
231214 アシカくんも大喜び わなげしようよ!(老朽グリス固化)[
2023年12月16日(Sat)]
アシカくんも大喜び わなげしようよ! 1998年製
2023年12月14日、保育園からの訪問要請で受付、入院治療する。
25年前のおもちゃは、どんなメカ構造になっているのか、興味深い。
症状:全く動かない、音が鳴らない
単2電池2本とも容量不足、液漏れ
治療:電極端子、電源スイッチ、接点洗浄
モーターグリス固化、分解整備で、
ブラシは再利用、次回は要交換
10歯ピニオンギヤ割れ、交換
老朽グリス除去、セラグリス少し塗布
勢いよく動き出し、1Aヒューズ溶断、
応急処置で、2A新品ヒューズに更新
退院:12月16日、能生保育園にお届け退院済
【問診・検査】
「孫に遊ばせたいと久しぶりに箱から出したが、動かなくなっていたもの。
昔、娘が喜んで遊んだ思い出があり、何とか動くようになったら嬉しい。」
おもちゃDrは、こういう話を聞くと治療意欲が湧いてくる。
以下、全体状況の確認、分解して精密点検、故障原因の特定の順に進めていく。
そして、最善の治療方針を決定、手術治療、リハビリ動作確認後、退院となる。
具体的な診療状況を写真で報告する。(画像クリックで拡大)
1998年、MADE IN THAILAND
外装箱からメーカー名はトミー

単2×2本とも電池容量不足、要交換
液漏れ跡は、洗浄研磨してピカピカに



電池BOXの配線確認、電源SWは接点洗浄
白い円筒の中には鳴き笛が仕込まれている


台座とアシカ本体を分離、胴体を左右に
分解して、電源はモーター直結だと判明


RE140型モーターの端子間抵抗を測定
抵抗値は無限大、つまり導通がない?

他に電子基板などは無いので、モーターが導通していないことが故障原因と思われる。
【精密検査】
アシカの上半身は、簡単に分離できる

ギヤBOXを分解して、モーターとギヤを点検する

モーター回転軸の、10歯ピニオンギヤがヒビ割れている

モーター内部では、緑のグリスが完全に固化
削り落として接点洗浄で、導通回復するか?

幸い、ブラシ損耗も少なく再利用できる程度
金属面をピカピカに研磨洗浄して、導通回復

新品の接点グリス塗布で、モーターが復活! 元気よく回り出した。
ピニオンギヤは新品に交換、回転トルクも十分なことを確認。
【リハビリ動作確認】
精密検査の過程で、ギヤ交換とモーター整備を完了。
元の姿に組み戻して本来の動作が確認できれば、治療完了だが、、、。
実は、ココからが大変だった。(治療に集中して写真はない)
見てのとおり、たった1個のモーターで全てのギミックを動かす構造なので、予想以上にギヤの咬み合わせはシビアな精度が要求される。
例えば、モーター軸が垂直に当たらないと次段のウォームギヤを回せず、さらにアシカの首振り動作を生み出す特殊形状のギヤも、中間のウォームギヤと正確に咬み合っていないと上手く動かない。
何度もやり直しながら、やっとこさ組み戻したところで、動作確認。
最初は勢いよく動き出したものの、動作音が大きくてビックリするほど。
しばらく動いたら、ヒューズ溶断でピタッと止まってしまった。
既存ギヤの老朽グリスも除去清掃してセラグリスを少量塗布する。
切れたヒューズは1Aだったが、応急処置で2Aヒューズに更新。
何回か遊んでいるうちに、動作音は大きいものの安定するようになった。
これにて手術成功、晴れて完治退院とする。
【余談】
言わずと知れた「プラレール」の開発会社は、当時、「技術のトミー」と言われ、業界最大の開発陣を擁した会社だったが、2006年に同業の「タカラ」と合併し、タカラトミーとなっている。
モーターが1個で多彩な動きを表現すると言えば、おもちゃドクターなら、例のメーカーの犬のぬいぐるみを連想するだろうか。
こんなメカ構造を作り出してきた、往年の日本メーカーには敬意を表する。
このおもちゃに限らず、日頃から遊んであげることが一番の長持ちの秘訣ではないだろうか。
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