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ゆりかご日記
27MHz バトルフロント戦車 S−5(修理不能)[2021年04月11日(Sun)]
2020年9月19日「のう病院」に、
でっかい戦車ラジコンが来院
(※追記あり:プロトコル分析の報告)

新品電池でも、全く動かないとのこと。
箱の状態を見るとかなり古いものらしい。
(画像クリックで拡大)
TANK_22.jpg

症状:新品電池を入れても全く動かない
治療:1/12スケール、27MHzトイラジコンを診察
   送信機の操作レバーに応じて電波発信するが
   本体側の受信回路から復調信号が出力されない
   先進病院の紹介・転院も困難な状況下で
   残念だが、当方では修理不能と判断
退院:2021年4月11日、ご自宅にお届け退院済


【入院経過】地元のおもちゃ病院が長期休院

お客さまのお話では、「孫に動く姿を見せてあげたい。
本体のバッテリーが腐食していたので、9.6Vの充電式電池を
ネットで購入して交換したがやっぱり動かない。
マニュアルにある大阪の製造会社は倒産しているようで連絡がつかない。
最寄りの「上越おもちゃ病院」は休院中。困り果ててしまった。
時間がかかってもいいので治療してほしい。」ということでした。

おもちゃクリニック ゆりかご では、難民おもちゃを救済すべく入院受付け。


【診察状況】分解点検

購入後、ずっと未開封(棚に飾っていた)だった
送信機から、それなりに電波は出ていることを確認
TANK_00.jpg

お孫さん(5歳)に遊ばせるには、まだ早過ぎる感がある
対象年齢(弾も発射できるため)18歳以上(説明書を参照)
TANK_10.jpg

このエキスパート版は、前後進+左右のほか
砲塔の左右回転+発射の、7操作ができる仕様
TANK_04.jpg


【治療方針】修理不能と判断

送信機は、出力波形を簡易に音声変換して可聴確認
ICは、TX-6、クリスタルは、27.145MHzの刻印
まだプロトコル分析していないが、正常と仮定する
TANK_16.jpg

受信側基板まで電源は上がっているが、動作しない
ICは、RX-6、ディスクリート部品でリレーを駆動
なぜか、受信回路からの復調出力が出て来ない
TANK_06.jpg

他メーカー製(類似型番)のデータシートを発見
ピン配列や標準回路など、詳細解析の参考になる
TX6B_RX6B.jpg



【退院】再び飾り物に

当クリニックでは、トイラジコンの治療経験がほとんどなく、必要な機材や技術力不足のため、残念ながら修理不能と判断
これを機に今後の課題として前向きに捉え、実践的な技術習得に努めたい

先進病院への転院や、近隣おもちゃ病院との連携治療も検討したが、コロナ禍のため断念せざるを得なかった
お客さまにもご理解をいただき、再び(古民家の陳列棚の定位置に)
大切に飾っていただけることとなり、半年ぶりに退院済


【プロトコル分析】'21/4/12 追加記入して更新済

今回の診察過程で送信機のエンコード出力を音声変換したデータが残されているので、退院後ではあるが(悔しい気持ちを払拭するため)、プロトコル分析に挑戦する
先進病院の症例を参照し、今回は参考データシート(RX-6B/TX-6B)と照合確認


送信機のレバーを、例えば「BACK」側に倒したとき、
同じデータ文字列が、途切れなく繰り返し送出される
開始コード(5bit)+データコード(9)+パリティコード(1)+終了コード(1)
TX6_BACK.jpg

開始=11110、データ=F B T R L F1 N N F2に対応、
パリティ=データとの計を偶数に調整、終了=0である
よってデータ文字列は、BACK時=1111001000000010、
FORWARD=1111010000000010と確認(多少雑音あり)
TX6_FORWARD.jpg

他の操作も同様に、参考データシートと照合確認する
LEFTレバー操作時=1111000001000010
TX6_LEFT.jpg

RIGHT時=1111000010000010、(以下省略)
エンコード周波数は500Hz(データシート参照)
TX6_RIGHT.jpg


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コメント
Dr.大泉院長さま、ご指導ありがとうございます。
2件続きの修理不能で少々落ち込んでいたところ「喝!」を入れていただき、感謝申し上げます。
手順前後は正にそのとおりで、受信回路は無意識にスルーしてました。
以前にも別のおもちゃで、超再生の解析が壁になって頓挫したことがトラウマになっています。それこそ、この壁を早急に払拭する必要がありますね。今後ともよろしくお願いいたします。
実は、
修理不能で退院する当日の朝、それでもと思い、IC型番でネット検索し参考データシートを発見しました。お客さまのご自宅に伺うまでは入院延長も考えてはいたのですが、「古民家に未開封の大型玩具の数々」を目にしたら、その気も萎えてしまいました。
気を取り直して、プロトコル分析だけでもと報告した次第です。
でも、これで検査待ちになっているキーボードおもちゃに順番が回ってきました。今度こそ、完治退院を目指して頑張ります。
Posted by:ToyDr.わたなべ  at 2021年04月14日(Wed) 16:00

つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。

そだね〜。コレクションとして飾っておくだけなら治す必要はないでしょうね。しかし、ドクターのスキルアップの教材としては利用価値があると思います。

「受信回路からの復調出力が出て来ない」ってことは、超再生の不具合ってことですよね。なのに、デコーダICに話が進んでいくのがおかしいです。やはり、川の流れのように、信号の上流から下流へ向けてトレースするのが順当だと思います。
Posted by:大泉茂幸  at 2021年04月14日(Wed) 13:13

おもちゃドクターの技術研修で、少しだけラジコンを勉強し始めたのですが、個人的にはとても難しいと感じました。(幸いなことに)糸魚川ではめったに来ないので、中途半端のままです。
お隣の「上越おもちゃ病院」なら、測定器材や診療材料も豊富で、先輩に聞きながらの治療経験を重ねることができるのですが、未だに再開の目途が立たないそうです。
退院の際、お客さまのご自宅に伺うと敷地内の別棟(昔からの古民家)に案内され、お座敷の陳列棚に安置されている箱入り玩具達に驚かされました。軍艦、戦闘機、機関車、ヘリコプターやドローンまで、(しかも大型のもので、)どれも未開封なんだそうです。
私は、「おもちゃというより、これはもう趣味の世界ですね。」と、思わず声に出してしまい、複雑な心境を覚えました。
Posted by:ToyDr.わたなべ  at 2021年04月12日(Mon) 12:04