
ハト時計が 鳴かない、軟質ギヤ歯欠け(修理不能)[
2025年03月31日(Mon)]
今回は、恥ずかしながら 治療失敗を報告する
※分解状況は細かく写真記録していたが、
いざ治療途中の状況は(両手を使って)
集中治療に没頭していたため取り損ねた
【経緯と概要】
初診担当医からセカンドオピニオンで、故障原因を究明し治療方針を探る
軟質ギヤの1歯欠け、当クリニックの技術では根本治療は困難と判断した
さらに組戻しの過程で、接点オン動作が出来なくなった。誠に申し訳ない
症状:ハトの鳴き方がギコチない、すぐ止まる
分銅や葉っぱ振り子などの飾りは紛失
治療:日本製の時計ユニットは正常と確認
ゴム素材の2番ギヤの1歯欠けを発見
特殊ギヤのため代替部品は入手困難
差し歯も全く耐久性なく治療失敗
退院:3月31日、修理不能のまま退院済
【分解点検】
時計の針を正午の位置に揃えてから
分針は、軸先端の袋ナットを緩める
木箱の中で時計ユニットを裏返す
上部のピアノ線、スイッチに注意
嵌合爪をコジって正面側カバーを外す
振り子やフイゴを動かす機構が見える
リンク棒を外し、四角柱の音源を外す
電源は単1電池1本、電極接点は良好
時計ユニットの半透明カバーを外す
左右の2番ギヤは軟質で特殊な形状
モーター部の2番ギヤに歯欠け発見
回転直径8.6mmで23歯、M0.37相当
【診断】
ゴム素材のギヤが劣化で脆くなり、1歯が割れ欠けたものと推測
特殊部品で代替部品の入手は困難、同型の中古品は高価すぎるため
当クリニックの技術では、根本治療は困難と診断せざるを得ない
【治療失敗】
さらに組戻し過程で接点オン動作が出来なくなり、誠に申し訳ない
お客さまには上記の診療状況を説明して、ご理解いただきたい
ただし、時計ユニットは正常を確認済み
アンティーク調の掛け時計として、今後もご愛用いただければ幸い
タグ:
おもちゃ病院
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ドクター修行から独立して立ち上げた、おもちゃクリニックゆりかご では、毎月の医局会でも技術志向の情報共有に努めている。
ステッピングモーターからの2番ギヤも、柔軟なゴム素材で歯が長い独特の形状にご注目あれ。
この鳩時計のメーカー(リズム時計工業)は現シチズンに吸収されたが、40年近く経過してもなお正確な時を刻んでいることに、驚きと同時に感心する。