240927 バズライトイヤー、しゃべらない(センサー位置調整)
[2024年10月12日(Sat)]
バスライトイヤー参上!! でも、決まり文句のセリフが?
おもちゃ修理工房みやま 定期開院日の前日に、常設「ゆりかご」を巡回して、
お声がけすると、保育園の人気者・バズライトイヤー参上。傾けても音が出ない。
ハンダ付け直して治療完了と思いきや、おもちゃ本体に組み込むと動作しない。
2回も同じことを繰り返し、ようやく根本原因を突き止めたたという報告。
小さめのバズライトイヤー、
本来は傾けると音がでるはず
背中の翼は飾り、開かない構造
分解には、△ドライバーが必要
スピーカや基板を本体から取り出す
LED等はなく、音声再生のみの仕様
接点を清掃して動作確認、起動時音声が鳴った!
「私の名はバズライトイヤーだ、敵ではない。」
組み立て時の状況を観察すると、傾斜スイッチが本体背面に干渉することを突き止めた。
これで組み戻しても、「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」と次のセリフに進むようになった。
長期入院だったが、完治退院できて良かった。
【技術情報】 おもちゃドクター向け
何回も動作確認を繰り返したこともあり、電池容量不足気味で元気がなくなった。
単4電池2本とも新品電池に交換したら、大きな声で元気になった。
頻繁に遊ぶと意外と電池消耗は早いので、お客さまには半年ごとの電池点検をお願いする。
おもちゃドクター的には、このおもちゃの省電力設計に注目して記録を残しておく。
この小さなバズライトイヤーは、機械的なスライドスイッチがない。
背面の電源ボタンを押すと起動音声が鳴り、その後は傾斜スイッチのみで操作する。
遊び終わった後は、再び電源ボタンを押すと傾斜スイッチには反応しなくなる。
おもちゃ箱に戻す際に、ガタガタと動いても全然平気なのだ。
(以下は一つの推測だが、退院前にその裏付けを取っておくべきだった。
この辺は当方の問診や調査不足が悔やまれる。)
単純に電源を切るのではなく、いわゆるディープスリープ状態に移行しているようだ。
おそらく、電源を切り忘れても一定時間経過後に自動的にスリープする仕様であろう。
このソフト対応の省電力仕様で、スライドスイッチのコスト削減を実現している。
(後日、先輩ドクターからアドバイスあり。コメント欄もご参照あれ)
当方の技術研修ネタで、AVR電子オルゴール等でのマイコン換装も勉強中だが、特に、
CVDセンスやCdS制御などADC入力のプロジェクトでは、電圧低下に要注意。
(せっかくの省電力も遊び終えた後にスリープから起き上がってしまっては、逆効果。)
マイコンのVCCが低下してくると、無操作でも誤入力検知して不意に音声再生を開始することがあるが、私はお客さまに
「突然、自動開始する状態になったら、それは電池交換のサインです。」と釈明している。
先輩のお言葉をお借りして、技術情報を補足します。
先輩ドクター「単に、オフ状態では傾斜SWを無視して
いるだけじゃないですか。ディープスリープと操作仕様
とは関連していないように思います。
このマイコンにディープスリープとディープではないスリー
プの2種類のスリープがあるのかどうかは知りませんが、一
般には、両者の違いは省電力性とWakeupの迅速性です。
このおもちゃの場合はWakeupの迅速性は不要ですから
省電力性を採るのがフツウです。
オン状態でも音を出していないときはスリープして省電力状
態にする設計はフツウにやるでしょう。このときWakeu
pのトリガとしては電源ボタンと傾斜SWの両方を有効にし
ておき、Wakeupした後でオン/オフ状態をチェックし
て、傾斜SWの有効/無効を判断することになります。
もう一つの検討要点としては、傾斜SWは特定の角度で固定
されると、検知電流が流れっ放しになります。そのため、オ
フ状態では傾斜SWへの電源を切らなければなりません。こ
の事情はオン状態でも発生しますが、一定時間経過後にオー
トパワーオフ(オフ状態へ遷移)する設計であれば問題を免
れますね。」
なるほど、納得です。電源スイッチを省略するとき、
こんな配慮も含めて、設計されているのですね!!
大変勉強になりました、ありがとうございました。