
240611 はじめてのずかん 900 絵を読み取らない(断線修理)[
2024年06月11日(Tue)]
こちらは、講談社のはじめてのずかん900シリーズ
似たようなタッチペンが、ほぼ同時入院して、5月28日の医局会で集中治療
【受付・問診】
起動音やセリフは正常だが、ずかんを読み取らない
メーカーさんに相談してみたがダメでしたとのこと
分解してペン先センサーの半田付けを点検しよう、あれ?
コネクタと基板の接続部に赤いカバーが溶着されてる
ペン先の黒いモールドも接着固定で、分解困難の作り
タッチペンは単独でも購入できることから、そもそも修理は想定外なのであろう
他おもちゃ病院の診療記録でも、コネクターピンの断線が多くみられ、スイッチ不良やスピーカ配線の断線なども報告されている
別のタッチペンでは、センサー部を清掃して完治した直後なので、今回も是非やってみたい
しかし黒いモールドが接着固定で、分解時に破損してしまうリスクが大きいので、今回は、ペン先の穴からLEDや受光レンズを軽く清掃する程度にしておこう
医局会では時間がないため ToyDr.わたなべ が預り、じっくりと腰を据えて診療継続する
【検査・治療】
お客さまとは電子メールで随時連絡、リモート問診や診療状況の経過報告が簡単にできる
写真画像で経過報告しつつ、今後の治療方針を(リスクも含めて)説明して同意を得る
赤外線センサー部の細ピン径は 0.39mm
酸化金属皮膜抵抗のリード足と 同じ直径
センサー部がなくても起動メッセージは正常
ソケットコネクタと基板との導通を、確認中
半田ごてで赤いカバーの爪を起こし持ち上げて外す
作業性を良くするため、電極板も一旦は外しておく
見事に、4本のピンが脱落している
ペン先からの衝撃を受けて金属疲労
細いリード線でバイパス配線したいが
まずは軽く練習してから本番に臨もう
配線が必要なのは、この4本だけで良い
練習の成果が出てるのではないかと思う
狭いコネクタ部を避けTPランドに接続
赤のVDD配線は長めにせねばなりません
センサー部の赤外線LED発光を確認
ずかんにも反応しますので、一安心!
あとは、このリード線のまま、上手くペン先に収めて復旧したいと思うが、ペン先に衝撃が加わっても耐えられるような何某かの再発防止対策が必須である
ここでも、お客さまに経過報告して、もうしばらくの猶予をご了承いただいた
【再発防止策】
故障原因はコネクタピン破断であったが、このおもちゃの構造的な問題点が露呈した格好
ペン先からの衝撃を受けたセンサーピンの金属疲労が限界に達したことが根本原因である
対症療法で動作回復したが、また壊れないように再発防止対策で補強部材を追加する
ほかにも、スピーカ配線が切れる寸前なので、半田付け直し
センサー固定用の袴(はかま)制作、ボール紙でサイズ確認中
0.8mm厚アルミ板なら切削加工が容易、全て手作業
治療したリード配線のまま本体への収まりを確認
アルミ板とセンサー部はホットボンドで固定する
【参考情報】
ネット上にも多くの治療情報があるが、今回のように補強部材を追加した例はなかった。
正常動作する基板について、テストポイントの電圧を測定したので、ご参考までに。
電極端子間 3.1V(単4電池2本)
U3出力 3.3V(レギュレータ)
VDD33 3.3V(基板VDD)→センサーへ
A5 3.3V(COBのVCC)
P10 0.2V
P11 2.7V
P12 0.9V
P13 0.4V
P14 3.0V
P15 0.4V
SCK 3.3V →センサーへ
SDA 0.0V →センサーへ
今回の治療に当たり、各地のおもちゃ病院でも同様の症状で治療した報告が多数あり
中でも特に参考となった先進おもちゃ病院の診療記録を、感謝と敬意をもって紹介する
ありがとうございました
浜松とんかちのおもちゃ修理記録 - DOJI3のブログは、コチラ
はじめてのずかん900 - ドクターNとKの診療室は、コチラ
koheiのおもちゃ修理記録は、コチラ
回路解析 - おもちゃ病院 新津(新潟)は、コチラ
【
G 学習おもちゃ、知育おもちゃの最新記事】
もちろん、蚊蜻蛉さまのブログは、いつも参考にさせていただいております。
感謝申し上げます。ありがとうございます。
私の半田付け技術では、ソケットピンの再ハンダ付けは困難と考えての苦肉の策です。
アンパンマンのことばずかん最新タッチペンは、4芯フラットケーブルに改良されていますので、講談社さまも見習って欲しいですね。