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おもちゃ修理「電子カルテ」
おもちゃドクターWの診療状況をPDFで保管、公開。
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ゆりかご日記
ハト時計が 鳴かない、軟質ギヤ歯欠け(修理不能)[ 2025年03月31日(Mon)]

今回は、恥ずかしながら 治療失敗を報告する

※分解状況は細かく写真記録していたが、
いざ治療途中の状況は(両手を使って)
集中治療に没頭していたため取り損ねた


【経緯と概要】

初診担当医からセカンドオピニオンで、故障原因を究明し治療方針を探る
軟質ギヤの1歯欠け、当クリニックの技術では根本治療は困難と判断した
さらに組戻しの過程で、接点オン動作が出来なくなった。誠に申し訳ない

クオーツ ハト時計 リズム時計工業
裏面に「4MJ224-B」のラベル表示
250316_HotoDOkei (1).JPEG

症状:ハトの鳴き方がギコチない、すぐ止まる
   分銅や葉っぱ振り子などの飾りは紛失
治療:日本製の時計ユニットは正常と確認
   ゴム素材の2番ギヤの1歯欠けを発見
   特殊ギヤのため代替部品は入手困難
   差し歯も全く耐久性なく治療失敗
退院:3月31日、修理不能のまま退院済

【分解点検】

時計の針を正午の位置に揃えてから
分針は、軸先端の袋ナットを緩める
250316_HotoDOkei (3).JPEG

木箱の中で時計ユニットを裏返す
上部のピアノ線、スイッチに注意
250316_HotoDOkei (4).JPEG

嵌合爪をコジって正面側カバーを外す
振り子やフイゴを動かす機構が見える
250316_HotoDOkei (5).JPEG

リンク棒を外し、四角柱の音源を外す
電源は単1電池1本、電極接点は良好
250316_HotoDOkei (6).JPEG

時計ユニットの半透明カバーを外す
左右の2番ギヤは軟質で特殊な形状
250316_HotoDOkei (7).JPEG

モーター部の2番ギヤに歯欠け発見
回転直径8.6mmで23歯、M0.37相当
250316_HotoDOkei (8).JPEG


【診断】

ゴム素材のギヤが劣化で脆くなり、1歯が割れ欠けたものと推測
特殊部品で代替部品の入手は困難、同型の中古品は高価すぎるため
当クリニックの技術では、根本治療は困難と診断せざるを得ない

【治療失敗】

欠けた歯の位置にステンレス線で差し歯
をしたが耐久性が全くなく、治療は失敗
250316_HotoDOkei (9).JPEG

さらに組戻し過程で接点オン動作が出来なくなり、誠に申し訳ない
お客さまには上記の診療状況を説明して、ご理解いただきたい

ただし、時計ユニットは正常を確認済み
アンティーク調の掛け時計として、今後もご愛用いただければ幸い

この記事のURL
https://blog.canpan.info/charts/archive/475
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コメント
治療失敗例を公開するのは勇気が要るが、おもちゃドクター自身への「喝!」の意味もあり。
ドクター修行から独立して立ち上げた、おもちゃクリニックゆりかご では、毎月の医局会でも技術志向の情報共有に努めている。
ステッピングモーターからの2番ギヤも、柔軟なゴム素材で歯が長い独特の形状にご注目あれ。
この鳩時計のメーカー(リズム時計工業)は現シチズンに吸収されたが、40年近く経過してもなお正確な時を刻んでいることに、驚きと同時に感心する。
Posted by:ToyDr.わたなべ  at 2025年04月01日(Tue) 06:00