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ゆりかご日記
10 乗用パジェロ 診療記録(その2) [2020年02月24日(Mon)]

10 乗用パジェロ 全く動かない
「まちや病院・で入院した中で 最後の患者さま。
前半(その1)に続き、今回は先進医療による臨床試験を適用した報告。



全ての 治療完了 した姿をご覧あれ

遊びに来ていた2歳と6歳の男の子に試運転してもらいました。(母も立会)
3秒間の短い動画ですが、本来の動きが出来ていることを確認しました。



乗用パジェロ 診療記録 (その2)

フロントバンパー下の隠しネジから順に全ての黒いネジを外します。
ハンドル方向軸を抜き取り 黄色の鳴り物(その1) で治療済。
2020冬_10分解00.jpg

後輪タイヤを外して、ギアBOXを取り出したいのですが、
車軸先端に金属キャップがあり固くカシメ? られています。
先輩Dr.のアドバイスにより、ペンチでコジって分解します。
2020冬_10分解02.jpg

キャップには、5角形(まさに星形)に切込みがあり、
シャフト先端には、特別な抜け止めなどはありません。
キャップ取り付け時は、逆止部分を修正し押込みます。
2020冬_10分解03.jpg

左タイヤを外しても、まだシャフトは抜けません。
ワッシャー2枚で、クリアランスを確保しています。
内側のワッシャーは錆びてボロボロ、要交換です。
2020冬_10分解04.jpg

右タイヤを外すと、反対側からシャフトが抜けます。
右タイヤと一緒に、ギアBOXも、丸ごと外せます。
2020冬_10分解06.jpg

黒いギアBOXを分解、思ったより大きなギアですね。
右横に映ったハンマーからギアの大きさを見てください。
モーターから 1番目のギア付近が茶色く汚れています。
2020冬_10分解08.jpg

モーター軸のピニオンは金属製1番〜3番ギアプラ製です。
1番ギアのピニオンと2番ギアの平ギアが、カラ回り状態です。
2020冬_10分解10.jpg

1番ギアのピニオン歯はスリ減って、ほとんど軸だけです。
削られたプラ粉と潤滑油が混ざり、周囲に飛び散った様子。
埼玉県の先進病院に転院、臨床試験に参加を希望しました。
2020冬_10分解12.jpg



先進病院に転院し3Dプリンタでギア復元

日本おもちゃ病院協会の先輩Dr.Tさんの元で、精密検査。
2番ギアを裏返して並べ、ギアのかみ合わせを確認します。
<観察>
1、 1番ギアは m=1 、 8Tのようです。
2、 2番外側は使えそうです。
2020冬_10分解14.jpg

3、 2番の小さいギアはかなり摩耗していて目で見ても明らかな段付きがあり、
   遠からず歯欠けしそうなレベルです。
   原因はかなり使われてきたこととやはり負荷がかなり
   大きいということかと思いました。
2020冬_10分解18.jpg

また、3番ギアとのかみ合わせが緩いようで
   それが悪影響を与えている可能性もあります。
2020冬_10分解16.jpg

<方針>
1、 2番ギアはとりあえずこのまま使う。
2、 1番ギアの修理 3Dプリンターでピニオン部分を作り結合する。
ただし、3Dプリンタによるギア再生については、臨床試験の段階であり、
これについてお客さんの意向はどんなものでしょうか?
考えを聞かせてください。との指示がありました。
2020冬_10分解20.jpg

インフォームドコンセント=「納得診療」は当然。

もし人間相手だと考えると、大手術の前には必ず「同意書」が必要、
今回は、その点をご指摘いただき、ハッとさせられました。反省!

3Dプリンタによるギア再生について、お客さまにあらためて連絡し、
デメリット(強度不足、失敗してもやり直し不可、長期入院)も含め説明の上、
「全てお任せします。治療を続けてください。」との返答を得ました。

折り返し、先輩Dr.から連絡が入りました。早い!

ギアが出来上がりました。写真を送ります。

2020冬_10治療10.jpg

オリジナルは8Tですが写真にある通りそれでは隙間が大きく
歯に負担がかかりそうなので9Tを作ってみました。

2020冬_10治療12.jpg

シャフトとの壁も厚くなって強度的にも有利かと。
スムーズに回りましたのでそれがおすすめです。

2020冬_10治療14.jpg


仕上げ・調整も万全を期します。

追って、復元ギアを組み込んだギアBOX実物が届きました。
指示のとおり分解・注油します。手持ちのセラグリスを塗布。
3Dプリンタで作った9Tギアの方を採用、大きさピッタリ!
2020冬_10治療18.jpg

いよいよ本体への組込みの前に、本体内部をクリーニング。
やはりバッテリー周りを中心に、きれいにしましょう。
2020冬_10治療20.jpg

ギアBOX、シャフト、左右タイヤの順に取り付けます。
裏返しで無負荷の状態で、動作確認しながら進めます。
2020冬_10治療22.jpg

最後に、駆動輪ゴムのヒビ割れ液体ゴムを塗り込みます。
乾くと滑り止めにもなり、ちょうどよい弾力性も復活。
2020冬_10治療24.jpg




2020「まちや病院・については、→ 「ゆりかご日記」ブログ参照。

最新の 診療状況一覧 は、→ コチラ です。

Posted by ToyDr.わたなべ at 00:00
この記事のURL
https://blog.canpan.info/charts/archive/273
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コメント
ただ、患者さま(お客さま)目線で考えると、少々疑問も。
今回の治療は、Dr.的には大変興味深く、それも面白かったのですが、
2歳の弟さん(体重が軽い)の方は、ただ座っているだけで、あまり
喜んでもらえませんでした。ハンドルやペダル操作に慣れていないため、
上手く運転できなかったのです。
そんな子ども達のために、ギアをフリーにするクラッチ機構があれば、
小さい子ども達も、「自分の足で蹴って進む」という楽しい遊び方が
出来るのになあと(その楽しみを奪っているような)気がしました。
Posted by:ToyDr.わたなべ  at 2020年02月24日(Mon) 00:00