□を使った「たし算とひき算」は難しい。
[2016年06月30日(Thu)]
〇□を使った「たし算とひき算」は難しい。
二年生や三年生になると、わからない数を□を使って求める授業があります。文章題をピンクと青のテープ図を使って状況を理解してから式をつくり答えを求めます。
テープ図を使う理由は、文章を読んで全体の数(量)と部分の数(量)の関係を理解してから式をつくってほしいということがあります。これは、「論理的な思考力を育てるとは」のところでお話した、算数は順序立てて考える能力を育てることが土台になっているからです。
ところが、これがなかなか難しい。子どもたちにとって難しいことはもちろんですが、教えるほうも苦労します。
教えるほうも苦労する理由は、
これまで左から順番に出てくる数を、その順番で計算していたのに、ここでは順番通り計算できない
ことにあります。
詳しく説明します。
この単元の前までは、例えば次のような文章題から式をつくり答えを出していました。
「花子さんは、おはじきを31こ もっていました。妹に 8こ あげました。のこりは 何こに なったでしょう。」
読み進めていくと、出てくる数は左から順に「31」→「8」になります。
数はふたつとは限りません。
「バスに 12人 のっています。バスていで 6人 おりて、3人のりました。バスには、いま何人 のっているでしょうか。」
という場合は、左から「12」→「6」→「3」になりますね。
花子さんの文章を読んで式をつくると、出てきた順に「31−8」となります。同じようにバスの文章では「12−6+3」になります。
ところが、□をつかった文章題では次のようになります。
「花子さんは、おはじきをもっていました。妹に 8こ あげました。のこりを数えたら23こに なりました。はじめに何こ もっていたでしょうか。」
これまで学んだ方法を使うと「8」→「23」の順に数が出てくるので、「8−23」や「8+23」が頭に浮かびます。「8−23」は計算できないので、「8+23」しか残りません。
この例の場合は、結果的に答えは「31」になり正解になりますが、実際の授業は、□を使って式をつくる過程の説明がありますから、子どもは何やらさっぱりわからないとなります。
教えるほうは、文章の最初の部分を□に置き換えればよいことを知っていますから、既に頭の中で「□‐8=23」と左から順に式が完成しています。
左から順になっていることは意識していないので、子どもが「どうしてわからないのかわからない」ことになってしまいます。
私たちは、無意識に左から順番に情報を処理する習慣を身に着けてきました。横書きの文章は必ず左から読み書きします。単純に数字を書く時も左から「1、2、3・・・」と書きますね。数直線でも左から順に数が大きくなります。
私は「無意識に」と述べましたが、この単元の授業に苦労してきた学校の先生の間では、□を使った問題を「逆思考の問題」と表現して、授業の改善に努めてきました。
花子さんの例で説明すると、「のこりは・・・」とひき算を思わせる表現を使いながら、実際はたし算で答えを出すことから、逆に考える必要があるとのことから生まれた表現です。
子どもが苦手な理由を、文章の意味理解にあるのではないかと考えたことからわかるように、左から順番に情報を処理していることは「無意識」であることがわかります。
では、視覚的に左から情報処理する習慣がある子どもに、どのように教えたら良いのでしょうか。
これまでの経験から、最初に□を含めたテープ図の関係を視覚的に練習することから始めたほうが良いようです。
全体の数(量)と部分の数(量)の関係を、例えば次のように示します。
全体が□(わからない)のであれば、次のように変化します。
部分が□(わからない)のであれば、次のようになります。
このように、最初に□を含めたテープ図の関係を視覚的に練習してから、文章を読んでどのテープ図の関係と同じなのかを探すことを繰り返すうちに、多くの場合はできるようになるはずです。
文章は左から順に読み、内容を理解します。式も左から順に計算します。私たちは無意識に視覚的な習慣も身に着けているわけです。
ところが□を使った文章題では、テープ図という視覚的な方法を使っているにも関わらず、これまでの左から順に処理する習慣は活用できません。
そこで、左から順番ではなく、全体と部分の関係を視覚的に学ぶ(練習する)必要があるわけです。
二年生や三年生になると、わからない数を□を使って求める授業があります。文章題をピンクと青のテープ図を使って状況を理解してから式をつくり答えを求めます。
テープ図を使う理由は、文章を読んで全体の数(量)と部分の数(量)の関係を理解してから式をつくってほしいということがあります。これは、「論理的な思考力を育てるとは」のところでお話した、算数は順序立てて考える能力を育てることが土台になっているからです。
ところが、これがなかなか難しい。子どもたちにとって難しいことはもちろんですが、教えるほうも苦労します。
教えるほうも苦労する理由は、
これまで左から順番に出てくる数を、その順番で計算していたのに、ここでは順番通り計算できない
ことにあります。
詳しく説明します。
この単元の前までは、例えば次のような文章題から式をつくり答えを出していました。
「花子さんは、おはじきを31こ もっていました。妹に 8こ あげました。のこりは 何こに なったでしょう。」
読み進めていくと、出てくる数は左から順に「31」→「8」になります。
数はふたつとは限りません。
「バスに 12人 のっています。バスていで 6人 おりて、3人のりました。バスには、いま何人 のっているでしょうか。」
という場合は、左から「12」→「6」→「3」になりますね。
花子さんの文章を読んで式をつくると、出てきた順に「31−8」となります。同じようにバスの文章では「12−6+3」になります。
ところが、□をつかった文章題では次のようになります。
「花子さんは、おはじきをもっていました。妹に 8こ あげました。のこりを数えたら23こに なりました。はじめに何こ もっていたでしょうか。」
これまで学んだ方法を使うと「8」→「23」の順に数が出てくるので、「8−23」や「8+23」が頭に浮かびます。「8−23」は計算できないので、「8+23」しか残りません。
この例の場合は、結果的に答えは「31」になり正解になりますが、実際の授業は、□を使って式をつくる過程の説明がありますから、子どもは何やらさっぱりわからないとなります。
教えるほうは、文章の最初の部分を□に置き換えればよいことを知っていますから、既に頭の中で「□‐8=23」と左から順に式が完成しています。
左から順になっていることは意識していないので、子どもが「どうしてわからないのかわからない」ことになってしまいます。
私たちは、無意識に左から順番に情報を処理する習慣を身に着けてきました。横書きの文章は必ず左から読み書きします。単純に数字を書く時も左から「1、2、3・・・」と書きますね。数直線でも左から順に数が大きくなります。
私は「無意識に」と述べましたが、この単元の授業に苦労してきた学校の先生の間では、□を使った問題を「逆思考の問題」と表現して、授業の改善に努めてきました。
花子さんの例で説明すると、「のこりは・・・」とひき算を思わせる表現を使いながら、実際はたし算で答えを出すことから、逆に考える必要があるとのことから生まれた表現です。
子どもが苦手な理由を、文章の意味理解にあるのではないかと考えたことからわかるように、左から順番に情報を処理していることは「無意識」であることがわかります。
では、視覚的に左から情報処理する習慣がある子どもに、どのように教えたら良いのでしょうか。
これまでの経験から、最初に□を含めたテープ図の関係を視覚的に練習することから始めたほうが良いようです。
全体の数(量)と部分の数(量)の関係を、例えば次のように示します。
全体が□(わからない)のであれば、次のように変化します。
部分が□(わからない)のであれば、次のようになります。
このように、最初に□を含めたテープ図の関係を視覚的に練習してから、文章を読んでどのテープ図の関係と同じなのかを探すことを繰り返すうちに、多くの場合はできるようになるはずです。
文章は左から順に読み、内容を理解します。式も左から順に計算します。私たちは無意識に視覚的な習慣も身に着けているわけです。
ところが□を使った文章題では、テープ図という視覚的な方法を使っているにも関わらず、これまでの左から順に処理する習慣は活用できません。
そこで、左から順番ではなく、全体と部分の関係を視覚的に学ぶ(練習する)必要があるわけです。