に放電し切って、液漏れ寸前だった。
【概要】
「子どもが赤ちゃんで、何でも舐める時期に、ピアノ絵本もたくさん舐めてしまい、
そこから調子が悪くなって、放置していました。」との問診。
症状:音が全くでない
治療:単4電池2本共、容量不足
新品マンガン電池に交換し音声が復活
低い「シ」キーだけ、反応なし
フィルムに印刷された配線が断線
細い銅線でバイパス、代替SWを作成
退院:新幹線と同時退院のため、待機中
【精密検査】
音声は出るようになったが、低い「シ」だけ音が出ない。ピアノ絵本の治療を続行。
分解点検でラバー接点清掃、断線チェックするも、故障原因が分からない。
絵本からピアノを外すとき、台紙が破けた
速乾ボンドで修復、台紙のボール紙は大丈夫
左5番目の接点、導電パターンを目視点検
SW接点を短絡しても無反応、断線個所が不明
無反応はTP番号A4ライン、基板No.SWE-047A-V1.2
コネクタからSWまでの抵抗は無限大、断線個所は不明
くし形も印刷導体でどこにも銅箔がない、半田付け困難
【治療方針の検討】
おもちゃクリニックゆりかご では、こんな状況は初めての症例。
この検査結果を、SNSで情報発信して広くコメントを募集しつつ、
ここは冷静になって、全国の先進おもちゃ病院の診療記録から、ヒントを探す。
導電ゴムスイッチの良否は、黒丸ゴムの直径方向の両端で抵抗値を測定、
1KΩ未満なので「良」と判定し、念のため表面を4B鉛筆でなぞっておく。
シール基板は、技術志向の先輩ドクターからアイディアを拝借、感謝する。
フィルム印刷の配線に見切りを付け、バイパス配線でSW改造する方針とするが、
手術前に、お客様に経過説明と治療方針の同意を得ることが、当クリニックのルール。
担当医、「スイッチ配線のどこかで断線していますが、その場所が確定できません。
フィルムに導電性のインクで印刷されている、非常に治療が難しい配線なのです。
今回、当クリニックでは、スイッチまでの配線を細い銅線でバイパスする方針で、
治療を進めます。なので、もう1週間ほど入院延長が必要です。
精一杯頑張りますので、どうぞお任せくださいませ。」と連絡すると、
お客さま、「ピアノ絵本の治療ありがとうございます。調子が悪くなったときは
低い シ だけとは特に気がつきませんでした。難しい治療をありがとうございます。
新幹線もどうぞよろしくお願いいたします。」との返答。(新幹線は順番待ち)