231110 ボクは運転手!おでかけドライバーハンドル(各部破損)[2023年11月13日(Mon)]
ボクは運転手! おでかけドライバーハンドル
2023年11月10日、のう診療所受付
【概要】
使い込まれてはいるが、とても愛着があるとのこと、
そうと聴けば、おもちゃDrの治療も、気合が入るのは当然。
いつもお世話になっている、能生保育園から持ち込まれたもの。
初診担当医の「固定と回転の両立が厄介」との情報で、さあ主治医は頭をひねる。
症状:ハンドル部分が取れた
治療:申告ないが、始動SWがグラグラ
ウィンカーレバーが紛失している
ハンドル部は固定用補助板を自作
始動SWは正常機能を確認
ウィンカーは接点も折損したため
代わりに別途ハザードSWを増設
サプライズプレゼントとする
退院:11月13日、保育園にお届け退院済
【問診・症状分析】
以下、診療状況を手順を追って(写真多めで)報告する。
1歳児クラスの園児が大好きな車のハンドル
取れてしまって危ないので、遊ばせられない
付け根部分のプラ部品の割れが認められるが
割れた破片がなく、固定されていた状況不明
単にハンドルを固定すると、回らなくなってしまう
ハンドルが回り、かつ、抜けないようにするには?
4つの爪のうち2つが割れ、2つは正常のように見える。
割れている2つの爪はどんな形状だったか、欠片もないので不明。
割れた2つの爪が引っかかっていれば、抜けてこないのでは?
正常な2つはどのような役割をしているのであろうか?
爪にこだわらず発想転換が必要かも知れないが、独断で判断しない方が無難。
慎重を期して、セカンド・オピニオンの手順を踏むこととする。
毎月の医局会での臨床研修で、ドクター間の連携医療体制は確立されている。
相談の上、精密検査から主治医をバトンタッチ。
【精密検査】
全体状況を把握のうえ治療方針を立てる
始動SWのバネが弾力性が弱くグラグラ
既存シールの剥がれ具合から使用感が漂う
ウィンカー部分は、そっくり紛失している
ハンドル中心のクラクションは正常なので
この機能は残しつつ、治療方針を検討する
【治療方針】
ハンドルを持ち上げたときに、おもちゃ全体の重量がかかるので、外側に向けて出ていた黄色素材の爪突起部が破損したらしい。(割れた部分が白く見える)
内側の緑色円筒は、外向きの爪が内側に逃げないように、あとから挿入したものと思われる。
折れた部分の厚みが1ミリにも満たないので、ピンを打ち込んでの爪復元は困難と判断。
爪復元に代えて、固定用補助板を試作
ハンドル回転に干渉しないで縛り付け
試作案は失敗、クラクションが鳴らせない
中心に穴を開けた補助板を型紙で作り直す
上の写真で点線が補助板の位置、ツバ部は切除
これでクラクション軸に干渉しないことを確認
レバーはないが、ウィンカーの接点を点検
接触不良、原因は接点根元の半田クラック
修復を試みたが、半田直し作業途中で
板状接点が根元から折損してしまった
【治療完了】
厚さ1.2mmのプラ板で固定用補助板を自作
ハンドル回転、クラクション操作に干渉なし
直径0.45mmのステンレス線で縛り
結び目はクラクションの中で接着固定
レバー紛失したウィンカーは復元修理せず
別途、ハザードSWを増設してプレゼント
金曜日に入院預り、月曜日にお届け退院済
保育園からは、驚きと感謝のお言葉を頂戴
【診療後記】
まず、患者さまの基本情報・修理情報をできるだけ集めること。
そして、目の前のおもちゃをよく観察すると、意外な発見もある。
例えば今回のウィンカーSWは、実物のSW配線から追ってみると、
左右接点は共通で、ハザード点滅のトリガとなっていることが判明。
おもちゃドクターにとっては、別途SW増設のヒントとなった。
今回は、おもちゃクリニックゆりかご の誇る連携医療体制が功を奏して、早期退院につながった。
お客さまの望む治療はどこまでなのか、納得診療の大切さも感じられた症例だった。
治癒率向上を目指して既存機能の全回復をする選択肢もあったが、お客さまのニーズや全体状況から見て 冷静な判断 ができたものと、自分自身も納得できる治療だった。

